どう違う?医療保険の定期型と終身型
医療保険には「定期型」と「終身型」があります。
保障される期間(保険期間)の違いでこのように分けられているのですが、では、定期型と終身型、どちらを選べば良いのでしょうか。
両者の違いを確認しましょう。
定期型と終身型の違いは大きく2つです。
違い(1)-保険期間
定期型と終身型は保障される保険期間が違います。
定期型は保険期間が一定期間に限定されている保険です。
例えば1年や10年などの決められた年数を保険期間としています。
定められた保険期間が満了すると、いったん保障が終了しますが、契約者からの申し出がない限り自動更新されるのが一般的です。
この場合、更新時に新たな健康告知等も必要ないため、当初の契約後に発症した病気等のために契約が更新できないということは基本的にありません。
ただし、契約の更新ができるのは70歳頃までのものが多く、老後は別の医療保険に入り直す必要が出てくる場合があります。
また、保険期間が一定の期間ではなく60歳や65歳までとなっている場合は、更新はできず、その時点で保障が終了しますので注意が必要です。
一方、終身型は保険期間の定めがなく一生涯保障が続く保険です。
そのため、解約等しない限り、同じ保障内容が老後も含め一生涯続きます。
保障内容に過不足が感じられなければ、途中で保険の更新や見直しの必要はありません。
違い(2)-保険料
定期型と終身型は保険期間の設定が異なるため、保険料に違いがあります。
定期型は保険期間が一定期間に限定されているため、保険期間中の保険料は変わりませんが、保険期間が満了して更新をすると、基本的にその時点の年齢での保険料に再計算され、更新するごとに保険料が上がっていきます。
一方、終身型は一生涯同じ保険料で、途中で上がることはありません。
定期型は一定の短い期間に対して保険料が計算されているのに対して、終身型では一生涯分の保険料を契約時点からの期間でならすように保険料が計算されているため、基本的に同じ年齢で同じ保障内容に対する保険料は、定期型の方が低くなります。
保険期間と保険料の違い、イメージで確認
定期型と終身型の保険期間と保険料の違いをイメージで表すと以下のようになります。
定期型と終身型の保険期間と保険料のイメージ
資料:執筆者作成
このように、定期型は更新ごとに保険料が高くなる心配はありますが、ある時点での保険料は終身型と比較して低く、一定期間に限定して手厚い保障を備えたいときに活用できます。
一方、終身型はある時点での保険料は定期型と比較して高くなるものの、生涯にわたって一定の保険料で変わらない保障を備えておきたいときに活用できるでしょう。
保障への考え方やライフプランに合わせた医療費の備えを
定期型と終身型の医療保険には、保険期間や保険料に大きな違いがありましたが、どちらが良いとか、どちらがお得ということはありません。
どちらのタイプを選ぶかは、医療保険を検討する方の保障への考え方や今後のライフプランなどによって異なってきます。
例えば子どもが独立するまでなど、ある一定の期間の医療保障をお手頃な保険料でしっかり備えたいと考えている場合は、一定の保険期間に限定して保険料を抑えながら保障を得られる定期型を検討すると良いでしょう。
また、女性は妊娠・出産に伴って発症する病気等もあり、厚生労働省「平成26年(2014)患者調査の概況」によると、20代~30代の受療率は男性と比較して高くなっています。
このように病気・ケガのリスクに合わせてその期間の保障を手厚くする方法としても活用できるでしょう。
ただし、定期型は老後の保障が無くなる可能性もあるため、老後の医療費を貯蓄で貯めておいたり、保険料は高くなりがちですが老後から新たな保険に入り直したり、老後の医療費に対してある程度の準備や心構えが必要です。
一方、安定した収入で加入時点の保険料なら払い続けられると見通すことができ、変わらない保険料で一生涯の保障を得られることが安心となるような場合は、終身型の医療保険が適しているでしょう。
終身型では保障も一生涯変わりませんので、家族の状況や医療事情が変わって保障内容を変更したいような場合は、当該保険の見直しが必要です。
このとき、保障の内容や年齢によっては保険料が上がったり、健康状態によっては見直しができなかったりということもあります。
終身型の医療保険は、一生涯における治療費のリスクの下支えとなるものとしてとらえ、状況の変化に対しては預貯金の準備や保険の見直しが必要であると考えておきましょう。
まとめ
定期型と終身型の医療保険では、保険期間と保険料に大きな違いがあります。
定期型は一定期間の保障に限定されるものの手頃な保険料で加入できるため、特に一時的に保障を手厚くしたい場合に活用できます。
終身型は同時点での保険料が定期型と比較すると高くなりますが、安定した保障を変わらない保険料で得られるため、一生涯における治療費の下支えとなってくれます。
どちらのタイプが良いということはなく、それぞれの保障への考え方や今後のライフプランを考えたときに、どちらの特徴が自分に適しているかでタイプを選んでいきましょう。
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コラム執筆者プロフィール
松原 季恵 (マツバラ キエ) - CFP®
銀行、損害保険会社での勤務経験から、多くのお客さまの相談に乗ってきました。
ファイナンシャルプランナーとして独立した際は、ライフプランを軸に「お金で楽しい毎日を」を心がけて情報発信しています。
ファイナンシャルプランナー 松原 季恵
※この記載内容は、当社とは直接関係のない独立したファイナンシャルプランナーの見解です。
※掲載されている情報は、最新の商品・法律・税制等とは異なる場合がありますのでご注意ください。
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掲載日:2019年9月30日
定期型・終身型の医療保険、どちらが必要かの判断方法
下記の表は、定期型と終身型の医療保険の特徴をまとめたものになります。
表1 定期型と終身型の医療保険の特徴
定期型 | 終身型 | |
---|---|---|
契約時の保険料 | 年齢が低いうちはお手頃 | 年齢が低いうちは定期型より高い |
保険料の変動 | あり(通常、更新によって上がる) | なし |
保障期間 | 一定期間 | 一生涯 |
メリット |
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注意点 |
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定期型と終身型、両方の特徴をしっかりと理解した上で、どちらの保険が向いているかを考えてみましょう。
表2 定期型・終身型それぞれの医療保険が向いている方の例
定期型の医療保険が向いている方 | 終身型の医療保険が向いている方 |
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上表はあくまで参考です。
定期型の医療保険は、「当面の保険料をできるだけ抑えたい」という方や、「子どもが小さい時期だけ保障を充実させたい」という方などに向いているといえるでしょう。
一方、終身型の医療保険は、一生涯保障が続くため、将来設計がある程度明確な方におすすめといえます。
保険は、ご自身の将来設計やリスクを考えた上で選ぶことが重要なので、一概にどちらが良いとはいえませんが、特徴を知ることで、自分に合った保険が選びやすくなるでしょう。