教育資金計画に役立つデータ集 その1~小学校の学費・教育費
小学校の6年間で学費はどれだけかかるのでしょうか。
公立と私立では、大きな差があります。事前にその金額を知ることによって、教育方針や教育資金計画にお役立てください。
文部科学省の「子供の学習費調査」をみてみましょう
文部科学省の「子供の学習費調査」は、隔年で行われていて、高校までの子どもにかかる教育費をみることができます。
「平成24年度子供の学習費調査」によると、小学校の学習費総額は以下の通りとなっています。
表1 小学校学習費総額
資料:文部科学省「平成24年度子供の学習費調査」をもとに執筆者作成
表1は、1年間の支出となります。
公立小学校は、学校にかかる費用よりも習い事や学習塾の費用となる「学校外活動費」の支出が多いことがわかります。
一方、私立小学校は、年間支出が約142万円となっており、月額換算をすると約11万円強となります。
学校教育費の内訳をもうちょっと詳しくみていきましょう。
表2 小学校の学校教育費の支出構成
資料:文部科学省「平成24年度子供の学習費調査」をもとに執筆者作成
表2は、小学校の学校教育費の内訳です。
公立小学校は、主に学校で集金される「教材費」が一番多いのに対して、私立小学校は、「授業料」が多くを占め、次いで「学校納付金等」となっています。
「学校納付金等」は学校に納める設備費等の費用となります。
通学関係費も、私立小学校は、電車やバス通学となることが多いため金額が大きいです。
「学校外活動費」についてもみていきましょう。学校外活動費の中でも学習塾等の費用がわかる「補助学習費」の学年別の金額の分布をみていきましょう。
表3 学年別学校外活動費
資料:文部科学省「平成24年度子供の学習費調査」をもとに執筆者作成
補助学習費のなかでも学習塾の支出が公立、私立とも学年が上がるごとに増えていくことがわかります。公立小学校の第4学年から急に増えるのは、中学受験の影響が考えられます。
ほかに、公立小学校では、第1学年の家庭内学習費が突出しています。家庭内学習費は主に通信教育の学習教材等の費用となりますので、小学校に上がるのを機に、家庭での学習習慣をつけさせたいという親の思いが感じられます。
私立小学校は、公立に比べて学習塾費の金額が一桁違います。通学にも時間がかかり、学習塾にも通うとなると、忙しい毎日であることが想像できます。
表1にあるように、私立小学校は学校への費用も掛かりますので、学校外活動費を含めた学習費総額が公立と比べて大きな差があります。私立小学校に進む子どもは、それだけ支出できる経済環境の家庭にあることも察することができます。
小学校における費用をみてきました。小学校6年間では、公立と私立の費用の差は大きく、選択の違いは、家庭の経済環境によることが少なからずあると感じます。私立小学校の数は少なく、文部科学省の「学校基本調査」(平成26年度)によると、小学校全体の約1%が私立小学校で、小学校の全在学者数の約1%が私立小学校の在学者数となっています。小学生全体から見て、私立に通う児童は、ほんのわずかであることがわかります。
教育費を考える際に参考になるデータをみてきました。公立の小学校の教育費は、公立の中学(450,340円/年)や高校(386,439円/年)と比べて少ないです。
この小学校6年間が、教育資金の最後の貯め時となります。公立の小学校に通いながら、教育費が家計を圧迫しているようでしたら、学校外活動費の部分を見直してみる必要があります。家計から教育資金を貯められるこの時期は貴重です。計画的に教育資金を積み上げ、将来、子どもが選択する学びを十分に受けられるよう、親として資金準備をしましょう。
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