【簡単】ねんきん定期便の見方って?将来の年金見込額が分かる?
更新日:2020年9月24日
毎月国民年金の保険料を納めているけれど、今ひとつ毎年届く「ねんきん定期便」の見方が分からない、という方はいらっしゃいませんか。
ねんきん定期便は、一見難しいように見えるかもしれませんが、見方さえ分かればどんな情報を読み取れば良いかが分かります。
当記事をご覧いただき、今一度ねんきん定期便の情報を有効活用してみてください。
ねんきん定期便はいつ届くの?届かない場合は?
ねんきん定期便は、誕生月の2カ月前に作成され、毎年誕生月に送付されます。
ねんきん定期便が届かない場合は、引っ越しなどで現住所と異なるなどの可能性がありますので、悪用されていないか確認するためにも、年金事務所などに確認してみることをおすすめします。
ねんきん定期便の受け取り年齢による違い
ねんきん定期便は基本的にハガキで送付されますが、受け取る年齢ごとに内容が変わり、また節目となる35歳、45歳、59歳になると、封書で詳細な内容が届きます。
内容の差異としては年金見込額の項目です。
表1 ねんきん定期便で確認できる情報
※スクロールで表がスライドします。
資料:日本年金機構ホームページをもとに作成
50歳以上のねんきん定期便の見方とは?
50歳以上の方へ毎年誕生月に送付されるハガキで確認してみましょう。
図1 ねんきん定期便(ハガキ) 50歳以上サンプル
資料:日本年金機構「ねんきん定期便の様式(サンプル)と見方ガイド(令和2年度送付分)」をもとに作成
- 照会番号
- 「ねんきん定期便」「ねんきんネット」専用番号に照会する際に使用する問い合わせ番号を表示しています。共済記録のある方は加入者番号を表示します。
- 老齢年金の見込額
- 60歳未満の方は現在の年金加入制度に60歳まで継続して加入したと仮定して、65歳から受け取れる年金見込額を表示します。
60歳以上65歳未満の方は、ねんきん定期便の作成時点の年金加入実績に応じて、65歳から受け取れる年金見込額を表示します。
65歳以上の方は、65歳時点の年金加入実績にもとづき計算されています。 - これまでの保険料納付額(累計額)欄
- これまで納付した国民年金の保険料の総額が分かります。共済年金が2015年10月までは厚生年金と分けられていたため、厚生年金には公務員厚生年金期間、私学共済年金期間などがあります。
- お客さまへのお知らせ
- 登録状況に応じた年金に関する情報を個別に表示しています。
- 国民年金(第1号・第3号)納付状況
- 表2の納付状況が表示されます。
表2 国民年金(第1号・第3号)納付状況
-
納付済 国民年金保険料を納めている月の表示です。(国民年金保険料が免除や猶予された後に追納した場合も含みます)。 未納 国民年金保険料を納めていない月の表示です。(または、ねんきん定期便の作成時点で納付が確認できない月です)。 確認中 ねんきん定期便の作成時点で納付状況が未確定の月の表示です。(表示している最終年度の最終月のみ表示されます)。 3号 国民年金の第3号被保険者として登録されている月の表示です。 全額免除 国民年金保険料の納付が全額免除されている月の表示です。 半額免除 国民年金保険料の納付が半額免除されていて、免除後の残りの保険料を納めている月の表示です。 半額未納 国民年金保険料の納付が半額免除されていて、免除後の残りの保険料を納めていない月の表示です。(未納期間です)。 3/4
免除国民年金保険料の納付が3/4免除されていて、残りの1/4の保険料を納めている月の表示です。 3/4
未納国民年金保険料の納付が3/4免除されていて、残りの1/4の保険料を納めていない月の表示です。(未納期間です)。 1/4
免除国民年金保険料の納付が1/4免除されていて、残りの3/4の保険料を納めている月の表示です。 1/4
