妻子あり40代男性が自動車保険料を抑えるコツ

妻子あり40代男性が自動車保険に加入する時、ポイントとなるのは何でしょうか。様々なことが考えられると思いますが、最も重要なポイントの一つとして、運転者の範囲と年齢条件を挙げることができるでしょう。このコラムでは、運転者の範囲と年齢条件の適切な設定により保険料を抑えるコツを解説します。
運転者の範囲と年齢条件とは
自動車保険は契約車両を運転する人にかかわらず補償されるのが基本ですが、特約をつけて運転者の範囲を限定することで保険料を抑えることができます。運転者の範囲を限定する特約として、「家族限定特約」「本人・配偶者限定特約」が一般的ですが、「本人限定特約」が選べる保険会社もあります。
運転者の年齢を限定することで保険料を抑えられる年齢条件の制度もあります。若年層はリスクが高いという過去の事故率の統計結果があり、年齢条件で年齢が低い人を補償の対象外にすると保険料が安くなるのです。保険会社が定めている一般的な年齢条件には、「年齢を問わず補償」「21歳以上補償」「26歳以上補償」「35歳以上補償」がありますが、通販型の自動車保険では、「35歳以上補償」の代わりに「30歳以上補償」としている保険会社も多いです。
保険料を抑える運転者の範囲と年齢条件の選択
「プリウス」の最新型を新車で購入したと仮定して、運転者の範囲と年齢条件を変えて、自動車保険料をある通販型自動車保険で調べた結果が下の表です。
運転者の限定なし | 家族限定 | 本人・配偶者限定 | 本人限定 | |
---|---|---|---|---|
年齢を問わず補償 | 約231,000 | 約224,000 | 約217,000 | - |
21歳以上補償 | 約131,000 | 約127,000 | 約121,000 | - |
26歳以上補償 | 約95,000 | 約92,000 | 約87,000 | - |
30歳以上補償 | 約92,000 | 約89,000 | 約85,000 | 約83,000 |
契約開始日 | 2014年3月1日 | 対人・対物賠償 | 無制限 |
初年度登録 | 2014年2月 | 人身傷害 | 3,000万円、車内のみ補償 |
車名 | トヨタ プリウス | 搭乗者傷害 | なし |
年間走行距離 | 8,000km | 車両保険 補償タイプ | 一般タイプ |
記名被保険者の年齢 | 48歳 | 車両保険 免責金額 | 1回目5万円・2回目以降10万円 |
等級 | 10等級 | 車両保険 保険金額 | 260万円 |
事故あり係数適用期間・事故件数 | なし | 保険期間 | 1年(1回払) |
資料:ある通販型自動車保険のホームページで見積りを実施し、執筆者作成(2014年2月10日時点、金額は一例です)
これを見てわかるのは、運転者の範囲を限定することによる保険料抑制効果はそれほど大きくなく、年齢条件で高い年齢のみを補償対象とすると、保険料の抑制効果が大きいということです。40代男性に当てはめて考えると、子どもの年齢に応じた年齢条件の設定が大きなポイントとなります。
夫婦と子どもだけで住んでいれば、子どもが免許を持っていない間は、「本人・配偶者限定特約」または「本人限定特約」のどちらかを選び、年齢条件を最も高い区分にすることができるでしょう(妻がかなりの年下という人は、この限りではありません)。
子どもが高校を卒業してすぐに免許を取ったという時が、最も悩むところです。同居の子どもが父親の自動車を運転するのであれば、「家族限定特約」を選び、子が21歳になるまでは年齢条件を「年齢を問わず補償」とすることになりますが、保険料はそれまでの2倍以上になってしまいます。そこで、他の選択肢として検討したいのが、1日単位で加入できる自動車保険の利用です。例えば、ある保険会社が販売している保険では、携帯電話やスマートフォンから気軽に1日単位で加入できます。子どもの運転日数がそれほど多くなければ、親が加入している自動車保険の運転者の範囲と年齢条件は変えず、こうした自動車保険を子どもが運転する日だけ利用することにより、トータルでかなり保険料を抑えられるケースがあります。
同居の子どもが21歳になった時は、運転者の範囲を「家族限定特約」、年齢条件を「21歳以上補償」とするのが一般的ですが、「年齢を問わず補償」と比べると大幅に保険料が下がります。前述の1日単位で加入できる自動車保険を利用する場合との比較は、この場合も行う価値はありますが、損益分岐点となる子どもの運転日数はかなり少なくなります。40代では子どもが21歳になるのはまだ先という人が多いと思いますが、年齢条件変更の検討を忘れないようにしましょう。
別居の子どもがいる人は年齢条件に注意
注意したいのは、子どもが高校卒業後、進学等で親と別居する場合です。「家族限定特約」は、運転者の範囲を「家族」に限定するものですが、ここでいう「家族」とは、次の(1)~(4)に該当する人が一般的です。
- (1) 記名被保険者(主に車を使用する人)
- (2) 記名被保険者の配偶者
- (3) 記名被保険者またはその配偶者の同居の親族
- (4) 記名被保険者またはその配偶者の別居の未婚の子
一方、年齢条件が適用される範囲は、一般的には次の(1)~(4)に該当する人です。
- (1) 記名被保険者(主に車を使用する人)
- (2) 記名被保険者の配偶者
- (3) 記名被保険者またはその配偶者の同居の親族
- (4) 上記の方の業務(家事以外)に従事中の使用人
(4)だけ異なっている点に注目してください。別居の未婚の子どもは年齢条件が適用されないため、例えば、「家族限定特約」で年齢条件を「30歳以上補償」としても、30歳未満の別居の未婚の子どもが帰省中に運転して事故に遭った場合、補償されることになります。未婚の子どもが別居している時は、子どもの年齢を考慮して「年齢を問わず補償」を選ぶ、あるいは補償される年齢を低くする必要はないため、年齢条件の選択を誤って高い保険料を払わないように気をつけましょう。
また、「家族限定特約」で注意したいのは、結婚している別居の子どもが運転した場合は補償の対象外となる点です。40代であれば、まだ結婚している子どもがいる人は少ないと思いますが、将来的には注意が必要です。
ご家族の状況に合った運転者の範囲と年齢条件を選び、ムダな保険料を払わないようにしたいものですね。

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コラム執筆者プロフィール
平野 雅章 (ヒラノ マサアキ) マイアドバイザー.jp®登録 - CFP認定者、1級ファイナンシャル・プランニング技能士、住宅ローンアドバイザー。
住宅ローンや生命保険を中心に1,000件を超える個人相談実績がある相談専門ファイナンシャルプランナー。
豊富な相談経験に基づいた執筆や講演も多数。
横浜FP事務所代表の他、(社)全国ファイナンシャルプランナー相談協会の代表理事を務めている。

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コラム監修者プロフィール
山本 俊成 (ヤマモト トシナリ) マイアドバイザー.jp®登録 - ファイナンシャルプランナー。
大学卒業後、株式会社三和銀行(現三菱UFJ銀行)入社。
2003年、外資系生命保険会社入社。
2005年、総合保険代理店株式会社ウィッシュ入社。
2010年、株式会社ファイナンシャル・マネジメント設立。
銀行と保険会社に勤めていた経験を活かし実務的なコンサルティングを行う。
ファイナンシャルプランナー 平野 雅章
※この記載内容は、当社とは直接関係のない独立したファイナンシャルプランナーの見解です。
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