私立の中高一貫校の魅力とお金との関係②~私立貧乏にならないために
「私立の中高一貫校の魅力とお金との関係①」のコラムで、中学から私立に通う場合は、教育資金プランをしっかり立てることに触れました。
私立中学に通っている子どもの親は、学費負担を考えると年収500万円~1,000万円までの世帯が多いことが予想されます。この世帯はある程度収入があるため、計画的な資金計画を立てずに、「どうにかなるかな」とどんぶり勘定に陥りがちです。また、思いのほか私立にはお金がかかるということも踏まえて、私立貧乏にならないために、どのような教育資金プランを立てたらよいかをみていきましょう。
中学入学に至るまでも相当お金がかかっている
私立中学の受験対策として、多くの小学生が「塾」に通っています。
私立受験対策は、ほとんどの塾で小学3年生の春休みから設定されています。その歳から塾に通うとなると、受験終了まで約3年弱、塾に通うことになります。
塾の費用は、学年が上がるごとに増えていき、小学6年生でピークとなります。
「ベネッセ教育総合研究所の子育て生活基本調査(2011年)」によると、私立中学受験を志望している小学5・6年生の1ヶ月あたりの塾代の平均は、43,261円となっており、年間にすると519,132円のお金がかかっていることになります。
中学から大学までオール私立でかかるお金
中学から私立に通うと、よほどの事情がない限り、ほとんどの方は付属の私立高校へ進学します。中学~高校卒業までの6年間私立に通うとなると、かかる教育費は約678万円(文部科学省 平成24年度子供の学習費調査より算出(6年間合計))となります。
さらに、大学も私立で進学を予定している際には、その学費は年額約132万円程度(文部科学省 学生生活調査 平成18年度)の準備が必要となります。
年収500万円~1,000万円世帯なら、何とか賄える?
中学受験からかかる教育費をみてみると、相当なお金がかかっているようにみえますが、ある程度収入のある世帯では、何とか、月々の収入で賄っていけるでしょう。
ただ、中学校入学後の支出は、学校の費用だけでは収まらないのです。
例えば、部活動の費用です。揃いのウエアやユニフォーム、バッグ等の初期費用はまとまった支出となりますし、合宿等の遠征費用や試合・練習試合の交通費、昼食代等は、1回の支出は少ないものの、回数が多く積み重なると大きな支出となります。
また、私立学校の場合は、地域の公立学校と違って広範囲から生徒が学校に通ってきます。
お友達と出かけるときも、遠出になることがあり、交通費もかかります。
ある程度の年収のある親が多いため、子どもの持ち物も高価だったりするので、多少子ども同士で影響を受けることもあります。
強制ではないにしろ、たびたび学校から寄付金の要請もあります。
このようなことから、私立学校の場合は、学校の学費等のお金、プラスアルファの支出が予想されることも、覚悟しなければなりません。
支出が多いながらも貯蓄は必要
ある程度収入があると、何となくお金を使ってしまいがちです。
毎月赤字を出さなくても、貯蓄ができないという家庭も少なくありません。年収500万円~1,000万円の世帯でも貯蓄がない世帯は約18%もあるのです。
ギリギリの生活をしている場合は、収入が増えない限り、貯蓄はできません。生活レベルを落とすことも簡単にできるものではありません。
将来のために準備するお金として、子どもの教育資金の他に大事なものは、自分たちの老後資金です。
ある私立の中高一貫校でセミナーをした際に、複数の方から「思っていたより学校にお金がかかる。自分たちの老後資金なんて貯める余裕はないけど、どうしたらよいのか」という質問を受けました。
入学当初は、学校から示されている学費だけでよいのかと思いがちです。資金的に大丈夫だと思っていても、見えないところでのお金がかかり、負担に感じている方は少なくありません。子どもにかかる支出は多くなっていきますが、将来に向けての貯蓄も必要です。
私立貧乏にならないために
私立中学へ合格後、入学準備として、入学金をはじめ、制服等の指定品の購入等のまとまったお金が必要なときに、期待していたボーナスが出なかったということで、お金を準備できずに学資保険を中途解約したという方もいらっしゃいます。
学資保険を中途解約すると、解約返戻金は収めた保険料を下回ってしまうこともありますので、せっかくコツコツ貯めたお金が台無しになってしまいます。
このように、行きあたりばったりにならないためにも、どんぶり勘定をしているご家庭は、1ヶ月のお金の流れを把握しましょう。いくら収入があって、支出はどのくらいあるのか。毎月決まっている支出と、やりくりできる支出を分けてみましょう。
そして貯蓄・保険等の金融資産と、住宅ローン等の負債を改めて整理し、把握しましょう。
私立中学に入るということは、高校から大学までも私立という、一番お金がかかるケースであることを覚悟して、資金準備をしましょう。
お金の流れや、金融資産、負債を把握したうえで「足りない」ことがわかれば、早い段階で妻が働く等で収入を増やしたり、無駄な固定費(通信費や保険料)を見直したり等の対策を打つことによって、将来大きな効果が出ます。「何とかなる」はなるべく早く解消して、着実に将来の教育資金プランを立て、実行していきましょう。
お子さまが私立中学校へ通うことになっても慌てないために!
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