中学校はかなり昔と比べると私立を選択する割合が増えている
「大学受験を回避するために中学から附属に行かせようか」「希望する教育方針の私立に行かせたい」「経済的負担が軽い公立に行ってほしい」等、我が子を公立に行かせるのか私立に行かせるのか、悩む親は多いと思います。学力や教育費で判断は異なってくるでしょうが、そもそも中学や高校で私立に行く子どもはどのくらいいるのでしょうか?私立中学や高校はどのくらいあるのでしょうか?前回の幼稚園と小学校に続き、中学と高校の学校数や生徒数を調べてみました。
中学校は私立だけ増加している
下記の表1は1965年(昭和40年)から5年ごとと2011年および2012年の中学校数を、国立・公立・私立に分けてまとめたものです。
表1:中学校数の推移
西暦 | 計 | 国立 | 公立 | 私立 |
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1965年 | 12,079 | 76 | 11,384 | 619 |
1970年 | 11,040 | 76 | 10,380 | 584 |
1975年 | 10,751 | 76 | 10,120 | 555 |
1980年 | 10,780 | 76 | 10,156 | 548 |
1985年 | 11,131 | 78 | 10,472 | 581 |
1990年 | 11,275 | 78 | 10,588 | 609 |
1995年 | 11,274 | 78 | 10,551 | 645 |
2000年 | 11,209 | 76 | 10,453 | 680 |
2005年 | 11,035 | 76 | 10,238 | 721 |
2010年 | 10,815 | 75 | 9,982 | 758 |
2011年 | 10,751 | 73 | 9,915 | 763 |
2012年 | 10,699 | 73 | 9,860 | 766 |
資料:文部科学統計要覧(平成25年版)をもとに執筆者作成
日本の中学校の数は近年減少傾向にあり、1990年の11,275校から2012年には10,699校へ約5%(576校)減っています。しかし、前回のコラムで取り上げた幼稚園や小学校に比べたら、減少幅は比較的小さいと言えます。内訳をみると、国立や公立は減っていますが、私立は1980年から増加傾向にあり、2012年は766校と1990年に比べて約26%(157校)も増えています。私立の占める割合は2012年でも約7%しかありませんが、小学校の約1%に比べたら、かなり多い割合になっています。
私立の生徒数は1985年比で約43%増
表2は中学校の生徒数の推移を表したものです。
表2:中学校の生徒数の推移
中学校の生徒数も小学校等と同様に大きく減っています。1985年の5,990,183人から2012年の3,552,663人へ27年間で約40%(2,437,520人)も減っています。こんなにも少子化が進行していると、誰もが日本の将来に不安を感じるのではないでしょうか。生徒数の内訳をみると、校数と同様に公立の減少が大きい一方で、私立は増加しています。1985年に比べたら公立は約43%(2,507,994人)の大幅な減少ですが、私立は対照的に約43%(75,568人)の大幅な増加となっています。その結果、私立中学校の生徒数の全体に占める割合が1985年時点の2.9%から、2012年には7.1%へ高まっています。
高校の数も公立が大幅に減少している
最後に高校(高等学校)の状況を確認しておきましょう。表3は高校の学校数の推移をまとめたものです。
表3:高等学校数の推移
西暦 | 計 | 国立 | 公立 | 私立 |
---|---|---|---|---|
1965年 | 4,849 | 24 | 3,633 | 1,192 |
1970年 | 4,798 | 24 | 3,550 | 1,224 |
1975年 | 4,946 | 17 | 3,701 | 1,228 |
1980年 | 5,208 | 17 | 3,951 | 1,240 |
1985年 | 5,453 | 17 | 4,147 | 1,289 |
1990年 | 5,506 | 17 | 4,177 | 1,312 |
1995年 | 5,501 | 17 | 4,164 | 1,320 |
2000年 | 5,478 | 15 | 4,145 | 1,319 |
2005年 | 5,418 | 15 | 4,082 | 1,321 |
2010年 | 5,116 | 15 | 3,780 | 1,321 |
2011年 | 5,060 | 15 | 3,724 | 1,321 |
2012年 | 5,022 | 15 | 3,688 | 1,319 |
資料:文部科学統計要覧(平成25年版)をもとに執筆者作成
高校の学校数は小学校や中学校よりやや遅い1990年(5,506校)頃がピークで、その後は減り続け、2012年までに約9%(484校)減って5,022校になっています。高校においても減っているのは公立高校で、私立の校数は1990年頃からほとんど変わっていません。私立の割合は2012年で約26%と、高校は4校に1校が私立となっています。
高校の生徒数の約30%は私立高校
表4は高校の生徒数の推移をまとめたものです。
表4:高等学校の生徒数の推移
少子化の影響は高校の生徒数にも表れており、2012年の生徒数は22年前の1990年に比べて約40%(2,267,727人)も減っています。内訳をみると国立が約17%減、公立が約42%減、私立が約37%減と、いずれも大きく減っています。私立高校の生徒数が全体に占める割合は、1990年の28.7%から2012年の30.4%へ、わずかながら高まっています。
幼稚園から高校までそれぞれ校数(園数)と生徒数(園児数・児童数)をみてきました。生徒数では、私立の占める割合が幼稚園82.0%、小学校1.2%、中学校7.1%、高校30.4%となっています。現在、最もオーソドックスな組み合わせは幼稚園から順に「私立」「公立」「公立」「公立」となり、教育費を備える親の立場としては、これを前提に備えていくのが無難と言えます。しかし、子どもの進路は、地域事情や周りの子の状況等にも大きく影響を受けるはずです。親としては、子どもがどの進路を進んでも問題ない備えをしておきたいところです。
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コラム監修者プロフィール
山本 俊成 (ヤマモト トシナリ) マイアドバイザー.jp®登録 - ファイナンシャルプランナー。
大学卒業後、株式会社三和銀行(現三菱UFJ銀行)入社。
2003年、外資系生命保険会社入社。
2005年、総合保険代理店株式会社ウィッシュ入社。
2010年、株式会社ファイナンシャル・マネジメント設立。
銀行と保険会社に勤めていた経験を活かし実務的なコンサルティングを行う。
ファイナンシャルプランナー 松浦 建二
※この記載内容は、当社とは直接関係のない独立したファイナンシャルプランナーの見解です。
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