2020.10.02
会社員・公務員が注意したい「ねんきん定期便」の見方
「ねんきん定期便」が届いても、開かないまま捨てたり、しまい込んだりする方もいるかもしれません。
しかし、ねんきん定期便は「年金記録が間違っていないか」「老後にもらえる年金見込額はいくらか」を知るための大切な資料となります。
そこで今回は、会社員や公務員の方のために、ねんきん定期便の見方をご紹介します。
ねんきん定期便の内容は?
ねんきん定期便とは、これまでの年金記録(保険料の支払状況)や将来の年金受給に関する情報が記載されているもので、毎年誕生月(1日生まれの方は、誕生月の前月)に送られてきます。
ねんきん定期便は基本的には「はがき」ですが、節目年齢(35歳、45歳、59歳)には、より詳しい情報を確認できる封書の様式で届きます。
表 ねんきん定期便の様式と記載内容
※スクロールで表がスライドします。
資料:日本年金機構ホームページをもとに執筆者作成
老齢年金の年金額(50歳未満の方)
ねんきん定期便に記載されている老齢年金の年金額は、50歳を境に、異なる基準で算出されます。
50歳未満の方は「これまでの加入実績に応じた年金額」であり、これから先の期間については考慮されていません。
特に20代や30代の方は、これまでの加入実績がまだ少ないため、記載されている年金額も少ないことが多いでしょう。
会社員や公務員の方が加入している厚生年金は、加入期間が長く、また加入期間中の平均給与が高い方ほど年金額が高くなる仕組みとなっています。
今後も保険料を支払っていくことで、ねんきん定期便に記載される年金額は増えていきます。
老齢年金の年金額(50歳以上の方)
50歳以上の方の年金額は、「現在の加入要件で60歳まで継続して加入する」と仮定して算出された年金見込額です。60歳前に退職や給与変動があった場合などは、年金額も変わってきます。
また、「加給年金」や、会社員の方であれば「厚生年金基金や企業年金連合会から受給する年金額」が含まれていない点にも注意する必要があります。
図1 加給年金とは
- 65歳未満の配偶者、または18歳までの子どもなどを扶養している場合に、老齢厚生年金に上乗せして受給できる年金額
- 厚生年金の加入期間など、一定要件が設けられている
資料:執筆者作成
加給年金の要件に自分が該当するか分からないときは、年金事務所に聞いて確認してみると良いでしょう。
また、厚生年金基金や企業年金連合会から受給する具体的な年金額を知りたいときは、加入期間がある基金や連合会に問い合わせて確認する必要があります。
会社員や公務員が注意したい年金記録の確認方法
国がねんきん定期便を送る目的には、これまでの年金記録に漏れや誤りがないかを被保険者自身に確認してもらうことも含まれています。
図2にあるように、転職や出向、会社の合併や社名変更などがあった方は、特に注意が必要です。
もしも年金記録の漏れや誤りを見つけたら、早めに年金事務所や街角の年金相談センターで相談してください。
図2 年金記録の「漏れ」や「誤り」が多く発見されるパターン
- 転職のたびに年金手帳が発行された方
- 勤務先の会社が、その後、合併、社名変更、倒産した方
- 同じ会社(グループ)内で転勤や出向を繰り返していた方
- 試用期間中に退職した方
- 保険の外交員、期間工などとして勤めていた方
- いろいろな名前の読み方がある方
- 退職後、結婚し姓が変わった方
- 学生であったが国民年金に加入していた方
- 夫(妻)の扶養家族であったが国民年金に加入していた方
資料:日本年金機構「こんな方はぜひ、年金記録に漏れがないかご確認を!」をもとに執筆者作成
また、ねんきん定期便に記載されているアクセスキーを「ねんきんネット」のWebサイトで入力すると、ユーザーIDが取得でき、ねんきんネットを利用できるようになります。
ねんきんネットとは、インターネットを通じて自分の年金の情報を確認できるサービスです。過去から最新までの全ての年金記録をいつでも閲覧できるだけでなく、今後の働き方や受給開始年齢などを自分で設定して、年金見込額を試算することもできます。
以前は「保険料の支払状況の反映が遅い」という声もあったようですが、現在は原則として毎日更新する取り組みが行われているため、最新の記録を確認しやすくなっています。
ねんきん定期便に記載されていない最新の年金記録や、老齢年金の年金額をより詳しく確認したいときなどに利用すると便利でしょう。
- ※ この記載内容は、当社とは直接関係のない独立したファイナンシャルプランナーの見解です。
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