2020.07.31
労災保険とは、どんなときに給付が受けられるもの?
公的年金制度は、自分や家族の加齢・障がい・死亡など、さまざまな要因で自立した生活が困難になるリスクに備えるための仕組みです。
会社員や公務員は国民年金に加え厚生年金に加入していますが、労災保険については詳しくご存じでしょうか?
労災保険とは?
労災保険は、仕事中や通勤中に負ったケガや病気・死亡に対して給付が行われる制度です。
図1 労災保険で受けられる給付
- 療養(補償)給付
- 休業(補償)給付
- 障害(補償)給付(年金・一時金)
- 遺族(補償)給付(年金・一時金)
- 葬祭料・葬祭給付
- 傷病(補償)年金
- 介護(補償)給付
- 二次健康診断等給付
資料:厚生労働省「労災保険給付の概要」をもとに執筆者作成
加入者は会社員・公務員などの労働者(パート・アルバイトを含む)で、加入手続きは事業主が行わなければなりません。
労災保険は、保険料の全額を事業主が負担していることなどから、保険に加入している実感がなく、実際に労災保険を利用したことがない方にとっては、あまりなじみがないかもしれません。
労災保険がどのような場合に役立つものなのか、この機会に知っておきましょう。
労災保険で給付が受けられる「業務災害」
労災保険では、仕事中のケガや病気・死亡を「業務災害」といいます。
ケガについては、主に所定労働時間内や残業時間内に職場で業務に従事している場合や、職場外であっても出張・社用で業務に従事している場合のケガは「業務災害」とみなされ、給付対象となります。
表 ケガの事例による労災保険の給付可否
資料:厚生労働省「労災保険給付の概要」をもとに執筆者作成
病気については、業務との間に因果関係が認められる病気を「業務上疾病」といい、労災保険の給付対象です。
近年、仕事によるストレス(業務による心理的負荷)が関係した労災請求が増えていますが、「ひどい嫌がらせ、いじめ、または暴行を受けた」ことにより「うつ病」を発病したとして認定された事例もあります。
労災保険で給付が受けられる「通勤災害」
労災保険では、通勤中のケガや病気・死亡を「通勤災害」といいます。
通勤とは、次のような移動を、合理的な経路および方法で行うことを指します。
図2 労災保険における通勤の移動
- 住居と就業の場所との間の往復
- 就業の場所から他の就業の場所への移動
- 単身赴任先住居と帰省先住居との間の移動
資料:厚生労働省「労災保険給付の概要」をもとに執筆者作成
途中で寄り道をした場合は、どこに寄ったかなどによって、通勤として認められるかどうかが異なります。
例えば、通勤途中にコンビニエンスストアで日用品の買い物をした後、通常の通勤経路に戻った場合には通勤と認められますが、映画館に入り映画を観た場合やお酒を飲みに行った場合は認められません。
労災保険では、このような業務災害や通勤災害が起きてしまった際に、被保険者に対して療養費用などの給付、また障がいが残った場合などには年金の支払いが行われます。
労災保険から給付を受けるには、労働基準監督署に備え付けてある請求書を提出した後、労働基準監督署による調査が必要になります。
詳しく知りたい場合には、勤務先の担当部署や労働基準監督署に確認しましょう。
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