教育資金計画に役立つデータ集 その2~中学校の学費・教育費
中学校の学費・教育費で気になるのは、公立中学校の場合は、高校受験のための費用となるでしょう。私立中学校は併設している高校に進学できるので、受験の心配はありませんが、学校以外にかかる費用も気になるところです。
さまざまなデータにより、事前にその金額を知ることによって、教育方針や教育資金計画にお役立てください。
文部科学省の「子供の学習費調査」をみてみましょう
文部科学省の「子供の学習費調査」というデータは、隔年行われていて、高校までの子どもにかかる教育費をみることができます。
「平成24年度子供の学習費調査」によると、中学校の学習費総額は以下の通りとなっています。
表1 中学校学習費総額
資料:文部科学省「平成24年度子供の学習費調査」をもとに執筆者作成
表1の金額は、1年間の支出となります。
公立と私立では、学校教育費に違いは当然出てきますが、塾や習い事が含まれる学校外活動費も、公立より私立が若干多いのは、「意外だ」と思う方もいるかもしれません。
公立中学校の場合は、高校受験を控えて塾等の学校外学習費が公立小学校の時と比べて多くなります。私立中学校でも同等にかかっていますが、やはり塾等の補助学習費が占める割合が多いのでしょうか。
では、学校外活動費の内訳をみてみましょう。
表2 中学校の学校外活動費
資料:文部科学省「平成24年度子供の学習費調査」をもとに執筆者作成
表2をみてみると、塾については、公立の方が多い結果となっています。私立の場合は、学校内で学習が完結できるように、授業や補習を行うことを方針としていると考えると、この数字はうなずけます。ただ、私立の場合、系列の高校に自動的に進学できるものの、系列高校のコースによっては、学内で一定の成績以上を必要とされるところもあります。系列校進学のための成績維持、または、向上を目的として、3年次に塾等の補助学習を始めるケースもあるでしょう。
公立と私立の学校外活動費で違いがみて取れるのは、「その他の学校外活動費」です。
私立では、体験活動や地域活動、文化芸術活動は突出して公立より多くの費用がかかっていることがわかります。公立中学での対外活動は、部活動が中心となるので、少ないのかもしれません。
公立中学の教育費で特筆すべきは、高校受験のための費用です。
次は、公立中学の補助学習費の学年別内訳をみてみましょう。
表3 公立中学校の補助学習費
資料:文部科学省「平成24年度子供の学習費調査」をもとに執筆者作成
表3をみてみると、3年次の学習塾費用が突出して多くなっています。
この結果より、高校受験を控えて、塾への支出が増えているということがわかります。ただし、この金額は全国平均ですので、地域により差があると思われます。
近年、高校受験対策のための塾の形態は多様化しています。
中学生の通う塾は、「高校受験対策に特化した塾」「受験対策と学校の定期テストもフォローする総合塾」「学校の授業の補助的役割を持つ補習塾」に大きく分けられます。
また、塾の規模でも違いがあります。大手の塾と中小の塾とでは、それぞれ特徴が違います。
大手塾は、有名校への進学実績を売りとしているため、有名進学校の受験ノウハウを豊富に持っているでしょうし、指導力の高い講師も数多くいることでしょう。駅の近くに立地しているところが多く、交通の便も良いことも挙げられます。
一方、中小の塾は、地元の中学への対策が充実していることや、少人数クラスが多く、講師とのコミュニケーションがよく取れ、一人一人に丁寧な対応をしてもらえるということが期待できます。
その他では、指導形式でも違いがあり、大きく分けて「集団指導」と「個別指導」があります。
それぞれにメリット、デメリットはありますが、費用の面をみると個別指導の方が集団指導よりも高くなります。
前回コラムの小学校の教育費と比較してみると、中学校へ進学するこの時期から、教育費の支出が増えていることがわかります。中学入学後から高校進学までは期間が短いですが、高校や大学にかかる教育費負担も現実味を帯びてくる時期です。また、住宅ローンを抱えている家庭も少なくなく、家計のやりくりも難しくなってくる時期といえそうです。そのため、目先の支出と将来の支出を同時に考える必要がある時期だといえるでしょう。
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