2019.06.07
個人事業主・自営業の方のための老後資金対策~最大で毎月8,000円増える付加年金~
個人事業主・自営業の方の老後資金対策として、国民年金の保険料納付期間が終わるころに考える「繰上げ受給・繰下げ受給」がありますが、保険料納付期間中にできる対策もあります。今回は、その中の一つである国民年金付加年金制度についてご説明します。
国民年金付加年金制度とは
国民年金付加年金制度は、国民年金の定額保険料に付加保険料を上乗せして納付することで、受給する老齢基礎年金の年金額を増やす制度です。納付する付加保険料は月額400円で、受給する付加年金の年金額は、「200円×付加保険料納付月数」となります。下図のように、20歳〜60歳になるまでの40年間の全期間、付加保険料を納付した場合、受給できる老齢基礎年金は年額96,000円増えます。40年間の全期間に納付した付加保険料は192,000円なので、付加保険料を納付した分は、2年間でモトが取れます。
付加年金額の計算例(40年間の全期間、付加保険料を納付した場合)
資料:日本年金機構ホームページをもとに執筆者作成
なお、付加保険料の納付期間にかかわらず、付加保険料を納めた分は、2年間でモトが取れます。例えば、40歳〜60歳になるまでの20年間だけ付加保険料を納付した場合でも、納付した付加保険料の総額は96,000円で、受給できる付加年金額は年額48,000円となります。
国民年金付加年金制度の主な注意点
国民年金の付加保険料を納付するためには申し込みが必要です。申し込みは、市区町村役場または年金事務所に必要書類を提出します。なお、保険料の全部、または一部の額の納付を免除されている方や国民年金基金に加入している方、65歳以上の特例による任意加入被保険者は、付加保険料を納付することはできません。
付加年金は、老齢基礎年金と合わせて受給できる終身年金ですが、定額のため、老齢基礎年金の年金額のように物価スライド(増額・減額)はありません。また、老齢基礎年金の繰上げ・繰下げ受給をした場合、付加年金も繰上げ・繰下げによる受給率によって年金額が減額・増額されます。
受給できる付加年金の年金額は、「200円×付加保険料納付月数」なので、最大でも年額96,000円で月額にすると8,000円となり、月々の金額は少ないと感じるかもしれません。しかし、厚生労働省「平成29年簡易生命表」によると、65歳の平均余命は男性が19.57年で、女性が24.43年です。もし、約20〜25年間、付加年金を受給できるとすると、納付した付加保険料の約10〜12.5倍を受給できることになります。個人事業主・自営業の方は、公的年金が国民年金(基礎年金)のみなので、保険料が月額400円というお手頃な付加年金制度を老後資金対策の選択肢の一つとして検討されてはいかがでしょうか。
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