自転車を取り巻く環境
便利で手軽な移動手段である自転車。小さな子どもから高齢者まで、幅広い年代の人に利用されている乗り物です。しかし、自転車が関連する交通事故の状況はどうなっているのでしょうか。
内閣府「平成28年版交通安全白書」によると、交通事故の発生件数は平成16年をピークに年々減少しています。
自転車事故に限ってみても、警察庁の「交通事故の発生状況について」をみてみると、平成16年以降、事故件数は年々減少しています。平成28年の自転車事故のうち死亡事故は509件で、平成16年の870件と比較するとかなり減少しています。
一方で、自転車事故の加害者に高額な損害賠償を命じる裁判例が、新聞やテレビ等で何度も取り上げられるようになり、自転車の安全運転に対する関心が高まっています。
危険な運転を繰り返す自転車運転者の取り締まり強化
そんななか、平成27年6月1日に施行された改正道路交通法により、「自転車運転者講習制度」がスタートしました。
これにより、自転車の運転に関して、信号無視など危険なルール違反を繰り返すと、自転車運転者講習を受講しなくてはならなくなりました。
受講の命令に従わなかった場合は5万円以下の罰金となります。危険な運転を繰り返す自転車運転者への取り締まりが強化されたといえます。
自転車運転者講習制度では、自転車による危険行為14類型が定められ、3年以内に2回以上、それらの危険行為で摘発された14歳以上の自転車運転者は、自転車運転者講習を受けることが義務付けられました。
危険行為14類型とは、以下の通りです。
このうち、「歩行者用道路における車両の義務違反(徐行違反)」とは、「自転車の通行が認められている歩行者用道路を自転車で通行する際に、歩行者に注意しない、また徐行しないなどの行為」のことです。
また、「安全運転義務違反」とは、「ハンドルやブレーキ等を確実に操作せず、他人に危害を及ぼすような速度や方法で運転する行為」ですが、傘さし運転や携帯電話やスマートフォン等を操作しながらの運転で事故を起こした場合も、安全運転義務違反になることがあります。
まずは、どのような運転が違反とされるのか知っておくことが安全運転のはじめの一歩でしょう。
自転車は免許がいらず誰でも乗ることができますが、自転車による交通事故を防止するには、自転車運転者も交通ルールを遵守することが大切です。
今回導入された自転車運転者講習制度の対象者は、14歳以上です。大人だけではなく、中学生などの子どもも対象者になります。家族で自転車の乗り方について、この機会に話し合っておくことも大切でしょう。
しかし、いくら安全運転に努めていても、思いがけず交通事故に遭う可能性はあります。家族の一員が、事故の被害者となる場合だけではなく、加害者となった場合にも対応に困らないように、事故への備えについても話し合って考えておきましょう。
※本記事は、2017年7月12日に掲載された記事です。そのため、記事内容は掲載日のものであり、現在と情報内容が異なっている場合がございますので、本記事の閲覧・利用等に際しては、ご注意ください。
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