学資保険を知るための6つの視点 第1回 学資保険の必要性について
はじめに
教育資金を確保する方法として、「貯める」「借りる」の2つがあります。
「貯める」場合は、「預貯金等を活用する方法」と「学資保険を活用する方法」があり、「借りる」場合は、学生本人が借りる「奨学金」と保護者等が借りる「教育ローン」があります。
今回は、「貯める」方法の1つ「学資保険を活用する方法」について、6回に分けて書いていきます。
第1回は、「学資保険の必要性について」です。
NTTコム リサーチが行った、「10歳未満の子ども(生まれていない子も含む)がいる20代~50代の男女を対象にしたアンケート調査(期間:平成25年6月26日~平成25年7月1日)」によると、学資保険の加入率は57.2%という結果でした。
半数以上の方が学資保険を利用して、教育資金を準備していることがうかがえます。
学資保険の3つの機能
学資保険の必要性を考える上で、主な3つの機能について最初に整理をしておきましょう。
- 1.教育資金の確保
- 2.契約者が万一の場合の保障
- 3.子ども(被保険者)が万一の場合の保障
になります。
以下、それぞれの機能についてみていきます。
1.「教育資金の確保」は、生命保険である学資保険に加入することにより、子どもの学費等の教育資金を準備することが目的です。
ここでは、支払保険料の合計額に対して、受け取れるお祝い金や満期保険金の合計額がどれだけ上回るかが、加入を検討する方の注目するポイントとなります。
これは、学資保険のパンフレット等では、返戻率(%)で表記されています。
(返戻率については、第4回のコラムで詳しくみていきます。)
2.「契約者が万一の場合の保障」は、契約者が万一の場合に、それ以降の保険料の支払いが免除になる機能です(保険商品によっては、保険料払込免除特約を選択する場合もあります)。保険契約はその後も継続し、子どもがある年齢に達した段階で、お祝い金や満期保険金等の給付を受けることができます。
最近は、契約者が三大疾病(がん、急性心筋梗塞、脳卒中)になった場合でも保険料が免除される保険も発売されています。
それ以外にも、契約者が万一の場合に、満期まで「育英年金」が受け取れる特約がある保険もあります。
(育英年金の内容については、第6回のコラムで詳しくみていきます。)
3.「子ども(被保険者)が万一の場合の保障」は、子ども(被保険者)が万一の場合に、所定の死亡給付金を受け取ることができる保障です。
以上3つの機能のうち、1は主契約でカバーされています。2・3については、主契約に含まれる商品と、別途特約で選択する商品があり、その扱いは保険会社により異なります。
学資保険を選ぶポイント
「はじめに」で紹介した、NTTコム リサーチのアンケート調査で「学資保険を選ぶポイント」の上位の回答は、
- 1位 返戻率(払込保険料に対する受取総額の割合)
- 2位 保護者に何かあった時の保障の内容
- 3位 保険金を受け取るタイミングが適切、もしくは自由に設計できるか
という結果でした。
この調査結果から、学資保険が必要な理由を考えると、
- 1.教育資金の確保
- 2.契約者が万一の場合の保障
の2つのニーズを同時に満たす商品として、検討されていることがわかります。
学資保険が必要な理由
上記2つのニーズの中でも、メインの目的は「教育資金の確保」になります。
その目的が確実に実行されるように、「契約者が万一の場合の保障」を用意しているのが学資保険の特長であり、必要とされる理由です。
ただ、学資保険も他の保険と同様に、
- 1.決まった期日に保険料を支払わないと、保険契約が失効してしまう
- 2.途中で解約すると、元本割れする場合がある
というリスクがあります。
しかし、このリスクは逆に、「計画的な貯蓄が苦手な方」や「ある程度お金が貯まったら取り崩してしまう方」にとって、教育資金を確実に確保する方法として機能します。
最後に
「はじめに」でも触れましたが、学資保険の加入率は57.2%と、教育資金を確保するための重要な手段として定着していると考えられます。
ただし、子どもがいる家庭全てが学資保険に加入している訳ではありません。
教育資金の準備は必要だと考えていても、それぞれの家庭の収入や貯蓄に対する考え方により、学資保険に加入する家庭と、それ以外の方法により教育資金を準備する家庭があります。
この点につきましては、次回「学資保険を知るための6つの視点 第2回 学資保険 VS 積立式定期預金 どっちを選ぶ?」でみていきます。
-
コラム執筆者プロフィール
恩田 雅之 (オンダ マサユキ) マイアドバイザー.jp®登録 - 1959年東京生まれ。
2004年3月にCFP®資格を取得。
同年6月、札幌にて「オンダFP事務所」を開業。
資産運用をテーマとした個人向けのセミナー講師や3級、2級ファイナンシャル・プランニング技能士取得の講師やライフプラン、金融保険関連のコラムやブログの執筆など中心に活動中。
ファイナンシャルプランナー 恩田 雅之
※この記載内容は、当社とは直接関係のない独立したファイナンシャルプランナーの見解です。
※掲載されている情報は、最新の商品・法律・税制等とは異なる場合がありますのでご注意ください。