幼稚園も小学校も公立が激減している
子育てをしていく上で、我が子を公立に行かせるのか私立に行かせるのか悩む親は多いと思います。行かせたい私立が通える場所にあるか、教育費を負担できるかなど、考えなければならないことはたくさんありますが、そもそも私立に行く子どもは多いのでしょうか?どのくらいの割合で私立に行っているのでしょうか?学校数や生徒数を幼稚園から順に確認してみました。
幼稚園数は1980年頃がピーク
下記の表は1965年(昭和40年)から5年ごとと2011年および2012年の幼稚園数を、国立・公立・私立にわけてまとめたものです。
表1:幼稚園数の推移
西暦 | 計 | 国立 | 公立 | 私立 |
---|---|---|---|---|
1965年 | 8,551 | 35 | 3,134 | 5,382 |
1970年 | 10,796 | 45 | 3,908 | 6,843 |
1975年 | 13,106 | 47 | 5,263 | 7,796 |
1980年 | 14,893 | 48 | 6,064 | 8,781 |
1985年 | 15,220 | 48 | 6,269 | 8,903 |
1990年 | 15,076 | 48 | 6,243 | 8,785 |
1995年 | 14,856 | 49 | 6,168 | 8,639 |
2000年 | 14,451 | 49 | 5,923 | 8,479 |
2005年 | 13,949 | 49 | 5,546 | 8,354 |
2010年 | 13,392 | 49 | 5,107 | 8,236 |
2011年 | 13,299 | 49 | 5,024 | 8,226 |
2012年 | 13,170 | 49 | 4,924 | 8,197 |
資料:文部科学統計要覧(平成25年版)をもとに執筆者作成
日本の幼稚園数は1985年(昭和60年)頃をピークに減少に転じ、直近2012年の幼稚園数は13,170園となっています。1985年と比べると、27年で2,050園(約13%)も減っています。内訳としては公立が1,345園(約21%)と大幅に減少していて、私立は706園(約8%)と公立に比べたら減少幅が小さくなっています。国立は園数そのものが少ないですが、1園増加しています。幼稚園数をみるだけでも少子化の傾向がよくわかります。
幼稚園児数は公立が大幅に減少!
表2は幼稚園児数の推移をまとめたものです。
表2:幼稚園の園児数の推移
幼稚園数に限らず園児の数も減っています。園児数のピークは1980年(昭和55年)頃であり、園数のピークだった1985年には既に減り始めていることがわかります。直近の2012年では1980年に比べて802,868人(約33%)も減少しています。国の人口が減少に転じたのはほんの数年前ですが、幼稚園の園児数はかなり前から減少傾向が続いています。特に公立の減少は大きく、2012年は283,327人と32年間で349,921人(約55%)も減少しています。その結果、私立の占める割合は1980年の73%から2012年には82%にまで高まっています。子育て環境の変化や自治体の施策等もあって、今後はより公立幼稚園の門戸が狭くなっていきそうです。
私立小学校は全体の1%しかない
次に小学校の状況を確認してみました。表3は小学校数の推移をまとめたものです。
表3:小学校数の推移
西暦 | 計 | 国立 | 公立 | 私立 |
---|---|---|---|---|
1965年 | 25,977 | 72 | 25,745 | 160 |
1970年 | 24,790 | 71 | 24,558 | 161 |
1975年 | 24,650 | 71 | 24,419 | 160 |
1980年 | 24,945 | 72 | 24,707 | 166 |
1985年 | 25,040 | 73 | 24,799 | 168 |
1990年 | 24,827 | 73 | 24,586 | 168 |
1995年 | 24,548 | 73 | 24,302 | 173 |
2000年 | 24,106 | 73 | 23,861 | 172 |
2005年 | 23,123 | 73 | 22,856 | 194 |
2010年 | 22,000 | 74 | 21,713 | 213 |
2011年 | 21,721 | 74 | 21,431 | 216 |
2012年 | 21,460 | 74 | 21,166 | 220 |
資料:文部科学統計要覧(平成25年版)をもとに執筆者作成
幼稚園では全体の6割が私立でしたが、小学校は義務教育ということもあってか、ほとんどは公立で、私立はわずか1%程度しかありません。小学校数は1985年くらいまでは横ばい傾向でしたが、幼稚園と同じく1985年を過ぎたあたりから減り始め、2012年の小学校数は1985年に比べて3,580校(14%)の減少となっています。ただ小学校の場合、幼稚園とは違って私立は増えていて、2000年以降だけでも48校(3割弱)増えています。
少子化を反映する公立小の減少
表4は小学校の児童数の推移を表したものです。
表4:小学校の児童数の推移
小学校の児童数は1980年(11,826,573人)頃がピークで、2012年までの32年間で実に500万人以上(約43%)も減っています。この間、国立はわずか2,887人しか減っておらず、私立は逆に18,906人増えていることから、減少分はまるまる公立の児童数で、5,077,973人も減っています。少子化で子どもの人口が大きく減っていることから、児童数はそれを反映したに過ぎませんが、私立の小学校を選択する親子が増えている事実も多分にありそうです。
私立小学校の児童数の占める割合も学校数と同様に1%程度しかありません。もし子どもが私立の小学校に行くとなれば、親としてかなりの経済的負担を覚悟しなければなりません。しかし、99%が公立の小学校に行っている現実を考えれば、特別な事情がない限り小学校の選択は「公立」になると言えそうです。次のコラムでは、中学校と高等学校の校数や生徒数についてみていきます。
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コラム監修者プロフィール
山本 俊成 (ヤマモト トシナリ) マイアドバイザー.jp®登録 - ファイナンシャルプランナー。
大学卒業後、株式会社三和銀行(現三菱UFJ銀行)入社。
2003年、外資系生命保険会社入社。
2005年、総合保険代理店株式会社ウィッシュ入社。
2010年、株式会社ファイナンシャル・マネジメント設立。
銀行と保険会社に勤めていた経験を活かし実務的なコンサルティングを行う。
ファイナンシャルプランナー 松浦 建二
※この記載内容は、当社とは直接関係のない独立したファイナンシャルプランナーの見解です。
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