子どもにかかる教育費の目安4(大学)
大学進学を希望する場合、高校生のうちから受験費用や入学費用などまとまったお金が必要になってきます。日本政策金融公庫「平成29年度教育費負担の実態調査結果」によると、4年間にかかる費用の合計は、国公立大学は約503.2万円、私立大学は文系学部で約738.1万円、理系学部になると約807.8万円となります。大学でかかる費用をご紹介します。
大学でかかる費用のポイント
- (1)進学先別入学費用と在学費用
- (2)自宅外通学や就職活動の費用
- (3)奨学金の種類について
(1)進学先別入学費用と在学費用
1.進学先によって違う大学費用
日本政策金融公庫「平成29年度教育費負担の実態調査結果」(以下、同調査結果)より、大学生にかかる教育費を見ていきましょう。
図1 進学先別大学費用の平均額
※入学費用には、受験費用・学校納付金・入学しなかった学校への納付金、在学費用には、学校教育費(授業料、通学費など)・家庭教育費が含まれています。
資料:日本政策金融公庫「平成29年度教育費負担の実態調査結果」をもとに執筆者作成
国公立大学は、入学費用が約69.2万円、在学費用が1年あたり約108.5万円となり、4年間の合計では約503.2万円が平均額となります。私立大学では、大学や学部によって差があります。文系学部は、入学費用が約92.9万円、在学費用は1年あたり約161.3万円が平均額となり、4年間の合計では約738.1万円です。理系学部になると入学費用が約87.0万円、在学費用は約180.2万円で、4年間の合計で約807.8万円が平均額となりますが、理系学部は大学院に進む学生の割合が高いため、大学院進学への備えも必要になる可能性があります。
3.入学金や下宿準備のため、高校3年生の時点で費用がかかる
大学進学を希望する場合、受験のための学習塾費用に加えて、受験費用や入学金など多くの費用を高校3年生の時点で支払わなければならないことに注意しておきましょう。特に、遠方の大学へ自宅外通学をする場合は、大学に通うための住まいを入学前に決めることになりますので、高校3年生の時点で費用がかかります。
(2)自宅外通学や就職活動の費用
1.4年間の仕送り額は約372万円が平均
同調査結果によると、自宅外通学をする場合、アパートの敷金・礼金、家財の購入費など、初期費用として平均37.5万円かかっています。自宅外通学者への仕送り額の平均は年額93.0万円、1カ月あたりでは約7.7万円となっています。卒業まで4年間続けると仕送り総額は372.0万円、初期費用をあわせると全体で409.5万円にもなります。
2.見落としがちな就職活動費用
就職活動にも費用がかかります。スーツや靴などの被服費、就職活動対策のセミナー参加費、資格取得のためのスクール費、職種によっては運転免許の取得費用などもかかります。応募先が遠方の場合、説明会から始まって面接に何度も通うとなると交通費もかかってきます。就職活動費用についても家族で話し合うことが大切です。
3.20歳からの国民年金の支払いをどうする?
学生でも20歳になったら国民年金加入の義務があり、国民年金保険料(平成29年度は16,490円)を納めなければなりません。ただし、学生の場合は「学生納付特例制度」といって、在学中の保険料の納付が猶予される制度があります。手続きをせずに「未納」となってしまわないようにしましょう。
(3)奨学金の種類について
早くから教育費の準備を始めても、手元の資金が足りなくなったときのために、奨学金については確認しておきましょう。奨学金を利用することで手元の資金だけでは諦めざるを得ない進学先が選択肢に入ってくることもあります。奨学金には貸与型だけでなく、給付型のものもありますので、情報を収集して上手に利用できるとよいでしょう。授業料の免除制度がある大学もあり、大学によっては独自の奨学金を設けているところもあります。
教育費の準備はできるだけ早く
図2より、国公立大学へ自宅通学する費用のみの場合が503.2万円。国公立大学に合格しても自宅外通学になると409.5万円がプラスされ、約912.7万円と大きな費用になります。教育費として1,000万円近い金額を負担しても、さらに就職活動費用なども必要となることがあります。
親としてできることは、早めの計画と準備です。図2を参考に、子どもの教育費のための貯蓄を預貯金や保険(学資保険・低解約返戻金型終身保険など)などでどう備えるか確認してみるところから始めましょう。また、子どもが高校生になり進路が見えてきたら、奨学金の情報も収集して家族で話し合い、活用していきましょう。
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コラム執筆者プロフィール
加藤 葉子 (カトウ ヨウコ) - 女性とシングルマザーのお金の専門家
- 離婚を機にお金の勉強を始め、3年間で子どもの教育費を貯める。自身のブログ「女性とシングルマザーのお金の話」に全国の女性から切実なお金の相談が寄せられ、NHKのWEBコラム執筆を機に独立。3年間で1,500件以上の相談を受けている。現在は、女性ファイナンシャルプランナーのための実務講座やオンライン講座を配信中。
マイライフエフピー代表
ファイナンシャルプランナー 加藤 葉子
※この記載内容は、当社とは直接関係のない独立したファイナンシャルプランナーの見解です。
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