搭乗者傷害保険とは?
運転者本人または同乗者を補償
搭乗者傷害保険とは、契約の対象となる車に乗っていた人(搭乗者)が、交通事故によってケガや死亡した場合に補償が受けられるもので、運転者の過失割合に関係なく保険金が支払われます。搭乗者とは、その車の運転者だけでなく、助手席や後部座席に乗っていた人も含まれますので、契約の対象となる車に乗っていた全員が補償の対象となります。
自賠責保険や対人賠償保険、対物賠償保険が、交通事故の相手方に対する補償となっているのに対し、搭乗者傷害保険は、交通事故を起こした、もしくは、交通事故を起こされた自分の側の本人または同乗者を補償するものとなっています。そして、搭乗者傷害保険は、他の保険からの保険金の支払い状況に関係なく、契約上、決められた金額が支払われるようになっています。ただし、対人賠償保険や対物賠償保険とは異なり、無免許運転や飲酒運転の場合などは、補償の対象外となっています。
搭乗者傷害保険の補償金額としては、部位別・症状別に保険金額が決まっているのが一般的です。例えば、頭部のケガだと、打撲や捻挫で5万円、挫創(ざそう:擦り傷、切り傷)で15万円、骨折や脱臼で60万円。手指のケガだと、打撲や捻挫で5万円、挫創で5万円、骨折や脱臼で20万円などとなっています(金額は保険会社によって異なります)。
そして、これらの搭乗者傷害保険の保険金は、請求しても自動車保険契約時の等級が下がらないのも大きな特徴です。
賠償金額の負担が少なく、貯蓄でもカバーできそうな場合は、等級を下げずにそのままキープするために自動車保険を使わずに済ませるという方法もありますが、搭乗者傷害保険の場合は、使っても使わなくても等級が変わりません。したがって、補償を受けられる状況になったのであれば、積極的に保険金を請求しても問題ないでしょう。
搭乗者傷害保険の使用と等級との関係
そもそも、任意の自動車保険の等級とは、通常、はじめて自動車保険を契約するときには6等級からスタートします。その後、毎年の更新の際に、1年間無事故または自動車保険を使わずに1年の契約期間を満了した場合は、1等級上がって保険料の割引率が高くなります。最高は20等級で、割引率は最大で6割前後になります。
ただし、交通事故に遭って自動車保険を使うと、翌年度は3等級下がって保険料の割引率が下がるのです。さらに、平成25年10月以降は、事故(自動車保険を使った場合)の翌年度の保険料の割引率は、同じ等級の無事故の人に比べて低く設定されるようになりました。保険会社によって、この改定の導入が異なるようなので、これまで以上に同じ等級の保険料に違いが生じているようです。
なお、この等級は、契約する保険会社を変更した場合でも引き継ぐことができるようになっていますので、自動車保険を比較検討する場合は、補償内容とともに同じ等級での保険料の違いをチェックし、慎重に判断することが重要でしょう。
また、後述する「人身傷害補償保険(特約)」も、搭乗者傷害保険と同様の補償が受けられるため、人身傷害補償保険(特約)を優先的に契約し、搭乗者傷害保険はあえて契約しない人もいるようです。どちらがいいかは難しい判断ではありますが、補償をより手厚くしたいのであれば、両方を契約しても問題ないと思われます。保険料負担とのバランスを考えて判断すればよいでしょう。
-
コラム執筆者プロフィール
菱田 雅生 (ヒシダ マサオ) マイアドバイザー.jp®登録 - 早稲田大学法学部卒業後、大手証券会社を経て独立系ファイナンシャルプランナーに。平成20年、ライフアセットコンサルティング株式会社を設立。
資産運用や住宅ローンなどを中心に、相談業務や原稿執筆、セミナー講師等に従事している。
ファイナンシャルプランナー 菱田 雅生
※この記載内容は、当社とは直接関係のない独立したファイナンシャルプランナーの見解です。
※掲載されている情報は、最新の商品・法律・税制等とは異なる場合がありますのでご注意ください。