自治体によって異なる幼稚園のあり方
小学校就学前の子どもの育て方としては、家庭で育てる場合もありますが、多くは幼稚園か保育園(または、幼稚園と保育園が一体となった「こども園」)を利用しています。
幼稚園にも保育園にも公立と私立があり、公立でも自治体によってかなり違いがみられます。ここでは幼稚園を取り上げて、自治体によってどのような違いがあるのか調べてみました。
23区内の公立・私立の幼稚園の数
まずは、どのくらいの幼稚園があるのか、東京都23区の区立と私立の幼稚園数を調べてみました。
区ごとに人口や保育園の受け入れ数に差があるので、幼稚園数も当然、差はあります。ただ、区立と私立の幼稚園数のバランスをみると、区によって幼稚園に関する政策に違いのあることが推測できます。
例えば、大田区・杉並区・足立区には区立の幼稚園が1園もありません。その代わり、杉並区には独自の区立子供園が6園、足立区には認定こども園が3園あります。大田区は平成21年度を最後に区立幼稚園がなくなりました。時代の流れとして両親の共働きが増えており、保育園は待機児童が増えている一方で、幼稚園は地域によってはかなり定員に空きが生じているようです。そのため、各自治体としては幼稚園より保育園を増やしていく傾向にあり、幼稚園を廃止(平成26年度末には区立幼稚園が23区で8園廃止)したり、長時間保育も可能なこども園へ移行したりしています。
幼稚園の数はほとんどの区で私立の方が多いですが、中には区立の方が多い区もあります。特に中央区は、区立16園に対し私立は1園もありません。中央区は過去、人口減少に伴い幼稚園をたびたび廃止してきましたが、昨今は逆に人口増加に伴い、区立幼稚園の定員数を増やしています。
東京23区以外の自治体はどのような状況なのか、いくつかの自治体も確認してみました。例えば、千葉県船橋市には市立の幼稚園はなく、私立の幼稚園のみ45園あります。埼玉県川越市も市立の幼稚園はなく、私立(32園)のみとなっています。秋田県秋田市も国立1園以外は全て私立幼稚園で、市立はありません。長期的な少子化の影響もあり、東京23区に限らず自治体が運営する幼稚園は減少傾向にあるようです。
自治体によって保育料にも差がある
幼稚園数だけでなく、保育料についても自治体によって差がないか、上記で取り上げた東京23区の区立幼稚園の入園料と保育料を調べてみました。
表を見てもらうと、23区の中でも入園料と保育料にかなりの差があることがわかります。入園料は、0円(文京区・荒川区)から3,200円(板橋区)まで分布しています。月々保育料は、最も安いのが江戸川区の3,000円で、次に千代田区の4,000円となっています。最も高いのは、中野区の11,350円です。月々保育料は、江戸川区と中野区では区立同士でも実に4倍近い開きがあります。
23区以外もいくつか調べてみました。例えば、愛媛県松山市は入園料7,000円、月々保育料5,700円、沖縄県那覇市は入園料7,000円、月々保育料5,200円、滋賀県大津市は入園料1,000円、月々保育料は8,500円となっています。
子どもが幼稚園に通うと、入園料や保育料以外に教材費や保護者会費もかかり、この費用は幼稚園ごとに異なります。
公立の幼稚園は、総じて私立幼稚園より少ない負担で子どもを通わせることができますが、同じ公立でも自治体によって保育料に差があることは知っておいた方が良いでしょう。もし、子どもを幼稚園に通わせるなら、東京23区内では江戸川区や千代田区・中央区・港区あたりだと、経済的負担がより少なくて済みそうです。
ただ、幼稚園の保育料は安くても、生活にかかわる全ての経済的負担が軽いとは限りません。また、幼稚園の場合は区立であっても小学校や中学校と違って、必ずしも入園できるとは限りません。入園希望者が多ければ抽選になる場合もあります。もし、居住する地域を選べる(通う幼稚園を選べる)なら、事前に自分なりに調べて、お得な自治体を探してみてはいかがでしょうか。
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コラム監修者プロフィール
山本 俊成 (ヤマモト トシナリ) マイアドバイザー.jp®登録 - ファイナンシャルプランナー。
大学卒業後、株式会社三和銀行(現三菱UFJ銀行)入社。
2003年、外資系生命保険会社入社。
2005年、総合保険代理店株式会社ウィッシュ入社。
2010年、株式会社ファイナンシャル・マネジメント設立。
銀行と保険会社に勤めていた経験を活かし実務的なコンサルティングを行う。
ファイナンシャルプランナー 松浦 建二
※この記載内容は、当社とは直接関係のない独立したファイナンシャルプランナーの見解です。
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