未納国民年金保険料の納付が1/4免除されていて、残りの3/4の保険料を納めていない月の表示です。(未納期間です)。 学特 学生納付特例制度の適用を受けている月の表示です。 猶予 納付猶予制度の適用を受けている月の表示です。 産前産後 国民年金保険料の納付が産前産後期間により免除されている月の表示です。 付加 付加保険料を納めている月の表示です。 合算 国民年金の任意加入期間のうち保険料を納めていない月の表示です。参考情報であり、年金を請求するときに書類による確認が必要です。 未加入 20歳以上60歳未満の期間のうち、どの年金制度にも加入していなかった月の表示です。 資料:日本年金機構「ねんきん定期便(ハガキ)の見方 50歳以上の方」をもとに作成
- 加入区分
- 加入区分は加入制度をカッコ書きで表示しています。
-
表示区分 内容 (厚年) 厚生年金保険 (基金) 厚生年金基金 (船保) 船員保険 (公共) 公務員共済制度(国家公務員共済組合または地方公務員共済組合) (私学) 私立学校教職員共済制度 - 標準報酬月額・標準賞与額・保険料納付額
- 標準報酬月額と標準賞与額は、各実施機関が管理している年金記録であり、自分が厚生年金保険または船員保険に加入していた期間に、勤務先の会社などの事業主からの届出にもとづき決定されたものです。
- これまでの年金加入期間
- それぞれの保険の加入期間(国民年金の保険料の納付期間)がまとめられています。
国民年金と厚生年金、および船員保険の加入期間を足したものが年金加入期間合計として算出され、そこに合算対象期間等を足したものが受給資格期間となります。
合算対象期間等は、受給資格期間としてみなされますが、保険料を納めていないため年金額には反映されません。 - 老齢年金の種類と見込額(年額)
- 基礎年金
- 老齢基礎年金の見込額は、国民年金の第1号被保険者期間(未納月数を除く)、第3号被保険者期間および厚生年金保険・船員保険の被保険者期間の月数をもとに、本来の受給開始年齢である65歳で計算しています。なお、老齢基礎年金の見込額には、付加年金の金額も含まれています。
- 厚生年金
- 老齢厚生年金の本来の受給開始年齢は65歳からですが、厚生年金保険の加入期間が12カ月以上あり、かつ受給資格期間が120カ月以上ある場合は、当分の間、60歳から64歳までの老齢厚生年金(特別支給の老齢厚生年金)を受け取ることができます。※特別支給の老齢厚生年金の受給開始年齢は生年月日によって異なります。
- 2015年10月1日に「被用者年金一元化法」が施行され、これまで厚生年金と共済年金に分かれていた被用者の年金制度が厚生年金に統一されました。2015年12月以降のねんきん定期便では、各共済組合等の記録が表示されるため、書面で確認できるようになりました。
- お客さまのアクセスキー
- ねんきんネットのユーザーIDを取得する際に使用する17桁の番号です。この番号を使用してユーザーIDの発行の申し込みをすると、即時にユーザーIDが取得できます。
- 音声コード
- ねんきん定期便には、年金加入記録に関する情報を音声で聞くことができるように、音声コードを印刷しています。この音声コードを音声コード対応の携帯電話、音声コードに対応したアプリケーションをインストールしたスマートフォン等の「視覚障害者用活字文書読上げ装置」で読み取ることによって、自分の年金加入記録を音声で聞くことができます。
50歳未満のねんきん定期便の見方とは?
50歳未満の方へ毎年誕生月に送付されるハガキで確認してみましょう。
図2 ねんきん定期便(ハガキ) 50歳未満サンプル
資料:日本年金機構「ねんきん定期便の様式(サンプル)と見方ガイド(令和2年度送付分)」をもとに作成
(1)と(3)~(8)、(10)と(11)については、50歳以上の方の年金定期便の見方と同じです。
(2)と(9)については、「ねんきん定期便」の作成時点の年金加入実績に応じて計算した年金額(年額)が表示されています。詳しい見方については50歳以上・50歳未満それぞれのねんきん定期便の見方で確認してみてください。
もしも、これまでの加入実績に応じた年金額が表示されていない方は、次のことが考えられます。
- 同月内で重複している年金加入記録がある。
- 厚生年金保険に統合されていない農林共済組合の加入記録がある。
上記にあてはまる方は年金加入記録の補正を必要とする場合がありますので、お近くの年金事務所に問い合わせてみましょう。
第1号・第3号被保険者とは?
