国内旅行保険の必要性
はじめに
国内旅行保険は、国内旅行中の本人のケガに対応する主契約と、他人にケガをさせたり、他人の物を壊したりした場合の個人賠償責任に対する特約、カメラを落として壊した場合等に対する携行品損害を補償する特約、救援者費用を補償する特約等から構成されています。
以下、3つの国内旅行シーンからその必要性についてみていきます。
奈良・京都等の名所旧跡めぐりや市内観光中心の旅行
市内観光では、おみやげを買う機会や名所をカメラで撮影する機会が多くなります。おみやげ店等への入店回数が増えることで、お店にある展示品や商品を破損させてしまうリスクが高まります。
また、名所旧跡めぐりの時は、普段の生活に比べカメラを頻繁に出し入れすることが多くなります。それによりカメラを落としてしまうリスクも高まります。
その点から、国内旅行保険によって個人賠償責任や携行品損害に備えておくことが有効かと考えます。
ただし、ほとんどの保険会社の携行品損害の補償は、携行品1個、1組または1対あたり10万円が支払いの限度になります。旅行に行く時は、あまり高価な物を携行しない方がいいでしょう。また、1回の事故ごとに免責金額(自己負担額)が、本人の負担となる場合もあります(1例3,000円)。
また、保険金が支払われないケースとして、被保険者が所有していない物(会社所有のパソコンなど)という事例を挙げている保険会社もあります。安易に友人知人からカメラなどの携行品を借りて旅行するのは避けた方がいいかもしれません。
別府や草津・登別等の温泉地滞在が中心の旅行
滞在中心の旅行では、上記の市内観光中心の旅行に比べ、個人賠償責任や携行品損害のリスクは低いかと考えます。むしろ、ホテルや旅館の階段からの転倒事故、足元が滑りやすい風呂場での転倒事故などケガに備えることが必要になります。
宿泊するホテルや旅館によっては、高価な調度品を展示しているところもありますので、上記のケガへの補償と併せて個人賠償責任をサポートする特約への加入も必要かと考えます。
登山やスキー、海などに行くアクティブな旅行
アクティブな旅行の場合は、本人のケガや、他人にケガをさせてしまうリスクについて主契約と個人賠償責任特約により備えておく必要があります。
ほとんどの国内旅行保険の個人賠償責任の限度額は3,000万円であることを考えると、人に対しての事故の補償額としては少ないかと考えます。クレジットカード付帯保険や自動車保険の特約で用意されている個人賠償責任保険の補償額についても確認しておくことが必要でしょう。
本人のケガについては、手軽な登山やスキーでの事故、プールでの転倒等については補償の対象になりますが、ピッケル等の登山用具を使用する本格的な登山やボブスレー、スカイダイビング、ハンググライダー等のケガは補償の対象から外れ、保険金が支払われませんので、旅行中に行うスポーツが補償の対象になっているか、事前に保険会社に確認が必要になります。
また、はじめの2つの国内旅行に比べ、山や海などでは、捜索・救援活動が必要になるリスクが高くなると考えられます。救援者費用等の特約への加入の検討も必要になります。
まとめ
国内旅行保険に加入するにあたっては、現在既に加入している傷害保険や医療保険によるケガの補償、クレジットカードや自動車保険の特約による個人賠償責任の補償を調べてから、不足している部分を国内旅行保険でカバーする方法があります。
その場合、3つの旅行シーンでみてきましたように、旅行の内容によって重点を置く補償が異なる点も考慮しましょう。
もう1つは、安心して旅行を楽しむための「お守り保険」として割り切って加入する方法です。補償される保険金額にもよりますが、3泊4日の旅行ですと、主契約と3つの特約(個人賠償責任、携行品損害、救援者費用等)をセットにして保険料が1,000円以下の保険会社もあります。
以上、国内旅行保険の必要性を3つの旅行シーンから検討してみました。
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コラム執筆者プロフィール
恩田 雅之 (オンダ マサユキ) マイアドバイザー.jp®登録 - 1959年東京生まれ。
2004年3月にCFP®資格を取得。
同年6月、札幌にて「オンダFP事務所」を開業。
資産運用をテーマとした個人向けのセミナー講師や3級、2級ファイナンシャル・プランニング技能士取得の講師やライフプラン、金融保険関連のコラムやブログの執筆など中心に活動中。
ファイナンシャルプランナー 恩田 雅之
※この記載内容は、当社とは直接関係のない独立したファイナンシャルプランナーの見解です。
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