60代夫婦は、定年退職後の新たなライフステージを迎えます。男性の平均寿命を約80歳と想定すると、あと約20年を夫婦で暮らしていくことになります。
(公財)生命保険文化センターの「平成28年度 生活保障に関する調査」によると、60歳代の最も不安な生活上の不安項目として、「自分の介護が必要となること」が19.9%、「年をとって体の自由がきかなくなり、病気がちになること」が19.7%となっており、多くの方が年を重ねるごとの病気のリスクや介護のリスクを不安に思っています。安心で豊かな老後の生活を送るために、医療と介護にかかる費用の備えを充実させましょう。
20代 | 30代 | 40代 | 50代 | 60代 |
---|---|---|---|---|
12,869円 | 13,318円 | 13,588円 | 13,246円 | 12,008円 |
終身保険 | 定期保険 | 収入保障保険 | 医療保険 | がん保険 | 女性保険 | 個人年金保険 | |
---|---|---|---|---|---|---|---|
60代 | 18,224円 | 9,421円 | 13,162円 | 9,536円 | 5,531円 | 6,289円 | 32,789円 |
全年代 平均 |
16,317円 | 5,992円 | 5,980円 | 6,279円 | 3,778円 | 4,661円 | 16,678円 |
平均月払保険料は、全年代のなかで最も低くなっています。一方、保険カテゴリ別月払保険料は、個人年金保険の月払保険料が全年代平均の倍となっています。
病気がちになり、医療費の負担が大きくなると生活費の負担も大きくなるため、万一そうなった場合でも負担をカバーできる保障として個人年金保険への加入が考えられます。
保険市場 契約件数調べ
調査期間:2015年3月24日~2017年3月24日
調査対象:保険市場コンサルティングプラザで対面にてご契約いただいたお客さまのデータにもとづく
60代夫婦へのアドバイス
加入している医療保険やがん保険の内容を確認しましょう。
特に、若いときに加入した保険であれば以下に当てはまる場合には見直しを検討することをおすすめします。
終身保険や養老保険に加入している場合、保険証券に疾病特約・災害入院特約・先進医療特約・がん特約などを付加しているか確認しましょう。
生命保険は主契約と特約の組み合わせで成り立っています。簡単に説明すると、保険は主契約だけで契約できます。特約は単独では契約できず、主契約に付加して契約することにより主契約の保障内容を充実させることができます。
例えば、主契約が終身保険や養老保険などで医療保障が特約の場合、主契約が満期・解約などによって消滅した場合は、特約の医療保障も併せて消滅してしまいます。必要なときに保障が不足しないように、保険の見直しを検討しましょう。
若いときに加入した医療保険やがん保険が、家族契約といわれる「夫婦で一つの保険契約」になっていませんか?現在はあまりみられない契約ですが、家族契約は主たる被保険者が夫(妻)で、従たる被保険者が妻(夫)や子どもです。一般的に、主たる被保険者の保障をやめ、従たる被保険者の保障内容だけを残すことはできませんが、主たる被保険者の変更ができる場合があります。また給付金額は、主たる被保険者よりも少なく、個別の保障額を自由に決められないこともあります。
このような契約の場合には保障の見直しを検討しましょう。
ご加入中の医療保険やがん保険の保障内容をしっかり確認しましょう。
現在は主流ではないのですが、過去のがん保険のなかには、65歳以降の通院給付金や死亡保険金などの保障額が半額になってしまったり、満額支給されるものが入院給付金などの一部だけの保障になったりするものがあります。
また医療保険の入院保障が5日目からという場合もあります。
このような保障内容の場合には医療の進歩にあわせた見直しを検討しましょう。
公的医療保障制度には「高額療養費制度」と「後期高齢者医療制度」があります。
高額療養費制度では、医療機関や窓口で支払う医療費が1カ月(1日から末日まで)で個人負担の上限額を超えた場合、その超えた額の支給を受けることができます。
平成30年2月現在、70歳以上で、一般的な年収世帯(年収156万~約370万円)の場合は以下になります。(上限額は年収により異なります。)
<ひと月の個人負担の上限額>
