2021.01.08
遺族基礎年金をもらうための要件
前回は、遺族基礎年金が支給される方とその年金額についてお伝えしました。
遺族基礎年金の支給には、亡くなった方が一定の要件を満たしている必要があることにも触れましたが、今回はその「亡くなった方の要件」について、詳しくご説明します。
遺族基礎年金・支給のための要件
遺族基礎年金の支給のためには、ご遺族の方が要件を満たしている以外に、亡くなった方も「被保険者等要件」と「保険料納付要件」を満たしている必要があります。
(1)亡くなった方の被保険者等要件
死亡日において、亡くなった方が次のいずれかに該当するときに、支給対象となるご遺族がいれば遺族基礎年金が支給されます。
図1 亡くなった方の被保険者等要件
- (a)国民年金の被保険者であること
- (b)国民年金の被保険者であった方で、日本国内に住所を有する60歳以上65歳未満の方であること
- (c)受給資格期間(年金を受けるために必要な被保険者期間)が25年以上あること
資料:日本年金機構ホームページをもとに執筆者作成
ただし、(a)または(b)に該当する場合には、次の「亡くなった方の保険料納付要件」も満たす必要があります。
(2)亡くなった方の保険料納付要件
亡くなった方が前項の被保険者等要件の(a)または(b)に該当する場合、さらに下記いずれかの保険料納付要件を満たす必要があります。
図2 亡くなった方の保険料納付要件
- (d)死亡日の前日において、死亡日が含まれる月の前々月までの被保険者期間に、国民年金の保険料納付済期間および免除期間、厚生年金保険の被保険者期間、共済組合の組合員期間の合計が3分の2以上あること
- (e)死亡日が2026年3月末日までのときは、亡くなった方が65歳未満であれば、死亡日の前日において、死亡日が含まれる月の前々月までの直近1年間に保険料の未払いがないこと
資料:日本年金機構ホームページをもとに執筆者作成
受給資格期間が25年以上ある方(被保険者等要件の(c)に該当する方)が亡くなった場合は、保険料納付要件は問われず、被保険者等要件のみで遺族基礎年金の支給要件を満たします。
図3 亡くなった方の被保険者等要件と保険料納付要件の関係
資料:日本年金機構ホームページをもとに執筆者作成
亡くなった方の要件の注意点
遺族基礎年金の支給要件には、いくつか気を付けておきたい点があります。
2017年7月31日まで、老齢基礎年金の受給資格期間は25年でしたが、2017年8月1日からは10年に短縮されました。しかし遺族基礎年金は老齢基礎年金とは異なり、受給資格期間については現在も「25年以上」が要件となりますのでご注意ください。
また、亡くなった方の保険料納付要件で、保険料を支払っていたとみなされるのは、保険料納付済期間と保険料免除期間(学生納付特例、納付猶予等を含む)の合計です。
保険料免除等の制度を利用するには、手続きが必要です。手続きをせずに保険料を未払いのままにしておくと、ご遺族に遺族基礎年金が支給されない場合がありますので、手続きを忘れないようにしましょう。
保障を得るためにしておきたいこと
国民年金第1号被保険者である個人事業主・自営業の方は、会社員・公務員の方と異なり、納付書を使用したり、口座振替を利用したりして、自らの手で国民年金の保険料を支払う必要があります。そのため支払いを忘れてしまうこともあるかもしれません。
公的年金制度は年をとってからだけでなく、障がいやご遺族に対する保障もあります。忘れずに保険料を支払い、また支払いが難しい場合は保険料免除等の制度を利用して、保障を得られるようにしておきましょう。
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