40代には懐かしいRVの自動車保険料

私は本コラムを書いている時点(2013年12月)では48歳。社会人になった時は、まだバブル景気が続いていました。社会人になってまもなく1991年にバブルは崩壊してしまったのですが、バブルを引きずっている感もあった90年代前半に人気があった自動車といえば、RV(リクリエーショナル・ビークル、本コラムではレジャー用途向けの四輪駆動車とする)。キャリアをつけたRVにスキー板を積んで、スキー場に行くのが定番のレジャーという時代で、トレンドに乗っかるのが好きな私も冬は毎週のようにスキー場に行っていました。その頃真剣に欲しかった車といえば、三菱「パジェロ」、トヨタ「ランドクルーザ」、そしてスバル「レガシィツーリングワゴン」がトップ3だったことを思い出します。
最近の売れ筋自動車は何?
そんな時代を過ごした1人としては、最近の新車販売ランキングに時代の変化を感じずにはいられません。トップ10のうち6台を軽自動車が占め、他の4台もそのうち3台は小型自動車です。1位と2位はハイブリッド車が占めています。
1位 : アクア (トヨタ) | 12万7,993台 | |
---|---|---|
2位 : プリウス (トヨタ) | 12万1,634台 | |
3位 : N BOX (ホンダ) | 11万0,155台 | (軽自動車) |
4位 : ムーヴ (ダイハツ) | 10万7,591台 | (軽自動車) |
5位 : ワゴンR (スズキ) | 8万8,071台 | (軽自動車) |
6位 : ミラ (ダイハツ) | 7万6,690台 | (軽自動車) |
7位 : フィット (ホンダ) | 6万7,918台 | |
8位 : ノート (日産) | 6万6,259台 | |
9位 : スペーシア (スズキ) | 6万4,003台 | (軽自動車) |
10位 : タント (ダイハツ) | 6万0,069台 | (軽自動車) |
※資料:一般社団法人 日本自動車販売協会連合会および全国軽自動車協会連合会ホームページ(2014年1月29日時点)
このような変化には様々な要因がありますが、会社員の平均給与が90年代に比べるとかなり減少し、価格も税金も安く燃費がよい軽自動車の経済性が評価されていることを、大きな要因の1つに挙げることができるでしょう。軽自動車は合理的な選択だと理解できますが、RVの広い車内で仲間や家族とワイワイ騒ぎながら長距離ドライブする楽しさや快適さも、捨てがたいものです。「今、RVを所有したらどうだろうか・・・」と考えて、まずは自動車保険料を調べてみました。
RVと他の車の自動車保険料の比較
かつての私の憧れの車であるパジェロとレガシィツーリングワゴンの最新型を新車で購入したと仮定して、ある通販型自動車保険に加入した場合の概算保険料が下の表です(金額は一例です)。比較のため、ハイブリッドの代表としてアクア、軽自動車の代表としてN BOXの自動車保険料も調べたところ、「意外と差はない」というのが、私の印象でした。一般タイプの車両保険をつけたとしても、1番高いパジェロの保険料は約93,000円(1回払の年保険料、以下同様)、1番安いN BOXが約53,000円です。その差は年間で約40,000円です。
RV | ハイブリッド車 | 軽自動車 | ||
プラン |
パジェロ (SHORTディーゼル 型式V88W) |
レガシィツーリングワゴン (2.5i 型式BRM) |
アクア (S 型式NHP10) |
N BOX (G・Lパッケージ 型式JF1) |
---|---|---|---|---|
プラン1 (車両保険一般タイプ、 免責1回目5万円・ 2回目以降10万円) |
約93,000 | 約84,000 | 約72,000 | 約53,000 |
プラン2 (車両保険エコノミータイプ、 免責1回目10万円・ 2回目以降10万円) |
約60,000 | 約50,000 | 約45,000 | 約38,000 |
契約開始日 | 2014年2月1日 | 対人・対物賠償 | 無制限 |
初年度登録 | 2014年1月 | 人身傷害 | 3,000万円、車内のみ補償 |
使用目的 | 主に家庭用 | 搭乗者傷害 | なし |
年間走行距離 | 8,000km | 車両保険 保険金額 | パジェロ 400万円 |
記名被保険者の年齢 | 45歳 | レガシィツーリングワゴン 250万円 | |
等級 | 10等級 | アクア 180万円 | |
事故あり係数適用期間 | 0年 | N BOX 160万円 | |
事故件数 | 0件 | 支払方法 | 1年払 |
運転者限定 | 本人・配偶者に限定 | 保険期間 | 1年 |
年齢条件 | 30歳以上補償 | その他 | インターネット割引・新車割引を適用 |
資料:ある通販型自動車保険で自動車保険見積りを実施し、執筆者作成(2014年1月29日時点、金額は一例です)