世帯ごと57,600円(外来・個人ごと14,000円)
※多数回44,400円(過去12カ月以内に3回以上、上限額に達した場合、4回目から負担額の上限が下がります。)
※平成30年8月診療分から70歳以上の方の個人負担の上限額が変わります。
また、75歳以上になると後期高齢者医療制度で窓口自己負担は1割になります。
公的医療保障制度と貯蓄で備えることが可能であれば、不要な医療保険については解約を検討してもよいでしょう。逆に、それだけでは不安な場合は新たに加入するなどして備えましょう。
なお、持病などがあると新たな保険加入が難しくなります。その場合には「引受基準緩和型」や「無選択型」の医療保険を検討しましょう。
引受基準緩和型は加療中・病歴のある場合でも、所定の範囲内であれば加入できる医療保険です。ただし、契約後1年間は給付金額が半額になるなど保障内容に制約があります。
無選択型は、加入する際に健康状態に関する告知が不要です。ただし、一定期間は給付金の支払いがないなど保障内容に制約があります。
どちらも通常の医療保険に比べて保険料が高くなります。
保険に加入し直す場合、保障のない期間が発生しないように、必ず新しい保険が成立してから今までの保険を解約することに注意をしましょう。
現在のがん治療は標準治療(手術・抗がん剤治療・放射線治療)が主流になっており、手術代、検査代、薬代といった直接的な治療費は公的医療保険で3割負担になっています。しかし、がん治療のなかには公的医療保険の適用外の治療があり、高額な治療費がかかる場合もあります。高額な治療費がかかったときのために貯蓄で備えることが難しく、不安に感じる場合には、がん保険への新たな加入を検討しましょう。
その際、がん保険には保険料払込免除特約を付加することで、がんと診断された後の保険料の払い込みが不要になるものもあるので一考したいところです。新たに加入する際、一般的にがん保険の保障開始には「契約成立から90日の待機期間」があるので、新契約の保障開始後に旧契約を解約しましょう。
(公財)生命保険文化センターの「平成27年度 生命保険による全国実態調査」によると、介護を行なった期間の平均は59.1カ月(4年11カ月)で、一番多かった期間は4~10年未満で全体の29.9%です。仮に介護期間を5年と想定した場合、平均寿命(男性約80歳、女性約87歳)から逆算すると、男性は75歳・女性は82歳までに介護費用を備えておきたいところです。
同調査によると介護費用(公的介護保険サービスの自己負担額含む)の平均は以下になります。
一時的な費用:80万円(住宅のリフォームや介護用ベッド購入など)
継続的な費用:月額7.9万円
介護期間59.1カ月から合計額を計算すると1人当たり約550万円、夫婦で約1,100万円の介護費用の備えが必要になります。
(公財)生命保険文化センターの「平成28年度 生活保障に関する調査」によると、自分が要介護状態になった場合に備えて経済的準備をしている人は全体の約半分、そのなかの準備手段として多い順に「預貯金」と「生命保険」です。
民間の介護保険は、保険契約に定める所定の要介護状態になった場合に現金を受け取れ、受取方法は「一時金(介護一時金)」「年金(介護年金)」「一時金と年金の併用」の3つになります。
また、保険期間を一定期間または一定年齢までに限定する「定期型」と保険期間を一生涯とする「終身型」があります。
加入に際しては、以下の方法が考えられます。
預貯金で備えるのが難しい場合には、公的介護保障制度を補完する備えとして民間の介護保険の利用を検討しましょう。
ファイナンシャルプランナー
加藤 葉子(カトウ ヨウコ)女性とシングルマザーのお金の専門家
離婚を機にお金の勉強を始め、3年間で子どもの教育費を貯める。自身のブログ「女性とシングルマザーのお金の話」に全国の女性から切実なお金の相談が寄せられ、NHKのWEBコラム執筆を機に独立。3年間で1,500件以上の相談を受けている。現在は、女性ファイナンシャルプランナーのための実務講座やオンライン講座を配信中。
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注1:共通プラットフォームシステム(名称:Advance Create Cloud Platform)の略称
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