幼稚園児、保育園児のパパに向けて、子どものためのマネープランニング その7
子どもの望む進学に備えるために
「幼稚園児、保育園児のパパに向けて、子どものためのマネープランニング」と題し、将来の大学進学に向けてのお金の準備について、子どもが望む進学をさせてあげられるよう、精神面だけでなく経済面もサポートできるために、今から計画を立てて準備をしていくことが大切だと、6回にわたってお伝えしてきました。
これまではお金が最も必要となる大学進学に焦点をおいてきましたが、中学、高校進学についても考えてみましょう。
国公立の中学校や高校への進学を仮定してお金の計画を立てていたにも関わらず、子どもの希望により私立学校への進学を望んだ場合には、計画の変更が必要になる場合もあるでしょう。
一体、進学のコースによりどのくらいのお金がかかるのか、改めて確認をしておきましょう。
大学生並みのお金がかかる私立中学
1ヶ月あたりの教育にかかるお金の総費用
資料:幼稚園児、保育園児のパパに向けて、子どものためのマネープランニング その2を参照
こちらは「幼稚園児、保育園児のパパに向けて、子どものためのマネープランニング その2」でも掲載した、進学コース別の1ヶ月あたりの教育にかかるお金の総費用を示したものです。
こちらの金額には、学校に支払う入学金、授業料、施設設備費等のお金だけでなく、学習塾や習い事、参考書等のお金も含まれています。
これまでの貯蓄からではなく、毎月の収入から捻出していくことになるであろう中学生や高校生に必要な教育のお金は、1ヶ月あたりいくらくらい必要になってくるのかで頭に入れておくといいでしょう。
例えば、私立中学に進学した場合、1ヶ月あたり106,558円。
表を見ると、実は国立大学(自宅通学)に進学した場合とほぼ同じだけのお金がかかることが分かります。
また私立中学受験を目指すのであれば、小学校低学年のうちに計算や読解の基礎力をつけるために塾に通い始めるお子さんもいるでしょう。小学3年生の2月から進学塾では私立受験専門コースが始まります。
そして進学塾にかかるお金は、学年が進むごとに増えていき、小学校6年生では1ヶ月あたり約10万円もかかる塾も数多くあるようです。
つまり子どもは小学生ですが、お金の面からすると大学生を抱えていることになるわけです。
もし、私立中学校に通うことになるなら、高校も付属の私立に進学する可能性が高く、大学進学のために貯蓄計画は見直しが必要になるでしょう。
計画外に私立中学を受験することになったなら・・・
子どもの純粋な希望で計画外に私立中学を受験することもあります。親としては子どもの希望をかなえたいものです。私立に通うことになれば想定以上にお金がかかることになりますので、教育資金計画は見直しを迫られます。どのように見直していけばよいのでしょう。
具体例をみてみましょう。
Aさんは大学進学のためのお金として、18歳になるまでに500万円貯めようと、子どもが生まれた時から毎月23,000円ずつ貯蓄をしています。年利0.1%で複利運用していると仮定します。
18年間順調に貯めていくことにより、目標金額の500万円が達成できるわけです。
しかし、私立中学受験をすることになり、高校まで私立学校に通うとして、進学塾に通い始めた小学校4年生頃(10歳)から計画通りに23,000円ずつの貯蓄が厳しくなり、ストップしたとしたら、積立金はいくらになるのでしょう。
10歳まで23,000円の貯蓄を続け、年利0.1%の複利運用をして貯められるお金は、約277万円。
計画の約半分にしかなりません。
私立中学への受験を意識した段階で、今後のお金の計画にメスを入れていく必要があるのです。
足りなくなることが判明すれば、早めに計画の見直しを検討することになります。
引き続き積立をして何とか500万円を準備するのか、積立金を減額するのか、足りない分は、奨学金を利用するのか等を検討して、計画を見直しするのです。学資保険で積立をしている場合は、できるだけ解約は避けたいところですので、早めの対策が必要になります。
私立学校に通いながらも、学資保険や、積立でしっかり大学資金も準備したいのであれば、支出を減らすか収入を増やして積立金を捻出することになります。
私立学校に通い続けることになれば、毎月の支出を減らすことは難しくなります。
一方、収入を増やすことは、最も有効な方法です。パパの給料を急に増やすことは難しいですが、ママの働きで不足分が補えるかもしれません。
専業主婦の場合は、パートで働き始める。すでにパートで働いている方は、働き方を変えてみる等を検討することになります。
私立学校に通うと学費以外にも想定以上にお金がかかるものです。
その辺のお金も、ママが働くことにより補えます。
子どもが乳幼児の今では、想像できないこともありますが、ママの働きは将来家計の助けになることは確かです。今は、働く必要はなくても、将来働くことを想定して準備を進めていくことをお勧めします。パパはママのフォローも忘れずに。
最後に
精神面は友人や先生等からのサポートを受けることができるでしょうが、お金の面のサポートだけは親しかしてあげることができません。
子どもが生まれた時から、子どもの進学する時期、つまりお金が必要な時期は分かっています。
ただ、親が思い描いているような進学先に進まないことも、想定しておきましょう。
子どもの希望を叶えるためのものであることを大前提に、長期的な視野でマネープランニングしていくことが大切です。
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コラム執筆者プロフィール
川崎 由華 (カワサキ ユカ) マイアドバイザー.jp®登録 - CFP®、1級ファイナンシャル・プランニング技能士、平成24年度日本FP協会「くらしとお金の相談室」相談員。
前職ではがん領域の薬を扱う製薬会社に勤務。
現在は2児の母をしながら、主婦向けのマネー講座や個人相談、執筆等ファイナンシャルプランナーとして活動中。
お金の数字だけの問題でなく、気持ちも汲み取れる身近で気さくな存在のファイナンシャルプランナーをモットーにしている。
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コラム監修者プロフィール
山本 俊成 (ヤマモト トシナリ) マイアドバイザー.jp®登録 - ファイナンシャルプランナー。
大学卒業後、株式会社三和銀行(現三菱UFJ銀行)入社。
2003年、外資系生命保険会社入社。
2005年、総合保険代理店株式会社ウィッシュ入社。
2010年、株式会社ファイナンシャル・マネジメント設立。
銀行と保険会社に勤めていた経験を活かし実務的なコンサルティングを行う。
ファイナンシャルプランナー 川崎 由華
※この記載内容は、当社とは直接関係のない独立したファイナンシャルプランナーの見解です。
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