500万円のポートフォリオを考えてみよう
考え方の基本は金額が多くなっても変わらない
ポートフォリオ運用の必要性については、コラム「100万円のポートフォリオを考えてみよう」でまとめたとおりです。金額が500万円に増えたとしても、基本となる考え方は100万円の場合や300万円の場合(「300万円のポートフォリオを考えてみよう」参照)と同様です。これからの将来に起こりうるさまざまな事態に備えるためにも、さまざまな種類の資産を組み合わせたポートフォリオで運用を考えていきましょう。
まずは、今後のインフレに備えるために、国内の株式で運用されている投資信託(ファンド)、具体的には、TOPIX(東証株価指数)に連動するファンドあたりを筆頭に、コスト負担の軽い、そして国内株式全体の値動きに沿ったものをポートフォリオに加えておきます。また、インフレに備えるためのその他の資産として、国内不動産や金などがよいと思うなら、REITファンドやコモディティ(商品)で運用されるファンドなどを持っておくのもよいでしょう。
それから、今後の円安に備えるために、外国債券や外国株式、外国不動産などで運用されているファンドもポートフォリオに加えていきます。ここでも、無難な選び方の基本は変わりませんが、コスト負担が軽く、それぞれの資産の代表的な相場指標に連動するファンドを優先的に検討していくべきでしょう。
なお、預貯金や国内債券のような商品は、相対的に値動きが小さい商品、または値動きのない商品といえますが、それらをどの程度ポートフォリオに加えるかは、見かけの金額の増減がないような安全性を重視する度合いによって違ってきます。例えば、すぐに動かす予定のあるお金は預貯金、すぐに使うわけではないものの、将来的には使う予定がだいたい決まっているお金は国内債券、といったように考えて振り分けていくとよいでしょう。
安全性重視であっても預貯金よりは債券を重視
ちなみに、多くの人にとって、預貯金の割合はあまり高める必要はないと思われます。不測の事態に備えて預貯金にしておくという考え方自体は問題ありませんが、50万円、100万円といったまとまった金額のお金が急に必要になることは皆無に近いと思われるからです。
たとえ、急遽まとまったお金が必要になっても、投資信託などであれば、4営業日目や5営業日目には現金化できるのが通常ですので、預貯金にこだわる必要はないでしょう。1、2カ月分の生活費程度を預貯金にしておけば十分ではないかと思われます。
では、具体的な組み合わせを考えてみましょう。あくまでも一つの例ですので、このような組み合わせを参考にしつつ、自分なりの組み合わせを考えてみてください。
まず、500万円のうち、50万円を預貯金として、残りの450万円の組み合わせを考えます。ポートフォリオ全体の値動きを大きくしすぎないように考えると、国内債券のファンドを多めにして180万円、そして、国内株式のファンドを80万円、外国債券のファンドを90万円、外国株式のファンドを50万円、国内不動産のファンドを20万円、外国不動産のファンドを20万円、金などのコモディティのファンドを10万円、などといったように、さまざまな資産を組み合わせます。
なお、ポートフォリオ全体の値動きがもう少し大きくてもいいと思えるなら、ポートフォリオに占める株式の割合を高めてもいいですし、将来の円安リスクをもっと重視したいと思うなら、外国の資産の割合を高めてもいいでしょう。
ポートフォリオの組み合わせの割合に正解はありません。自分なりのバランスを考えて実践していくことが、上手なポートフォリオ運用の基本だといえます。また、組み合わせの割合は一度決めたらそれで終わりではありません。年に1回など、そのままの割合でいいかどうか、見直しを検討していくことも忘れないようにしましょう。
-
コラム執筆者プロフィール
菱田 雅生 (ヒシダ マサオ) マイアドバイザー.jp®登録 - 早稲田大学法学部卒業後、大手証券会社を経て独立系ファイナンシャルプランナーに。平成20年、ライフアセットコンサルティング株式会社を設立。
資産運用や住宅ローンなどを中心に、相談業務や原稿執筆、セミナー講師等に従事している。
ファイナンシャルプランナー 菱田 雅生
※この記載内容は、当社とは直接関係のない独立したファイナンシャルプランナーの見解です。
※掲載されている情報は、最新の商品・法律・税制等とは異なる場合がありますのでご注意ください。