がん経験FP発乳がんの手術費用と乳房再建費用
女性の16人に1人は乳がんになる?
女性の象徴ともいえる乳房。もしあなたががんで乳房を失うことになったとしたら?
がん情報サービスによりますと、日本人女性で罹患数がもっとも多いのは乳がんです。一生涯に乳がんを患う日本人女性は、16人に1人ともいわれます。女性にとっては、決して他人事ではすまされない乳がん。もし乳がんを患ったならば、手術を受けることになります。その手術費用は一体いくらかかるのでしょうか。
乳がんの手術費用
乳がんの手術と一口にいっても、病状の進行度により手術内容および手術費用は変わってきます。手術内容としては、病巣のある乳房の一部分を切除する手術「乳房温存手術」、または乳房全体を切除する手術「乳房全摘手術」があります。
がん治療費.comによりますと、乳がんの摘出手術費用は、一般的に約60万円~80万円かかるといわれます。公的保険の適用分を3割とした場合、実際の自己負担金額は約18万円~24万円となります。これに、血液検査やエコー検査、画像検査、その他入院の費用が加算されますので、高額療養費制度が適用されるとしても、決して小さな出費ではありません。ちなみに乳がんの手術費用は、身体の他の部位の手術と比べてどうなのでしょうか。日本人のがん罹患数が多い部位として、乳がんのほかに胃・肺・結腸・肝臓等が挙げられます。胃がんの手術費用は約26万円~約168万円と、乳がん手術に比べてかなり手術費用に幅がありますね。
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乳房の再建費用
女性にとって乳房とはとても大切な存在。乳がんにより乳房を失ってしまったとしても、もう一度乳房を取り戻したい、そう願う女性の感情はとても自然なものでしょう。では、乳房を再建するにはどのような方法があり、費用はいくらかかるのでしょうか。
乳房再建は大きく分けて、自分の身体の一部を用いる自家組織移植法と、人工乳房(シリコン)を用いたインプラントによる再建法があります。自家組織移植法は保険診療適用となり、費用は約30万円~50万円(保険適用分3割負担の場合)かかるといわれますが、インプラントによる再建は保険診療対象外となり自己負担となります(2013年3月現在)。自家組織移植法・インプラントによる再建、いずれの費用も病院によっても異なりますし、乳がん摘出手術の際に行うのか(一期再建)、手術後に行うのか(二期再建)等、乳房再建をするタイミングによっても異なります。インプラントによる再建は、一般的には片側で約50万円~100万円かかるといわれます。
ただ、乳がんを早期発見できた場合、手術の範囲も小さく、乳房温存ができる方もたくさんいらっしゃいます。早期発見は、身体の負担もお金の負担も軽くなります。
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手術予後
私事で恐縮ですが、私は2005年に乳がん手術を受け、右脇の下のリンパ節まで切除しました。手術後は、右腕を積極的に上げる等のリハビリの甲斐もあり、右腕は手術前と同じように問題なく動きます。しかし未だに右脇の下が痛いと感じることがあります。また、手術以降は、右腕が非常に疲れやすくなりました。そのため、手術を受けてから今まで、右腕に負荷をかけない、重いものを持たない、ケガや虫刺されに気をつける、乾燥しないようにケアをする等を常に心がけています。幸い手術をしたことにより起こるリンパ浮腫(リンパの流れが停滞することで、生涯にわたり腕や脚がむくむこと)は今のところ発症していませんが、もしがんを早期発見することができていれば、リンパ節を切除する必要がなかったのかもしれません。がんは何より早期発見が大切であると実感しています。
どのようながん治療においてもいえることですが、治療費は治療方針によりケースバイケースです。統計データ等は参考にはなりますが、自分がどのような治療を望むのかによって、費用も大きく変わってきます。
いざというときに応じたお金の準備は、あらかじめ預貯金と現在加入の保険の保障内容とを照らし合わせて備えておくのがよいでしょう。
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コラム執筆者プロフィール
高見 みほこ (タカミ ミホコ) マイアドバイザー.jp®登録 - 大学卒業後、住友生命保険にて保険営業に5年従事。
結婚退職、専業主婦として子育て中の2005年、乳がん発覚。
がんの知識が乏しかったために、早期発見できなかった自らの経験から、「他の女性には、私と同じ経験をして貰いたくない」という想いに至る。
現在は女性目線で「がんの早期発見のポイント」「がんに備えるお金の話」などを執筆、セミナーで情報発信している、がん経験ファイナンシャルプランナー。モットーは「がんで泣く女性を1人でも減らしたい」。
ファイナンシャルプランナー 高見 みほこ
※この記載内容は、当社とは直接関係のない独立したファイナンシャルプランナーの見解です。
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