2019.05.17
事実婚と第3号被保険者
結婚や夫婦のあり方はさまざまです。
民法で決められた婚姻の届出をしている夫婦の他に、戸籍上の婚姻の届出がない事実上婚姻関係、いわゆる「事実婚」(内縁関係)を選ぶ夫婦もいます。
会社員・公務員の配偶者に扶養される事実婚の妻や夫は、第3号被保険者となることはできるのでしょうか?
第3号被保険者への加入要件
事実婚の場合も、要件を満たせば社会保険に加入する会社員・公務員(第2号被保険者)の配偶者に扶養される妻あるいは夫として第3号被保険者に加入することができます。
第3号被保険者に該当する要件は、主として会社員・公務員である配偶者の収入によって生活が成り立っていることが必要です。また、扶養される妻や夫は、年収が130万円未満、かつ扶養する配偶者の年収の2分の1未満などの要件を満たしていると認められた場合に国民年金保険料の個人負担がなく国民年金の第3号被保検者へ加入することができます。
事実婚の場合の第3号被保険者の手続き
第3号被保険者の手続きは配偶者の勤務している事業主を通じて行います。
その際、事実婚の場合は「事実上夫婦である」という確認のための書類として、「内縁関係にある両人の戸籍謄(抄)本」および「被保険者の世帯全員の住民票(コピー不可・個人番号の記載がないもの)」などの提出が必要です。
これは、戸籍謄(抄)本で事実婚である夫婦それぞれに法律上の配偶者のいないことを証明し、世帯全員の住民票で二人が同世帯である事実を確認できるからです。
住民票の場合、「世帯主とその家族」で構成されています。例えば、夫が世帯主の場合、妻の続柄を「妻(未届)」としておくと、第3号被保険者の手続きの際に住民票の続柄が夫婦であるという証明になります。
なお、市区町村役場に何も申し出をせずにそれぞれが住民票を提出すると、それぞれが世帯主となります。もし、住民票を確認してどちらも世帯主となっている場合やどちらかが同居人となっている場合は、世帯変更や続柄の変更手続きを行いましょう。
税金面は事実婚の配偶者は扱いが異なる
民法で決められた婚姻の届出をしている夫婦の場合、所得税法では、配偶者が納める税金を計算する上で、扶養している妻あるいは夫がいると配偶者控除を受けることができます。
しかし、婚姻の届出をしていない事実婚の夫婦の場合、扶養されていても妻や夫は民法の規定による配偶者ではないため所得税法上の控除対象とならず、配偶者控除を受けることができません。
事実婚の場合、国民年金の第3号被保険者制度は「その事実が証明できれば、会社員・公務員の配偶者に扶養される妻あるいは夫として認められる」と考えればわかりやすいですね。
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