2020.12.18
遺族基礎年金をもらえる人とその年金額
遺族基礎年金は、国民年金の被保険者であるなどの一定要件を満たす方が亡くなったときに、その方のご遺族に支給される年金です。
ただし、全てのご遺族が支給対象となるわけではありません。
今回は、遺族基礎年金が支給される方とその年金額について、詳しくご説明します。
遺族基礎年金が支給される方とは
遺族基礎年金の支給対象となるご遺族は、死亡日において、亡くなった方によって生計を維持されていた「子のある配偶者」または「子」です。
子は「18歳到達年度の末日(3月31日)を経過していない未婚の子」または「20歳未満で障害年金の障害等級1級または2級の未婚の子」の要件のうち、いずれかに該当する必要があります。
図 遺族基礎年金の支給対象となる方
資料:日本年金機構「遺族基礎年金(受給要件・支給開始時期・計算方法)」をもとに執筆者作成
なお、亡くなった方についても、被保険者等要件や保険料納付要件が問われます。亡くなった方の要件について、詳しくは次回のコラムでご説明します。
(1)遺族基礎年金が支給される「子のある配偶者」
配偶者には、亡くなった方と婚姻の届出をしていないけれども、事実上婚姻関係と同様の事情にあった方を含みます。
また、以前は、亡くなった方によって生計を維持されていた「子のある妻」または「子」が遺族基礎年金の支給対象でしたが、2014年4月からは妻のみに限らず、「子のある夫」にも支給されるようになりました。
(2)遺族基礎年金が支給される「子」
「子」は、亡くなった方の法律上の子(血縁関係のある実子、養子縁組した子、認知された子)で、年齢などの要件を満たした方に限られます。事実上の子(配偶者の連れ子で亡くなった方と養子縁組していない子など)は、遺族基礎年金が支給される「子」に含まれません。
また、亡くなった方の死亡日において胎児であった子が生まれたときは、その子は遺族基礎年金が支給される「子」とされ、配偶者はその子の出生と同時に「子のある配偶者」として受給権を取得します。
遺族基礎年金の年金額
遺族基礎年金の年金額は、下記のように計算します(以下、年金額は2020年度のものを掲載)。
- 子のある配偶者に支給されるとき「781,700円+(子の加算額)」
- 子に支給されるとき「781,700円+(2人目以降の子の加算額)」
子の加算額は、1人目および2人目の子は各224,900円で、3人目以降の子は各75,000円です。
表 遺族基礎年金額(1年当たり)
支給対象 | 子の数 | 基本額 | 子の加算額 | 合計 |
---|---|---|---|---|
子のある配偶者 | 1人 | 781,700円 | 224,900円 | 1,006,600円 |
2人 | 781,700円 | 449,800円 | 1,231,500円 | |
3人 | 781,700円 | 524,800円 | 1,306,500円 | |
子 | 1人 | 781,700円 | - | 781,700円 |
2人 | 781,700円 | 224,900円 | 1,006,600円 | |
3人 | 781,700円 | 299,900円 | 1,081,600円 |
資料:日本年金機構「遺族基礎年金(受給要件・支給開始時期・計算方法)」をもとに執筆者作成
繰り返しになりますが、国民年金第1号被保険者である個人事業主・自営業の方が亡くなったとき、ご遺族に遺族基礎年金が支給されます。ただし、遺族基礎年金では、支給対象となるご遺族は「子のある配偶者」または「子」であり、さらに「子」には要件が定められているということに注意しておきましょう。
子のない配偶者の場合や、子があっても支給対象となる子に該当しない場合、遺族基礎年金は支給されません。
支給が始まった後も、受給権を持つ方が婚姻した場合や、子が成長して年齢要件を満たさなくなった場合などには、遺族基礎年金の支給は停止します。
また、さまざまな要件を満たして遺族基礎年金が支給されたとしても、それだけで生活をしていくことは難しいと感じる年金額ではないでしょうか。
万一のことがあった場合に、遺族基礎年金以外にどのような備えが役立つかを把握し、必要な対策を検討されることをおすすめします。
- ※ この記載内容は、当社とは直接関係のない独立したファイナンシャルプランナーの見解です。
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