私立の中高一貫校の魅力とお金との関係①~どうして私立を選ぶ?
2月1日は、首都圏の私立中学の集中受験日でした。私立中学の進学を希望する小学6年生は、早い人で2年生の春頃から、この日のために受験勉強を頑張ってきました。このコラムが掲載される頃には、希望の私立中学に合格して、希望に胸をふくらませている子どもたちもいるのではないでしょうか。
私立の中学校の多くは、付属の高校があり、ほぼ無試験で高校に進学できます。中には、大学までつながっている学校があります。
いわゆる、中高一貫校(※1)です。義務教育期間中であり、地域の中学校に進学できるのに、あえて私立を選択するのは、私立に何か魅力があるからなのでしょう。
※1:学則の変更等の正式な手続きを経て、中高一貫教育を行っている学校。実態として中高一貫教育を行っていても、学校基本調査の「中高一貫教育校」としては計上されていません。
では、日本全国に、私立の中高一貫校はどのくらいあるのでしょうか。
文部科学省の「平成25年度学校基本調査」によると、私立の中学校は全国で771校。 そのうち、中高一貫校は併設型(※2)がほとんどで全国で318校。そのうち私立の学校が243校となっています。
私立の中高一貫校の数は毎年増えていますが、一方で、公立の中高一貫校も少しずつ増えてきています。
※2:併設型とは、同一の設置者で中高6年間を一貫教育とし、高校進学の際には無試験で進学できます。
親として私立中学に通わせたい理由
ベネッセ教育総合研究所の「中学受験に関する調査(2012年9月)」によると、親が中学受験をさせる理由として、80%以上の方が答えた項目は以下の通りです。
- ・質の高い教育が受けられるから
- ・特色ある教育が受けられるから
- ・同じレベルの生徒が集まって育つから
同調査で、志望校を決める際に重視する点で、90%以上の方が答えた項目は以下の通りです。
- ・その学校の教育方針や校風が良い
- ・授業の質が高い
- ・自立的に学習できる習慣を身につけさせてくれる
- ・思いやりや協調性など人間性を育ててくれる
- ・生徒の自主性や主体性を育ててくれる
- ・社会のマナーや礼儀などの指導がしっかりしている
- ・子どもの学力に合っている
私立中学に、質の高い教育を求めるのは、公立中学よりも高い授業料を払うのですから、当然といえるでしょう。さらに、子どもが思春期に入る難しい時期と重なることもあって、本来なら家庭で担うしつけや人間形成の部分においても、学校に求めていることがうかがえます。
私立の中学校は、それぞれに特色をもっています。それを象徴するのが、どの学校にも掲げられている「建学の精神」です。私立の中学校を選択する際には、まずは、その学校が掲げる「建学の精神」を確認しましょう。また、子どものことは親が一番わかっていますが、志望校の説明会はもちろんのこと、行事なども見学し、個別相談がありましたら、その学校の先生にもよく相談してみましょう。一所懸命勉強して合格したものの、学校になじめなかったら悲劇です。
私事ですが、私の上の娘は私立の中高一貫校を卒業しましたが、下の息子は、公立中学に進学予定です。
大学進学率や偏差値等よりも、「学校がその子にあっているか?」が重要だと感じます。
親なら誰しも、子どもに適切な教育を受けさせたいと思いつつも、それが「できる」家庭と「できない」家庭があるのも事実です。
次は、私立中学校にかかるお金をみていきましょう。
私立中高一貫校の学費はどれくらいかかる?
文部科学省の「平成24年度子供の学習費調査」による「学校種別学習費総額の推移」は、以下の図の通りです。
学校種別学習費総額の推移(年額)
出典:文部科学省「平成24年度子供の学習費調査」
私立中学に必要なお金は、年間約100万円。学校外活動費を含め、月換算すると、10万円強必要なのがわかります。また、学校外活動費は、高校受験を控えている公立中学と同じくらいかかっていることもわかります。
私立高校では、就学支援金があり、私立学校でも授業料の軽減がありますが、私立中学にはありません。年収500万円の家庭では、教育費支出が約25%にあたることになります。
私立中学の場合、それより先の進学先も私立になる可能性は高く、そう考えると私立中学に通う子どもの親の年収は、ある一定の額以上となることがうかがえます。
その中でも、多くを占めているのは、年収500万円~1,000万円の世帯と思われますが、この所得階層は教育に熱心な人も少なくありません。その一方で、意外なことに、ある程度の収入があるにもかかわらず、貯金がない世帯もあるということです。
中学から「私立」を選択するのであれば、教育資金プランをしっかり立てておかないと、年収がある程度あるのに、将来のお金が足りなくなる事態に陥ります。入学金等のまとまったお金が用意できずに、大学進学のために貯めておいた学資保険を中途解約してしまう等、行きあたりばったりの教育資金プランではいけません。
次回は、私立貧乏にならないための「お金のこと」について触れていきます。
※掲載されている情報は、最新の商品・法律・税制等とは異なる場合がありますのでご注意ください。