300万円のポートフォリオを考えてみよう
コスト負担の軽いファンドでインフレや円安に備える
ポートフォリオ運用の必要性については、コラム「100万円のポートフォリオを考えてみよう」でまとめたとおりです。金額が300万円に増えたとしても、基本となる考え方は同様です。将来起こりうるさまざまな事態に備えるためにも、さまざまな資産を組み合わせたポートフォリオで運用を考えていきましょう。
まずは、将来のインフレに備えるために、国内の株式で運用されている投資信託(ファンド)をポートフォリオに加えます。具体的には、TOPIX(東証株価指数)に連動するファンドあたりを筆頭に、コスト負担の軽い、そして国内株式全体の値動きに沿ったものを選択するのが無難です。特定の業種や銘柄に投資対象を絞ってしまうと、それだけ値動きが大きくなる可能性がありますので、最初に選択するのは相場指標に連動するようなタイプがよいでしょう。
また、インフレに備えるためのその他の資産としては、国内不動産や金などが挙げられます。国内不動産としては、不動産投資信託であるJ-REIT(ジェイ・リート)に分散投資をしているREITファンドがあるので、東証REIT指数に連動するようなファンドあたりからポートフォリオに組み入れてみるのもよいでしょう。
金やその他のコモディティ(商品)についても、貴金属、穀物、エネルギーなどの商品価格に連動するファンドがありますので、それらを少しずつでも持っておくと、株式とは少し違った値動きで将来のインフレに備えられる可能性が増すと考えられます。
それから、将来の円安に備えるためには、外国債券や外国株式、外国不動産などで運用されているファンドを選択していきます。ここでも、無難な選び方としては、コスト負担が軽く、それぞれの資産の代表的な相場指標に連動するファンドを優先的に検討していくべきでしょう。
安全性重視の資金は預貯金や国内債券を
なお、値動きが小さい、または値動きのない資産としては、預貯金や国内債券が挙げられますが、それらをどの程度ポートフォリオに加えるかは、見かけの金額の増減がないような安全性を重視する度合いによって違ってきます。例えば、すぐに動かす予定のあるお金は預貯金、すぐに使うわけではないものの、将来的には使う予定がだいたい決まっているお金は国内債券、といったように考えて振り分けていくとよいでしょう。
このように考えていくと、自分なりのポートフォリオが見えてくるのではないでしょうか。参考までに、具体的な組み合わせを考えてみますと、300万円のうち、50万円を預貯金とすると、残りの250万円の組み合わせとしては、国内債券のファンドが90万円、国内株式のファンドが55万円、外国債券のファンドが50万円、外国株式のファンドが30万円、国内不動産のファンドが10万円、外国不動産のファンドが10万円、金などのコモディティのファンドが5万円、などといったように、さまざまな資産を組み合わせたポートフォリオが無難でしょう。
なお、ポートフォリオ全体の値動きが多少大きくてもいいと思うなら、株式の割合をもう少し高めてもいいですし、将来の円安リスクを重視したいと思うなら、外国の資産の割合をもっと高めてもいいでしょう。
ポートフォリオの資産の組み合わせ割合に正解はありません。自分で納得できる割合を自分なりに考えてみましょう。
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コラム執筆者プロフィール
菱田 雅生 (ヒシダ マサオ) マイアドバイザー.jp®登録 - 早稲田大学法学部卒業後、大手証券会社を経て独立系ファイナンシャルプランナーに。平成20年、ライフアセットコンサルティング株式会社を設立。
資産運用や住宅ローンなどを中心に、相談業務や原稿執筆、セミナー講師等に従事している。
ファイナンシャルプランナー 菱田 雅生
※この記載内容は、当社とは直接関係のない独立したファイナンシャルプランナーの見解です。
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