車両保険・免責金額とは?
車両そのものが壊れたときのための補償
車両保険とは、車(車両)そのものにかける保険です。事故や災害などの何らかの理由で車が壊れたときに、その損害に応じた保険金が支払われるようになっています。
車両保険の種類については、別のコラムでとりあげますが、一般的な車両保険の場合、補償の対象となるのが、衝突、火災・爆発、台風・洪水・高潮、盗難、自損事故、当て逃げなどによる損害です。車両保険は、それらの理由で車が壊れたときに、その修理代を補償する保険金が支払われます。
逆にいえば、例えば、台風や高潮などで車が水没して故障してしまった場合、車両保険に加入していないと修理代は全額を自分で負担しなければなりません。万一の場合に備えて加入しておくのもひとつの方法といえるわけです。
ただし、車両保険の保険料は、他の自動車保険の補償と比較しても、相対的に高くなっているといえます。保険料を節約したいのであれば、車両保険に加入しないという選択肢も検討すべきでしょうが、自然災害や衝突、自損事故などは、いつ起きてもおかしくありません。それらの事態が起きた際に、エンジンの故障やドアなどの凹みを直そうと思っても、車両保険に加入していなければ、修理代は全額自己負担になってしまいます。
ケースバイケースではありますが、ドアの凹みなどの修理にかかる費用は、数十万円前後になることも珍しくはないので、やはりそれらの費用負担に備えておきたいと思うなら、車両保険は加入しておくべきものだといえるでしょう。
免責金額を高くすると保険料は安くなる
なお、車両保険は、保険金額と免責金額の設定が保険料に大きな影響を及ぼす仕組みになっています。車両保険の保険金額は、新車の場合は車の本体価格とカーナビなどのオプション価格も含んだ価格で設定し、その後、毎年車の価値が下がるのに合わせて保険金額も下がっていくのが通常です。そして、免責金額とは、保険会社が保険金の支払い義務から免除される金額のことで、この免責金額を高く設定しておけば、保険会社にとっては保険金支払いの可能性を多少なりとも低く抑えることができる分、保険料を安くできるわけです。
免責金額の設定方法は、損害保険会社によって異なりますが、一般的なケースでは、「5‐10万円(車対車免責ゼロ特約)」とか「10‐10万円」、「15‐15万円」などと設定します。この数字は、左の数字が1回目の車両事故の免責金額で、右の数字が2回目の車両事故の免責金額を意味しています。
例えば、免責金額「5‐10万円」と設定した場合、1回目の車両事故に車両保険を使った場合、「損害額マイナス5万円」の保険金が支払われます。そして、契約期間中(通常1年間)に2回目の車両事故が起きてしまい、再び車両保険を使った場合、2回目なので「損害額マイナス10万円」の保険金が支払われることになるのです。
つまり、車両保険の免責金額は、車両保険を使う場合に自己負担しなければならない金額の上限であるわけです。この金額が大きいほど、保険会社の支払う保険金が少なくなる可能性が高まるので、保険料がそれだけ安くなるのです。
ちなみに、先ほど出ましたが、免責の中でも、「車対車免責ゼロ特約」といったものを付けられるようになっている場合もあります。この特約は、車対車の車両事故の場合は免責金額が0(=ゼロ)となって自己負担の必要がなくなるものです。
なお、実際に車両事故が起きた場合に、加入している車両保険を使うべきかどうかは、保険を使用することによって等級が下がり翌年の保険料負担が重くなる度合いと、車両保険を使わずに全額自己負担となる修理代などを天秤にかけて検討することが重要でしょう。
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コラム執筆者プロフィール
菱田 雅生 (ヒシダ マサオ) マイアドバイザー.jp®登録 - 早稲田大学法学部卒業後、大手証券会社を経て独立系ファイナンシャルプランナーに。平成20年、ライフアセットコンサルティング株式会社を設立。
資産運用や住宅ローンなどを中心に、相談業務や原稿執筆、セミナー講師等に従事している。
ファイナンシャルプランナー 菱田 雅生
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