20代~30代前半の医療保険 入院給付金以外の保障について
はじめに
このコラムでは、20代~30代前半の世代に適した医療保障について、いくつかの医療保険を参考にみていきます。この年代は、結婚や子どもの誕生、住宅の購入に備えた資産形成の時期にもあたりますので、貯蓄と保障費用のバランスを考えた保険選びが必要になります。今回は、保険料の節約を考えながら、入院給付金と様々な特約についてみていきます。
手術給付金について
手術給付金は、入院給付金日額×何倍という計算で給付金を算出します。倍率の設定は、保険会社により若干異なります。手術の種類によって倍率を3段階(10倍、20倍、40倍)に設定しているところや、同じく手術の種類によって倍率を2段階(10倍、40倍)プラス入院なし手術(5倍)としているところ、入院ありの場合(20倍)、入院なしの場合(5倍)としているところ等があります。
手術の倍率は保険会社により異なりますが、入院給付金と手術給付金が主契約になっているのが一般的です。
公的医療制度の対象となる手術が、手術給付金の給付対象になります。なおかつ、公的医療制度の高額療養費制度を活用することができます。
高額療養費制度とは、医療機関や薬局の窓口で支払った額(入院時の食事負担や差額ベッド代等は含まず)が、暦月(月の初めから終わりまで)で一定額を超えた場合に、その超過分を支給する制度になります。
所得区分 | 1か月の負担の上限額 |
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上位所得者(月収53万円以上の方など) | 150,000円+(医療費-500,000円)×1% |
一般 | 80,100円+(医療費-267,000円)×1% |
低所得者(住民税非課税の方) | 35,400円 |
出典:厚生労働省「高額療養費制度を利用される皆さまへ」
例えば、「所得区分:一般」の方が、暦月で200万円の医療費で、窓口の負担(3割)が60万円かかる場合の負担上限額は、80,100円+(2,000,000円-267,000円)×1%=97,430円になり、高額療養費として、600,000円-97,430円=502,570円が支給されます。
入院給付金、手術給付金に関しては、ある程度の部分を高額療養費制度でカバーすることができますので、医療保険では負担しなければならない上限額や、高額療養費制度でカバーできない差額ベッド代等の費用をカバーするための保障として、検討するのもよいかと思います。
その場合、手術給付金は入院ありの場合(20倍)、入院なしの場合(5倍)といったシンプルな入院給付金の設定をしている医療保険を選択することで、保険料を抑えることも可能ですので考えてみましょう。
先進医療特約について
先進医療給付特約については、基本保障にセットされている保険会社、特約によって付加する保険会社があります。また、その特約を用意していない保険会社もあります。
先進医療特約の給付金は、加入者が負担した先進医療の技術料に応じた金額を給付するのが一般的です。
先進医療特約は、医療技術の進歩により先進医療の認定が変更される関係で、主契約が終身タイプであっても、10年満期の自動更新になっている場合が多いです。最高保障限度額は、自動更新を含めた期間を通算して1,000万円や2,000万円等という設定になっています。
先進医療は、厚生労働大臣が認めた医療技術になり、実施している医療機関も限定されていますので、入院した全ての方が先進医療を受けられるとは限りません。
しかし、万一に備えることが保険に加入する目的と考えれば、先進医療給付特約が別途契約による場合であっても、付加する方がよろしいかと思います。
通院医療特約について
平均入院日数は、表2にありますように、年々短くなっています。
資料:厚生労働省「患者調査」を参考に執筆者作成
入院前後の通院費用をカバーする保障として、通院給付金があります。
通院給付金については、特約として用意していない保険会社や、退院後の通院のみを保障する保険会社もあります。また、がん保険に比べると、通院給付金特約の設定をしている保険会社は少ないように思います。
通院給付金を選択する際には、通院医療特約の保障内容を確認のうえ、その必要性を判断し、付加するかどうか検討したほうがよろしいかと思います。
がん特約について
がん診断給付金や、がん入院一時金といった一時金を給付する特約を用意している保険会社があります。もし、「がんによる入院保障を含めて一時金で」と考えている方は、この様な特約でカバーするのも一案です。
保険会社によっては基本保障の部分で、がん等による入院の場合、入院日数を無制限に保障する会社や、入院日額を倍に保障する会社等があります。
医療保険でがんによるリスクのカバーを考えている方は、このような特約を利用することも検討しましょう。
最後に
「はじめに」でも触れましたが、20代~30代前半は、結婚や子どもの誕生、住宅の購入に備えた資産形成の時期にもあたります。保険に加入する時には、保障内容は細かい文字のところもしっかり読み、がん保険等、他の保険との重複した保障部分を避けることで、賢く保険料の節約をしましょう。
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コラム執筆者プロフィール
恩田 雅之 (オンダ マサユキ) マイアドバイザー.jp®登録 - 1959年東京生まれ。
2004年3月にCFP®資格を取得。
同年6月、札幌にて「オンダFP事務所」を開業。
資産運用をテーマとした個人向けのセミナー講師や3級、2級ファイナンシャル・プランニング技能士取得の講師やライフプラン、金融保険関連のコラムやブログの執筆など中心に活動中。
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コラム監修者プロフィール
山本 俊成 (ヤマモト トシナリ) マイアドバイザー.jp®登録 - ファイナンシャルプランナー。
大学卒業後、株式会社三和銀行(現三菱UFJ銀行)入社。
2003年、外資系生命保険会社入社。
2005年、総合保険代理店株式会社ウィッシュ入社。
2010年、株式会社ファイナンシャル・マネジメント設立。
銀行と保険会社に勤めていた経験を活かし実務的なコンサルティングを行う。
ファイナンシャルプランナー 恩田 雅之
※この記載内容は、当社とは直接関係のない独立したファイナンシャルプランナーの見解です。
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