2020.09.11
会社員・公務員が年金を殖やすノウハウ(その1)
「人生100年時代」ともいわれている現代では、一生涯受給が可能な「老齢年金」は、できるだけ殖やしておきたいものです。
そこで、会社員や公務員の老齢年金を殖やす方法について、これから3回にわたってお伝えしていきます。
まずは、「60歳以降も働く」という方法をご紹介します。
長く働くことで殖える老齢年金
会社員や公務員の場合、年金保険料を支払った期間が原則10年以上あれば、老後は「老齢基礎年金」と「老齢厚生年金」の2種類を受給することができます。
そのうち、老齢厚生年金については、厚生年金への加入期間が長く、加入期間中の平均給与が高い方ほど年金額が高くなる仕組みとなっています。
つまり、老齢厚生年金を殖やすためには、厚生年金に加入して働く期間をできるだけ長くすれば良いのです。
多くの勤務先は定年を60歳に定めていますが、厚生年金は原則70歳まで加入し続けることができます。60歳以降も再雇用制度などを積極的に利用して働き、老齢厚生年金を殖やしましょう。
老齢厚生年金の年金額のイメージ
※図はイメージであり、年金額は個々の保険料支払期間や平均給与などによって異なります。
資料:日本年金機構「老齢年金ガイド令和2年度版」をもとに執筆者作成
なお、老齢基礎年金については、年金保険料を40年間支払うことで満額となります。過去に年金保険料の免除や猶予を受けた方や、未払期間がある方は、老齢基礎年金を殖やすため、できるだけ追納をしておきましょう。
60歳以降も働き続けるメリット
60歳以降も会社員や公務員として働き続けることは、老齢年金を殖やす以外にも2つのメリットがあります。
(1)老後資金の枯渇を防ぐ
これから定年を迎える方は、老齢年金を受給するのは原則的に65歳からとなります。60歳で定年退職した場合、5年間は無収入となる方も少なくないでしょう。
例えば、毎月の生活費に30万円かかる家庭の場合、5年間では1,800万円の支出になります。60歳以降も働いて安定した収入を保つことで、老後資金が底を突くことを防ぎやすくなります。
(2)配偶者の年金保険料の負担を抑える
年下の配偶者を扶養している会社員や公務員の場合、60歳以降も働くことで配偶者の年金保険料の負担を抑えることができます。
例えば、夫が会社員で妻が専業主婦の場合、夫が厚生年金に加入している間、妻は第3号被保険者となるため国民年金保険料の負担はありません。
しかし、夫が退職すると、妻は60歳になるまで第1号被保険者となり、国民年金保険料として月額16,540円(2020年度)、1年間では20万円近くの負担が発生します。
会社員や公務員として仕事を続けることで、老齢年金を殖やしながら安定した収入を得て、配偶者の年金保険料の負担も減らすことができれば、家計にとって「一石三鳥」といえます。働けるうちはできるだけ働くことを、ぜひ検討してみましょう。
- ※ この記載内容は、当社とは直接関係のない独立したファイナンシャルプランナーの見解です。
- ※ 掲載されている情報は、最新の商品・法律・税制等とは異なる場合がありますのでご注意ください。