死亡保険と相続税
死亡保険の保険料を支払う場合は、所得税の「生命保険料控除」が適用となり、所得税が軽減されます。一方、死亡保険金を受け取る場合には、死亡保険金に対して課税されますが、死亡保険の契約形態によっては多額の税金が課税されてしまうケースもあります。契約形態によって、死亡保険金にかかる税額が違いますので注意しましょう。
死亡保険金の税金
死亡保険金を受け取った場合、死亡保険金に対して課税されますが、死亡保険の契約形態によって課税される税金の種類が異なります。すべての死亡保険金に相続税が課税されるわけではありません。表1で具体的に確認してみましょう。
表1 死亡保険金の課税関係
※スクロールで表がスライドします。
保険料の 負担者 |
被保険者 (保険の 対象者) |
死亡保険金の 受取人 |
税金の 種類 |
考え方 | |
---|---|---|---|---|---|
Aさん | Aさん | Bさん | 相続税 | 保険料の負担者と被保険者が同一人物である場合 | ア |
Bさん | Aさん | Bさん | 所得税 | 保険料の負担者と死亡保険金の受取人が同一人物である場合 | イ |
Bさん | Aさん | Cさん | 贈与税 | 保険料の負担者、被保険者、死亡保険金の受取人がそれぞれ別の人になっている場合 | ウ |
※被保険者Aさんが死亡したものとします。
表1の一例
※スクロールで表がスライドします。
保険料の負担者 | 被保険者 (保険の対象者) |
死亡保険金の 受取人 |
税金の種類 | |
---|---|---|---|---|
夫 | 夫 | 妻 | 相続税 | ア |
妻 | 夫 | 妻 | 所得税 | イ |
妻 | 夫 | 子ども | 贈与税 | ウ |
表1で、相続税が課税される契約形態(アの場合)で、死亡保険金を年金形式で受け取る場合は、表1とはやや取り扱いが異なります。
その場合ですが、まずは相続税が課税されます。その後、毎年受け取る年金(公的年金等以外の年金)は、1年目については全額非課税です。そして、2年目以降は、年金のうち所定の部分は所得税の雑所得として課税されます。課税部分が階段状に増加していく方法により計算します。
また、表1で、所得税が課税される契約形態(イの場合)で死亡保険金を年金形式で受け取る場合は、1年目から所得税の雑所得(公的年金等以外)として課税されます。計算方法ですが、相続税が課税される場合とは違い、毎年同じですので、課税される金額は一定です。
死亡保険金を年金形式で受け取る場合の税金のイメージは、図1を参考になさってください。
図1 死亡保険金を年金形式で受け取る場合の税金のイメージ
【相続税が課税される場合】
【所得税が課税される場合】
相続税が課税される場合は、非課税枠の適用がある!
表1の相続税が課税される契約形態の場合(アの場合)ですが、死亡保険金の受取人が相続人の場合、相続税の非課税枠があります。なお、相続人以外の人が取得した死亡保険金については、非課税枠の適用はありません。
死亡保険金の非課税金額
500万円×法定相続人の数=非課税限度額
(注)
- (1)法定相続人の数は、相続の放棄をした人がいても、その放棄がなかったものとした場合の相続人の数をいいます。
- (2)法定相続人の中に養子がいる場合、法定相続人の数に含める養子の数は、実子がいる時は1人、実子がいない時は2人までです。
詳しくは、表2でご確認ください。
表2 死亡保険金の相続税の非課税枠の考え方
- ・死亡保険の対象者(被保険者):夫
- ・死亡保険金額:2,500万円
- ・死亡保険金の受取人:
妻〔受取金額:2,500万円〕 - ・法定相続人:妻、長男、長女の3人
このケースで、夫が死亡し、妻に死亡保険金2,500万円が支払われた場合の相続税の課税対象となる金額は?
死亡保険金の相続税の非課税枠
500万円×3人(※)
=1,500万円(非課税限度額)
(※)法定相続人が3人であるため
死亡保険金2,500万円
-1,500万円(非課税限度額)
=1,000万円(相続税の課税対象となる金額)
このように、死亡保険金を受け取る場合、契約形態一つで課税される税金の種類が異なり、納付する税額も違ってきます。また、相続税が課税される契約形態の場合、相続人が死亡保険金を受け取ることで、一定の保険金が非課税となりますので、上手に活用したいところです。死亡保険に加入する時には、契約形態にも注意をしておきましょう。
- ※ 掲載されている情報は、最新の商品・法律・税制等とは異なる場合がありますのでご注意ください。
- ※ 掲載日は2015年10月30日です。
死亡保険の基本情報
死亡保険に入る前に知っておきたいこと
死亡保険を選ぶ際に押さえておきたいポイント!
死亡保険の気になる関連情報