ねんきん定期便の年金加入期間の項目では、第1号被保険者、第3号被保険者という名称がでてきます。
なお、年金の被保険者は、加入している保険によって、第1号被保険者や第3号被保険者という名前で区分されます。
第1号被保険者は、日本国内に住んでいて、第3号被保険者ではない20歳以上60歳未満の学生や自営業者、無職の方などです。
第3号被保険者は、第2号被保険者に扶養されている配偶者の方で、原則として年収が130万円未満の20歳以上60歳未満の方になります。
第2号被保険者という名称がでてきませんが、第2号被保険者は国民年金の加入者のうち、厚生年金、共済組合等に加入する会社員や公務員の方です。
表3 被保険者の種類
※スクロールで表がスライドします。
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「ねんきんネット」とは
50歳以上の場合は、ねんきん定期便で年金の見込額が分かります。
しかし50歳未満の場合は、自分が今までどれくらい年金を納めているかという加入履歴は分かりますが、将来年金額がいくらもらえるかという試算の記載はありません。
そこで、「ねんきんネット」の「年金見込額の試算」を利用することで、将来受け取る年金の見込額のシミュレーションを行うことができます。
ねんきんネットとは、オンラインで年金の情報を確認することができるインターネットサービスです。
ねんきん定期便は、毎年誕生月に送付されますが、ねんきんネットは年金記録の最新の内容を常に確認できるメリットに加え、ダウンロード機能などもあり、データの保存にも便利です。
表4 ねんきんネットとねんきん定期便の違い
※スクロールで表がスライドします。
資料:日本年金機構ホームページをもとに作成
ねんきんネットでは、今現在の年金記録の確認に加え、将来の年金見込額の試算、ねんきん定期便の電子版の過去の閲覧、日本年金機構からの通知の確認を行うことが可能です。
ねんきんネットを利用するには、日本年金機構の公式サイトから利用登録(ユーザーIDの発行)をするか、または政府が運営するオンラインサービス「マイナポータル」からの連携が必要となります。
また、ねんきんネットの利用登録をする際に、ねんきん定期便に記載されている「アクセスキー」を使用すると、即時にユーザーIDが発行されるため便利です。
しかし、ねんきん定期便に記載されているアクセスキーには、3カ月の有効期限が設けられているので注意が必要です。
そのため、ねんきん定期便の受け取りから、ねんきんネットの利用登録までに期間が空いたことで、利用登録時にエラーがでたり、ねんきん定期便が手元にないためにアクセスキーが分からなかったりするときには、引き続き利用登録の手続きを進めた上で、後に郵送で届くユーザーIDを待ちましょう。
この場合、ユーザーIDが手元に届くまでには、通常5営業日程度必要となります。
表5 ねんきんネットの利用登録
※スクロールで表がスライドします。
資料:日本年金機構ホームページをもとに作成
将来いくらもらえる?ねんきんネットで年金の計算
ねんきんネットで提供されている試算には3つのシミュレーションがあります。
表6 ねんきんネットの年金見込額の試算
※スクロールで表がスライドします。
※70歳以上の方は利用できません。
※共済組合加入期間は、試算に制約があります。
資料:日本年金機構ホームページをもとに作成
「かんたん試算」は、「現在と同じ条件」から将来もらえる年金を計算します。給与の上昇などが考慮されていないため、実際の数値と大きくずれやすいので注意が必要です。
「詳細な条件で試算」はさらに、年金の受給開始年齢の設定、追納・後納情報の設定などより細かい設定を行うことができます。
ねんきんネットは、自分がどのくらい年金をもらえるか、という目安が試算できる上、自分の目標とする老後に必要な額から逆算してライフプランの設計に役立てることも可能です。
将来の年金見込額が分かると、老後の資金計画を立てることができる
ねんきん定期便の見方や、ねんきんネットの利用方法を知っていることで、将来受け取る老齢年金の目安が分かるため、自分の人生計画を立てる際に大きく役立つ可能性があります。
一見専門用語が多く、とっつきにくいと感じられる方もいらっしゃるかもしれませんが、実際は、一度覚えてしまえば難しいことはありません。
国民年金や厚生年金の保険料をただ漫然と支払うのではなく、自分が何に対して支払っているのかをしっかり把握することで、将来への意識が高まり、老後の資金計画を立てる一助になるはずです。
厚生労働省年金局「平成30年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」によれば、厚生年金保険受給者の平均老齢年金月額は145,865円、国民年金受給者の平均老齢年金月額は55,809円となっています。
「この金額では暮らせない……」と思った方も多いのではないでしょうか。実際、年金世代は貯蓄を切り崩して生活していることが多いようです。
総務省統計局「家計調査(家計収支編)調査結果」によると、2018年の高齢夫婦無職世帯の月平均の赤字額は41,872円、高齢単身無職世帯の月平均の赤字額は38,670円となっています。
医療の発達により平均寿命が伸び続けている現代では「老後」の期間が長くなっているため、十分な貯蓄がなければリタイア後に困窮してしまう可能性もあります。老後の暮らしが不安だという方は、保険料を積み立てて、老後にお金を受け取ることができる「個人年金保険」への加入の検討がおすすめです。
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