2020.11.06
個人事業主・自営業の方のための老後資金対策~国民年金基金・加入編~
国民年金の第1号被保険者である個人事業主・自営業の方が、保険料の支払期間中にできる老後資金対策の1つとして、前回は国民年金付加年金制度をご紹介しましたが、さらに、保険料納付期間中にできる老後資金対策として、「国民年金基金」があります。
今回は、国民年金基金の制度と加入について詳しくご説明します。
国民年金基金とは
会社員・公務員などの国民年金の第2号被保険者は、老齢年金として、老齢基礎年金に加えて、老齢厚生年金や厚生年金基金などのように上乗せして受給できる制度があります。
受給する老齢年金が老齢基礎年金だけの個人事業主・自営業などの国民年金の第1号被保険者とでは、将来受給する年金額に大きな差が生じます。
この年金額の差を解消するために、個人事業主・自営業などの国民年金の第1号被保険者を対象に、1991年に国民年金基金制が創設され、老後の所得保障を充実させるために老齢基礎年金に上乗せして受給できるようになりました。なお、国民年金基金は、任意で加入する制度です。
国民年金基金には、地域型国民年金基金の「全国国民年金基金」と、職種別に設立された「職能型国民年金基金」があります。
それぞれの基金が行う事業内容は同じで、いずれか1つの基金にしか加入できません。加入する場合は、加入する方が全国国民年金基金か職能型国民年金基金のいずれかを選択します。
国民年金基金の仕組み
国民年金基金の加入は口数制で、全員が加入する1口目と希望に応じて選択する2口目以降があり、口数に応じて掛金を支払います。
国民年金基金は、掛金を支払うことにより、将来受給する年金額が確定します。また、途中で口数を変更しなければ、加入時の掛金額は払込期間終了まで変わりません。
年金額や給付の型はご自身で選択でき、何口加入するかによって受給する年金額が決まります。給付の型は、終身年金のA型、B型、受給期間が定まっている確定年金のI型、II型、III型、IV型、V型の7種類があります。
国民年金基金の給付の種類
資料:国民年金基金連合会ホームページをもとに執筆者作成
上図のように、全員が加入する1口目は、終身年金のA型、B型のいずれかを選択し、希望に応じて加入する2口目以降は、終身年金のA型、B型のほか、受給期間が定まっている確定年金のI型、II型、III型、IV型、V型から選択します。
国民年金基金加入の注意点
国民年金基金に加入できる方は、20歳以上60歳未満の個人事業主・自営業の方などで国民年金の第1号被保険者と、60歳以上65歳未満の方や海外居住者で、国民年金に任意加入している方です。
国民年金の保険料を免除されている方や65歳以上の方で国民年金に任意加入している方など、そのほかにも加入できない場合がありますのでご注意ください。
また、国民年金基金への加入は、国民年金の保険料を支払っていることが前提となります。もし、国民年金の保険料を支払っていない期間に掛金を国民年金基金に支払った場合、掛金は還付されますので、国民年金の保険料の未納にご注意ください。
なお、国民年金基金は国民年金の付加年金を代行しており、基金の1口目の給付には、国民年金の付加年金相当が含まれています。国民年金付加年金制度を利用していて国民年金基金に加入する方は、市区町村役場で国民年金の付加保険料納付辞退の手続きが必要です。
国民年金基金の加入方法
国民年金基金へ加入する場合、「国民年金基金加入申出書」に必要事項を記入し、加入を希望する国民年金基金へ郵送などで提出しましょう。一部の金融機関でも加入を受け付けていますので、詳しくは国民年金基金に問い合わせてください。
国民年金基金は、老齢基礎年金に上乗せして受給できる制度ですので、老後資金対策として有力な選択肢の1つです。しかし、国民年金基金への加入は任意ですが、いったん加入した場合、ご自身の都合で任意に脱退および中途解約することはできません。
次回ご説明する国民年金基金の掛金についても併せてご覧いただき、ご加入の際には慎重に検討することをおすすめします。
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