幼稚園児、保育園児のパパに向けて、子どものためのマネープランニング その3
「いつ」までに「いくら」準備しておけばいいかのマネープランを考えよう
「幼稚園児、保育園児のパパに向けて、子どものためのマネープランニング その1とその2」で、子どもにかかるお金は「いつ」「いくら」なのかを示し、毎月の支出ではやりくりできなくなるのは大学受験期からの方が多いのではないかとお話ししてきました。
例えば、4月生まれで現在3歳の子どもならば、15年後に大学受験を迎えますね。
その時、父親は何歳で、どんな生活をされているでしょうか。
父親が今と変わらず現役で働いている年齢であれば、この金額を全て準備しておかないといけないわけではありません。
毎月のやりくりの中から負担できない分だけを準備しておく、という考え方でいいのです。
1ヶ月あたりの教育にかかるお金の総費用
<事例1>
現在、私立幼稚園に通い、習い事を1つしていることで、子どもに毎月3万円の教育のためのお金を支出しています。子どもが大学入学時には父親は50歳で、現役で働いていると描けます。現状の家計収支から考えると、大学入学後は5万円ずつ毎月の家計の中から出していけると考え、プランを立てるとします。子どもは自宅から通える範囲で大学受験し、国立大学に進学するとします。
「幼稚園児、保育園児のパパに向けて、子どものためのマネープランニング その2」でも示した上記表「1ヶ月あたりの教育にかかるお金の総費用」より、国立大学進学時にかかる毎月のお金は107,021円であるから、
(107,021円-50,000円)×12ヶ月×4年=2,737,008円
受験時から入学までの間の雑費(出願料や受験時の交通費、入学式出席のための服等)を50万円と見積もると合計金額は、
2,737,008+500,000=3,237,008円
この計算によって求められた3,237,008円を、15年後の大学受験期までに準備しておけばいいということです。
単純に15年間で毎月均等に準備しておくとすると、
3,237,008円÷15年÷12ヶ月=17,983円
これから15年間、1ヶ月あたり17,983円ずつ貯めていくプランとなりますね。
<事例2>
共働きで保育園に通っており、毎月5万円の保育料を支払っています。晩婚晩産だったため、子どもが大学入学する頃にはどちらも退職をしています。自宅から通える範囲での私立大学の文系学部に進学するとし、大学受験期にかかる費用、大学4年間の学費は事前に全額準備をしておくプランを立てるとします。
<事例1>と同様に考えていきます。
私立大学文系学部進学時にかかる毎月のお金と、大学受験期から入学時までの間にかかる雑費の合計額は、
138,500円×12ヶ月×4年+500,000円=7,148,000円
この金額を単純に15年で毎月均等に準備しておくとすると、
7,148,000円÷15年÷12ヶ月=39,711円
これから15年間、1ヶ月あたり39,711円ずつ貯めていく必要があることが分かりますね。
この金額は1ヶ月あたりで試算した金額であるだけで、毎月必ずこの金額ずつ貯めていかないといけないというわけではありません。
表のように、公立小学校と中学校、高校では毎月にかかってくるお金が大きく違ってきます。
小学生のうちならば貯められたものが、それ以降の進路によって貯められなくなる可能性も頭に入れ、子どもが幼くお金がかからない時期に貯蓄をしていくことをおすすめします。
どうやって貯めていくかのマネープランを考えてみよう
貯めていく額や期間が各家庭でそれぞれ違うように、貯めていく方法も各家庭に合ったものを考えましょう。
貯めていく方法は、大きく分けて「保険を利用する方法」と「自身で貯蓄運用する方法」の2つがあります。
保険を利用する方法は、学資保険や低解約返戻金型の保険を利用し、子どもの将来のお金を準備します。
これらの保険の特徴については改めてお伝えしますが、どちらの保険においても大切なことは、受験期以降の必要な時期に支払った額以上の額を受け取れるように、少しでも早く保険に加入することです。
また、早く保険料を払い込んでしまうと、増額にもつながります。
ただし、全てを保険で賄おうとすることは、リスクも考えられます。
万一思わぬ事情で収入が減ったり、住宅ローン等他の負担が増えたり等で家計が苦しくなり、保険料が支払えなくなってしまった場合に、保険を解約せざるを得なかったり、失効してしまったりする可能性があります。
そうなると、せっかく積み立ててきたお金の一部を失ってしまうことになります。
その上、インフレの時代が来た時には、利率が決まったままでの運用となってしまい、柔軟な対応ができません。
したがって、確実に貯めておかなければならない子どもの教育のためのお金は、保険だけで全額を準備するのではなく、保険と貯蓄の二本立てで賄うようなプランを立てていく方がリスクを分散できるでしょう。
さあ、子どものために今から始めましょう!
<事例1>のように家計を支えている父親がまだ現役で働いている場合とは違い、<事例2>のように大学入学前や在学途中に父親が退職してしまう場合であれば、そこを考慮したお金の計画を立てていかなければなりません。
「お金がかかる時期に父親が必ず働いていないといけない」というわけではなく、その時のために早い時期から備えておかなければならないという考え方です。
晩産だったことで、子どもが小さいうちの収入には余裕がある方もいらっしゃるでしょう。
その余裕分を、今の子どもに十分にしてあげるのではなく、将来の子どものために確保してあげることが重要になってくるのではないでしょうか。
子どもはまだ幼稚園児、保育園児。
本当にお金が必要になってくる時期まで15年近くも貯める期間があるからこそ、今からでも間に合い、今こそが貯められる時期です。
精神的なサポートだけでなく、いつか将来、子どもが自分の意思で教育を望んだ時に経済的に応えてあげられるサポートができるよう、早速、子どもの教育のためのマネープランニングに取り掛かりましょう。
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コラム執筆者プロフィール
川崎 由華 (カワサキ ユカ) マイアドバイザー.jp®登録 - CFP®、1級ファイナンシャル・プランニング技能士、平成24年度日本FP協会「くらしとお金の相談室」相談員。
前職ではがん領域の薬を扱う製薬会社に勤務。
現在は2児の母をしながら、主婦向けのマネー講座や個人相談、執筆等ファイナンシャルプランナーとして活動中。
お金の数字だけの問題でなく、気持ちも汲み取れる身近で気さくな存在のファイナンシャルプランナーをモットーにしている。
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コラム監修者プロフィール
山本 俊成 (ヤマモト トシナリ) マイアドバイザー.jp®登録 - ファイナンシャルプランナー。
大学卒業後、株式会社三和銀行(現三菱UFJ銀行)入社。
2003年、外資系生命保険会社入社。
2005年、総合保険代理店株式会社ウィッシュ入社。
2010年、株式会社ファイナンシャル・マネジメント設立。
銀行と保険会社に勤めていた経験を活かし実務的なコンサルティングを行う。
ファイナンシャルプランナー 川崎 由華
※この記載内容は、当社とは直接関係のない独立したファイナンシャルプランナーの見解です。
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