乳幼児は呼吸器系の疾患にかかりやすい!
我が子のために将来の教育資金を確保する目的で子供(学資)保険に加入したり、病気やケガをした時への備えとして医療保険や医療保障特約に加入したりする親は多いかと思います。加入して安心できるならそれで良いし、子供(学資)保険自体は加入すればお金が貯まるので大いにメリットはあります。しかし、医療保険や医療保障特約等の医療保障は、その必要性を明確にしてから検討し、加入すべきです。そこで、加入目的が明確になるよう子ども(特に乳幼児)がかかりやすい病気等を調べてみました。
表は厚生労働省の『平成23年(2011)患者調査の概況』から、乳幼児(0歳と1~4歳)の外来受療率が比較的高い傷病等をまとめたものです。受療率とは、平成23年10月の調査日に病院や一般診療所で受療した推計患者数を人口10万対で表したものです。
受療率(人口10万対)=推計患者数/推計人口×100,000
表の数値は「率」なので、数値が高いほどその傷病にかかる可能性が高く、全年齢よりも受療率が高い傷病は、乳幼児に特にかかりやすい傷病といえます。なお、表の受療率は外来のみであり、入院は含まれていません。
表:年齢階級別・傷病小分類別外来受療率(人口10万対)
※宮城県の石巻医療圏、気仙沼医療圏および福島県を除いた数値
資料:厚生労働省「平成23年(2011)患者調査の概況」をもとに執筆者作成
「健康状態に影響をおよぼす要因および保健サービスの利用」を除いて外来受療率が高い順に並べると、0歳では「急性気管支炎(524)」「急性咽頭炎および急性扁桃炎(493)」「急性鼻咽頭炎[かぜ](357)」、1~4歳でも「急性気管支炎(808)」「喘息(772)」「急性咽頭炎および急性扁桃炎(470)」と、呼吸器系の疾患が上位に並んでいます。つまり、乳幼児が外来で受療する時は、呼吸器系の疾患で受療する場合が多いといえます。
呼吸器系の疾患以外では、0歳の場合は「感染症と推定される下痢および胃腸炎(233)」「中耳炎(186)」「アトピー性皮膚炎(191)」等の受療率が比較的高く、1~4歳でも「感染症と推定される下痢および胃腸炎(121)」「中耳炎(327)」「アトピー性皮膚炎(126)」や「う蝕(356)」等の受療率が比較的高くなっています。
また0歳や1~4歳の受療率を全年齢の受療率と比べると、幼い時だけにかかりやすい傷病を確認することもできます。表に取り上げた傷病等から「妊娠期間および胎児発育に関連する障害」等の周産期に発生した病態と「予防接種」等の健康状態に影響をおよぼす要因および保健サービスの利用を除いて、受療率が全年齢に対して極端に高いものを探してみると、「感染症と推定される下痢および胃腸炎」「耳垢栓塞」「心臓の先天奇形」等が当てはまります。
ちなみに乳幼児の親ぐらいの年齢(30~34歳)での外来受療率を見てみると、男性では「統合失調症、統合失調症型障害および妄想性障害」「気分[感情]障害(躁うつ病を含む)」「う蝕」「歯肉炎および歯周疾患」「椎間板障害」「脱臼、捻挫およびストレイン」等が比較的高く、女性では「急性咽頭炎および急性扁桃炎」「急性気管支炎」「う蝕」「歯肉炎および歯周疾患」「女性不妊症」等が比較的高くなっています。
※男女ともに傷病名が確定できないものや、健康状態に影響をおよぼす要因および保健サービスの利用に関するものは除く
乳幼児への備えを考える場合、大人と同じように医療保険へ加入する方法もあれば、子供(学資)保険に医療保障特約を付加して加入する方法もあります。医療保険であれば保険期間を終身に設定することも可能ですが、子供保険に付加する場合は、保険期間は満期金を受け取るまでに限定されます。保険に頼らずに貯金で備えておく方法もあります。乳幼児がかかりやすい傷病はある程度限定されることから、意外と備えやすいかもしれません。
ただ、乳幼児には自治体の医療費助成制度があってほとんど医療費がかからないこともあり、私的に備える必要はあまり高くないかもしれません。それよりも家計に与える影響の大きい親の備えを優先的に確保しておきたいものです。
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コラム監修者プロフィール
山本 俊成 (ヤマモト トシナリ) マイアドバイザー.jp®登録 - ファイナンシャルプランナー。
大学卒業後、株式会社三和銀行(現三菱UFJ銀行)入社。
2003年、外資系生命保険会社入社。
2005年、総合保険代理店株式会社ウィッシュ入社。
2010年、株式会社ファイナンシャル・マネジメント設立。
銀行と保険会社に勤めていた経験を活かし実務的なコンサルティングを行う。
ファイナンシャルプランナー 松浦 建二
※この記載内容は、当社とは直接関係のない独立したファイナンシャルプランナーの見解です。
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