学資保険を知るための6つの視点 第3回 学資保険の加入率と選ぶときのポイント
はじめに
前回のコラムでは、学資保険と積立式定期預金の比較をしましたが、今回は、学資保険の加入者・未加入者の教育資金に対する考え方について、みていきたいと思います。
NTTコム リサーチが実施した「学資保険に関する調査結果」(以下:アンケート)では、10歳未満の子ども(生まれていない子も含む)がいる20代~50代の男女回答者1,076人から得た、学資保険に関するアンケート調査の回答を集計しています(調査期間:平成25年6月26日~平成25年7月1日)。
回答者の男女の内訳は、男性547名(50.8%)、女性529名(49.2%)。
年代別の内訳は、20代113名(10.5%)、30代438名(40.7%)、40代436名(40.5%)、50代89名(8.3%)と、約80%が30代、40代の回答者になっています。
厚生労働省「平成25年人口動態統計月報年計(概数)」によると、平成25年の第1子出生時の母の平均年齢は、30.4歳でした。また、母の年齢(5歳階級)別にみると、平成25年の全出生数102万9,800人のうち、20~24歳は9万1,247人(8.9%)、25~29歳は28万2,790人(27.5%)、30~34歳は36万5,400人(35.5%)、35~39歳は22万9,736人(22.3%)、40~44歳は4万6,547人(4.5%)、45~49歳は1,069人(0.1%)となっています。
第1子出生時の母の年齢層は、30代の出生割合が57.8%と一番多くなっています。
学資保険の年代別加入率
アンケートによりますと、学資保険への加入率は57.2%となっており、教育資金を確保する重要な手段として定着していることがわかります。
年代別の学資保険への加入率は、
20代 | 63.4% |
30代 | 59.8% |
40代 | 53.1% |
50代 | 56.2% |
となり、20代の加入率が最も高く、40代の加入率が最も低くなっています。
これは、40代はすでに学資保険の満期を迎えている場合があることや、20代に比べ貯蓄額が多い、または住宅ローン等の支出などにより、学資保険に資金を回す余力がないことなどが影響しているのかもしれません。
学資保険に加入していない理由
同アンケートの、学資保険に加入していない理由(複数回答)では、
1位 | 学費のために預貯金をしているから | 35.6% |
2位 | 必要だとは思うが保険料を支払う余力が無いから | 31.5% |
3位 | 学資保険のことをよく知らないから | 21.7% |
4位 | そう多くの学費は必要でないと思うから | 8.5% |
5位 | その他 | 7.8% |
6位 | 学費のために投資を行っているから | 7.6% |
7位 | 十分な資金を持っているから | 4.8% |
となっています。複数回答形式の質問になりますので、回答を単純に足すことはできませんが、1位、6位、7位の回答より、学資保険に加入していない方も何らかの方法で教育資金の準備をしていることがわかります。
学資保険を選ぶときのポイントは?
学資保険を選ぶときに気になったことについて聞いた設問では、
(1番目に気になったこと)
1位 | 返戻率 | 73.3% |
2位 | 保護者に何かあった時の補償(保障)の内容 | 11.5% |
3位 | 保険金を受け取るタイミングが適切、 もしくは自由に設計できるか |
8.0% |
という結果でした。最も気にしていることは「返戻率」になりますが、「保険金を受け取るタイミングが適切、もしくは自由に設計できるか」という、受取方法にこだわった回答も多く見受けられます。
返戻率と受取方法の関係につきましては、次回「返戻率の考え方」のコラムで取り上げていきます。
学資保険を選ぶにあたって
学資保険を選ぶときに、複数の保険会社を比較した割合では、「比較した」が58.0%、「比較していない」が42.0%と、比較することなく選んでいる人が4割以上いるという意外な結果でした。
また、学資保険を選ぶときの情報入手先は(複数回答形式)、
1位 | インターネット | 49.6% |
2位 | 友人・知人や親戚等 | 33.3% |
3位 | 保険会社の営業担当者 | 31.5% |
4位 | 複数の保険を扱っている所の担当者 | 13.0% |
5位 | 書籍や雑誌 | 10.1% |
となり、友人・知人や親戚等の身近な人の口コミ(2位)や保険会社の営業担当者(3位)など、人からの情報を元に選ぶ人が多いことがわかります。
最後に
今回は「学資保険の加入率と選ぶときのポイント」について、アンケート資料を参考にみてきました。
学資保険に加入していない理由として、学資保険のことをよく知らないことをあげる回答が21.7%もあることから、今後、学資保険の内容を理解される方が増えれば、加入率が上昇することが考えられます。しかし、給付型奨学金制度が今後充実してきた場合には、加入率が下がることも考えられます。
仮に加入率に変化がないとしても、少子化の影響で加入者数の減少は避けられないかと考えます。市場規模が縮小し、より競争が激しくなることで、各保険会社から、より魅力的な学資保険が開発されることを期待しつつ、今回のコラムを終了させていただきます。
次回は、「学資保険を知るための6つの視点 第4回 学資保険、同額の保険料で返戻率を上げるには」について解説していきます。
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コラム執筆者プロフィール
恩田 雅之 (オンダ マサユキ) マイアドバイザー.jp®登録 - 1959年東京生まれ。
2004年3月にCFP®資格を取得。
同年6月、札幌にて「オンダFP事務所」を開業。
資産運用をテーマとした個人向けのセミナー講師や3級、2級ファイナンシャル・プランニング技能士取得の講師やライフプラン、金融保険関連のコラムやブログの執筆など中心に活動中。
ファイナンシャルプランナー 恩田 雅之
※この記載内容は、当社とは直接関係のない独立したファイナンシャルプランナーの見解です。
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