節約するなら安全運転?
2014年4月から消費税率が5%から8%へアップしました。この消費税増税に伴って、財布のひもを握る主婦の皆さんの中には、家計見直しを図ったり、節約に努めていたりする方もいらっしゃるかもしれませんね。今後は、車の安全運転も家計に大きく寄与するポイントになることをご存知でしょうか?
自動車保険が変わった!!
任意の自動車保険は等級によって保険料が異なります。原則として、6等級からスタートし、無事故(自動車保険を使わなかった事故を含む)が継続すると年に1等級ずつランクアップし、保険料の割引率が大きくなります。逆に事故で生じた損失に対して自動車保険を使うと、3等級ダウンになり、保険料の割引率が小さくなります。
この自動車保険の等級制度は、損害保険料率算出機構が改定を行い、2012年4月1日に新制度が導入されています。保険会社によって、導入時期は様々ですが、既に新しい等級制度での対応になっている保険会社が多いでしょう。自動車保険の新しい等級制度はどのような改定がなされたのでしょうか?
新制度では、事故で自動車保険を使った場合、3等級ダウンするのは旧制度と同じです。しかし、旧制度と異なるのは、等級ダウン後、「事故あり」の等級が適用されるということです。
例えば、16等級の方が事故で自動車保険を使った場合、「事故あり」の13等級になります。これは、7年無事故で13等級になった場合の「無事故」の13等級とは別物です。ちなみに、「事故あり」の13等級の割引率は29%ですが、「無事故」の13等級における割引率は49%。つまり、「事故あり」の等級の方が同じ等級でも保険料が高くなるということです。しかも、その「事故あり」の等級で計算される期間は3年間続きます。その間無事故であれば、4年後に「無事故」の等級に復帰できるという仕組みです。
等級プロテクトの廃止
今回のこの改定により、実は、損害保険会社各社で等級プロテクト特約の廃止が決定されていることをご存知でしょうか?等級プロテクト特約とは、事故で自動車保険を使っても1年に1回だけであれば等級が維持されるという嬉しい特約でした。しかし、もうその恩恵にあずかることはできず、等級を維持するためには安全運転で無事故を継続させていくか、事故に遭ってもその損失等に対して自動車保険を使わずに自腹を切るか、という選択になります(※保険会社によって、等級プロテクト特約廃止の時期は異なります)。
とはいえ、相手方に多額の賠償が必要である場合に、自動車保険を使わないという選択肢は非現実的です。しかし、等級ダウンすることによる保険料のアップと損失補てん費用を天秤にかけて、損失補てん費用の方が少額であるのであれば、自動車保険を使わないという選択肢も考えたほうが良いケースもあるでしょう。
等級据え置き事故の廃止
等級制度の改定点は、もうひとつあります。それは等級据え置き事故の廃止です。
等級据え置き事故とは火災、台風・竜巻・洪水または高潮等の自然災害、飛び石等による窓ガラス破損、飛来・落下物による損傷、落書き・イタズラ被害といった原因で、自分に責任のない被害を自動車に受ける事故のことをいいます。なぜ、等級据え置き事故というかというと、従来は等級据え置き事故を原因として生じた修理費用等を自動車保険から補償を受けても、等級が下がることはなかったからです(1年に1回が限度)。しかし、この制度も今回の改定により廃止され、1等級ダウン事故として扱われることになります(※制度改定の導入時期は保険会社によって異なります)。
1等級ダウン事故については、1年間「事故あり」の等級で保険料が計算され、その後「無事故」の等級に復帰することになります。
目先の100円の節約よりも
消費税が2015年10月には現行の8%から10%へと、さらなる増税が予定されています。目先の100円の買い控えといったように、家計における「点」だけを見るのではなく、家計全体、そしてライフプラン全体を踏まえて、見直しが必要な生活のお金や利用の仕方次第で費用が上がってしまう固定費に目をむけて見ることのほうが、大事なことのように思います。
今回、取り上げた自動車保険の等級制度についても、セミナー等で「安全運転を心がけて、事故を起こさないようにすることが、今後節約効果を生むこともありますよ」とお話しすると、意図することが分からず、キョトンとされる方も少なくないのが実情です。制度の変化にアンテナを張り、柔軟に対応できるようにしておくことも、家計管理に大切な要素なのかもしれませんね。
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コラム執筆者プロフィール
キムラ ミキ (キムラ ミキ) マイアドバイザー.jp®登録 - 鳥取県立米子東高等学校卒業後、日本社会事業大学 社会福祉学部 福祉計画学科にて福祉行政を学ぶ。
大学在学中にAFP、社会福祉士を取得。大学卒業後、アフラックでの保険営業を経て、株式会社アゼル(マンションデベロッパー)にてマンション営業、マンション営業企画に携わる。その後FP会社でのスタッフ経験を経て、ファイナンシャルプランナーとして独立。
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コラム監修者プロフィール
山本 俊成 (ヤマモト トシナリ) マイアドバイザー.jp®登録 - ファイナンシャルプランナー。
大学卒業後、株式会社三和銀行(現三菱UFJ銀行)入社。
2003年、外資系生命保険会社入社。
2005年、総合保険代理店株式会社ウィッシュ入社。
2010年、株式会社ファイナンシャル・マネジメント設立。
銀行と保険会社に勤めていた経験を活かし実務的なコンサルティングを行う。
ファイナンシャルプランナー キムラ ミキ
※この記載内容は、当社とは直接関係のない独立したファイナンシャルプランナーの見解です。
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