子どもの医療保障は必要か!?
特約で子どもに医療保障を付けられる学資保険や、0歳から加入できる医療保険がありますが、そもそも子どもに医療保障は必要なのでしょうか?また、必要な場合はどのように確保したら良いのでしょうか?
子どもが入院・通院する確率はかなり低い
厚生労働省の患者調査(平成23年)で、子どもが入院や通院(外来)する確率を確認することができます。
入院患者数 | 入院受療率 | 外来患者数 | 外来受療率 | |
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総数 | 1,341.0千人 | 1.07% | 7,260.5千人 | 5.78% |
0歳 | 10.9千人 | 1.04% | 75.7千人 | 7.19% |
1~4歳 | 7.3千人 | 0.18% | 291.9千人 | 7.01% |
5~9歳 | 5.6千人 | 0.10% | 253.0千人 | 4.69% |
10~14歳 | 5.7千人 | 0.10% | 169.1千人 | 2.92% |
15~19歳 | 7.5千人 | 0.13% | 120.2千人 | 2.02% |
20~24歳 | 11.6千人 | 0.19% | 141.8千人 | 2.26% |
40~44歳 | 31.9千人 | 0.35% | 311.7千人 | 3.40% |
60~64歳 | 118.5千人 | 1.14% | 708.2千人 | 6.79% |
※宮城県の石巻医療圏、気仙沼医療圏および福島県を除いた数値
資料:厚生労働省平成23年患者調査をもとに執筆者が作成
入院や通院をする確率といえる受療率をみてみると、入院は0歳時の受療率が全年齢平均並みの1.04%ですが、1歳~24歳までは0.1~0.2%程度しかなく、60歳~64歳までと比べてかなり低いことがわかります。外来は4歳までの受療率が全年齢平均以上になっていますが、10歳~24歳までは60歳~64歳までと比べてかなり低くなっています。
子どもには手厚い医療費助成制度がある
子どもの医療費には、各区市町村が子育て支援のための助成制度を設けています。これは、健康保険証を使って病院等で診療を受けたとき、医療費のうち保険診療の自己負担分の一部または全部が助成されるものです。
例えば、東京23区(千代田区を除く)では、入院も通院も中学3年生まで医療費を無料(自己負担は無し)にしています。助成制度の内容は各区市町村によって異なり、保護者に所得制限を設けたり一部自己負担させたりしている場合もありますが、少子化対策として全国的に力を入れており、今後助成の対象年齢や要件が広がっていくことも考えられます。
※初診の特定療養費・健康診断・予防接種・入院室料差額等の健康保険がきかないものは、助成の対象外です。
子どもの医療保険は必要か?
外来の受療率から判断すれば、9歳くらいまでの通院への備えを確保したくなるかもしれませんが、民間の医療保険は、入院を伴わない通院は基本的に保障の対象外となっているので、備えるにしても医療保険以外の方法を考える必要があります。
子どもの医療保険は、入っていた方が当然安心できますが、そのためには保険料の負担をしなければなりません。家族全体の保障を考えた場合、子どもの医療保障より、夫婦の適切な死亡保障や医療保障の確保を優先してほしいものです。何故なら、子どもが入院や通院をした場合は、夫や妻の具合が悪いわけではないので、夫婦で協力し合えば仕事や家事への影響をかなり軽減させることができるからです。もちろん治療費等の支出はありますが、これも医療費助成や高額療養費制度等によって、経済的負担はかなり軽減されるはずです。
それでも不安で、僅かな保険料負担によって安心できるのなら、子どもの医療保険へ加入してみても良いのではないでしょうか。
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コラム監修者プロフィール
山本 俊成 (ヤマモト トシナリ) マイアドバイザー.jp®登録 - ファイナンシャルプランナー。
大学卒業後、株式会社三和銀行(現三菱UFJ銀行)入社。
2003年、外資系生命保険会社入社。
2005年、総合保険代理店株式会社ウィッシュ入社。
2010年、株式会社ファイナンシャル・マネジメント設立。
銀行と保険会社に勤めていた経験を活かし実務的なコンサルティングを行う。
ファイナンシャルプランナー 松浦 建二
※この記載内容は、当社とは直接関係のない独立したファイナンシャルプランナーの見解です。
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