もう少し金額を抑えたいと思った場合には、車両保険をエコノミータイプに変えるという選択もあります。エコノミータイプが一般タイプと異なるのは、「自分が単独でぶつかった事故(自損事故)」と「当て逃げ(相手がわからない)事故」が補償されないという点です。車が新しいうちは自損事故や当て逃げ事故が起こった場合、損害額が大きくなる可能性があるため一般タイプにし、購入してから期間が経過し車の市場価格が下がってくればエコノミータイプにするといった使い分けも考えられます。
車両保険をエコノミータイプにして、1回目の事故の免責金額を10万円まで上げれば、パジェロでも約60,000円となりN BOXの約38,000円との差は約22,000円まで縮みます。レガシィツーリングワゴンであれば約50,000円ですから、月あたりで考えると1,000円の差もありません。
RVは維持費を考えることが大切
RVと軽自動車の車両価格にはかなりの差がありますが、車両価格の支払いは1回だけです。軽自動車を除く乗用車の平均使用年数は2013年3月末で12.58年(一般社団法人 自動車検査登録情報協会「車種別の平均使用年数推移表」より)と長く、RVの新車であれば10年乗ると想定してもよさそうです。車両価格の10分の1を1年あたりのコストと考えれば、RVと軽自動車との差は意外に大きくなく、軽自動車より長く乗ることができれば、RVはその分コストを低く考えることもできます。
はっきり差がわかる車両価格に比べ、差がわかりにくい維持費をしっかり想定することが、家計への負担を考えるコツになります。維持費の差は積み重なって大きな金額差になる可能性があるからです。自動車保険料は思ったほど差がないと確認できたのですが、問題は燃料費です。各車の燃費性能は以下の通りです。
パジェロ (SHORT ディーゼル車 VR-Ⅱ) | 10.4km/L |
---|---|
レガシィツーリングワゴン (2.5i B-SPORT) | 14.4km/L |
アクア (グレードG・S・L) | 37.0km/L |
N BOX (G・Lパッケージ <FF>) | 25.2km/L |
※資料:各社ホームページ(2014年1月29日時点)
パジェロはディーゼル車の値で、軽油の価格はガソリンより10数%程度安いことを考えると、燃料費の負担はこの差ほどではないでしょうが、それでも燃費性能の差は大きなものがあります。例えば、年間走行距離8,000km、ガソリン1L価格155円、軽油1L価格135円として、カタログ値の燃費性能が実現できたとすると、年間の想定される燃料費は、パジェロ10万3,846円、レガシィツーリングワゴン86,111円、アクア33,514円、N BOX 49,206円となります。実際の燃費はカタログ値より低下すると考えると、これより金額は増え金額差も広がることになります。
燃料費は年間走行距離8,000kmで考えましたが、毎日通勤で使う人はそれを超えるでしょうし、主に休日のレジャー用途という人はそれを下回りそうです。燃料費はその人の使い方によって大きな差があります。年間走行距離による割引で自動車保険料も変わるため、RVの維持費を受け入れられるかどうかは、その人の走行距離がどの程度かによるところが大きいですね。私自身は休日のレジャー用途で走行距離がそれほど長くならないため、RVもあり得るかと思いましたが、みなさまはどう思われたでしょうか。なお、90年代前半には使われていなかったSUV(スポーツ・ユーティリティー・ビークル)というジャンル名が今では定着し、RVという言い方を使うことは減ってきていますので、30代以下の人と車のことを話す時にはご注意を!

-
コラム執筆者プロフィール
平野 雅章 (ヒラノ マサアキ) マイアドバイザー.jp®登録 - CFP認定者、1級ファイナンシャル・プランニング技能士、住宅ローンアドバイザー。
住宅ローンや生命保険を中心に1,000件を超える個人相談実績がある相談専門ファイナンシャルプランナー。
豊富な相談経験に基づいた執筆や講演も多数。
横浜FP事務所代表の他、(社)全国ファイナンシャルプランナー相談協会の代表理事を務めている。

-
コラム監修者プロフィール
山本 俊成 (ヤマモト トシナリ) マイアドバイザー.jp®登録 - ファイナンシャルプランナー。
大学卒業後、株式会社三和銀行(現三菱UFJ銀行)入社。
2003年、外資系生命保険会社入社。
2005年、総合保険代理店株式会社ウィッシュ入社。
2010年、株式会社ファイナンシャル・マネジメント設立。
銀行と保険会社に勤めていた経験を活かし実務的なコンサルティングを行う。
ファイナンシャルプランナー 平野 雅章
※この記載内容は、当社とは直接関係のない独立したファイナンシャルプランナーの見解です。
※掲載されている情報は、最新の商品・法律・税制等とは異なる場合がありますのでご注意ください。