ベビーカーでも楽しく出かけられる社会に
ベビーカーに乗る0歳から4歳くらいまでの子を持つ親であれば、電車やバス等の公共機関を使って楽しく外出したいものの、その際に、1度や2度(人によっては毎回)はヒヤッとしたり、つらい思いをしたりしているのではないでしょうか?公共機関を利用する際のベビーカーのあり方が、昨今問われています。今回は、子どもへの備えとともに、公共機関の取り組みや利用方法等について考えてみたいと思います。
鉄道会社の取り組み
多くの電車の車両には、「優先席」があります。どのような人が優先される席なのかというと、東急電鉄の場合、ホームページの「マナー・ご注意」には、「東急線では全車両に優先席を設けています。お年寄りやお体の不自由なお客さま、妊娠中や乳幼児をおつれのお客さまには席をお譲りください」と書かれています。
ただ、譲る側にも譲られる側にもいろいろと個人差があります。譲る側としては、「お年寄り」とは何歳以上の人を指しているのか、人によって判断は異なるでしょうし、見た目で判断するのも難しいです。また、譲られる側にとっても、自分自身をお年寄りと思っているかそうでないかの違いは、かなりあると思います。
「体の不自由な人」においては、譲る側としては、見た目で判断できない不自由さだと、判断が難しいところです。「妊婦」においても、妊娠初期だと見た目ではわかりません。マタニティマークをつけている人であれば判断できますが、男性からしてみれば、妊娠している人なのか、太ってお腹が出ている人なのかの判断すら難しいと思います。「乳幼児を連れている人」は一番わかりやすいですが、優先度でいえばこの中では低い方なのかもしれません。
また、ベビーカー利用者向けに「安全運行へのお願い」として、「駅構内で止まるときは、必ずブレーキ・ストッパーをおかけください。また、駅ホームでお待ちいただく際は、線路に対して平行になるようお止めください」とも書かれています。駅のホームは若干勾配があり、手を放すと線路の方へベビーカーが動きだしてしまう危険性があるからです。
昨今では、多くの鉄道会社やベビーカー関連団体等による、「みんなで赤ちゃんを守ろう」をコンセプトにした、ベビーカー利用に関するキャンペーンが実施されています。このキャンペーンでは、ベビーカー利用者への注意事項や周りの人へのお願い、鉄道会社の啓蒙活動や安全対策への取り組み等が紹介されています。
ベビーカー利用者のバスの乗り方
ベビーカー利用者にとって、バスは空間が狭く揺れるので、電車以上に難しい乗り物です。バスに乗る場合は、電車とは違った乗り方が求められます。例えば、東京都交通局(都バス)には下記のようなルールがあります。
乗車のルール(東京都交通局ホームページより)
都バスでは、ベビーカーを補助ベルトで固定すれば、ベビーカーに子どもを乗せたまま乗車することが可能です。しかし、車内が混雑している時やベビーカーが既に2台乗車している時、車いす利用者が乗車している時は、ベビーカーをたたんでの乗車となっています。また、大型のベビーカーは乗車できない場合があるとも書かれています。
乗車の手順
- ① 乗車は基本的に前のドアからだが、申し出れば後ろのドアからの乗車も可能
- ② ベビーカーを後ろ向きに止め、車輪にストッパーをかけて、ベビーカーのシートベルトを着用
- ③ 補助ベルトでベビーカーを固定
- ④ 補助ベルトはあくまで補助的なものであるため、乗車中はベビーカーをしっかりと支える
バスは電車より空間的な余裕がなく、後ろの方の座席だとベビーカーを置くスペースがありません。そのため、ベビーカー利用者は必然的に前の方を利用しますが、ベビーカーをたたんで足元に置いたとしても、かなり邪魔になります。
最近増えている3輪のベビーカー
父親が育児をすることへの社会的理解度が深まるのに合わせて、父親が押しても恥ずかしくない格好良いベビーカーが増えています。特に、近年は海外メーカー製の3輪ベビーカーが増えているようです。このタイプは4輪ベビーカーに比べてタイヤが大きい傾向にあり、安定した走行や押しやすさが評判となっています。しかし、4輪ベビーカーに比べて車幅が広いため、駅の自動改札を通れなかったり、バスの前のドアから乗れなかったりと、苦労も多いようです。
快適な社会の実現には、みんなの協力が必要
ベビーカー利用者が電車やバスに乗ることは何ら問題ありませんが、乗れば疲れるし無用なトラブルを避けるため、電車やバスに極力乗らないようにしているというベビーカー利用者もいます。乳幼児の泣き声や話し声にストレスを感じる人や、気持ちに余裕がないほど疲れている人もいるでしょう。いつ乗っても車内は空いているとか、電車やバス自体がもっと大きければ、多くのトラブルやストレスは回避できるかもしれませんが、現実的な話ではありません。ベビーカー利用者と周りの人の双方が、譲り合う気持ちや助け合う気持ちをもつことによって、より快適な社会になってほしいものですね。
公共の場では様々な人がいるので、どんなに細心の注意を払っていても、誰でもトラブルに巻き込まれる可能性があります。昨今は、父親がベビーカーを押して電車やバスに乗る機会も増えていますが、育児にあまり慣れていない父親なら尚更です。トラブルに巻き込まれないよう予防策を講じておくのがベストですが、もしもの時に安心して対応できるよう、備えは確保しておきたいものです。公的なサポート体制を確認しておいたり、自助努力(個人賠償責任の保険や病気・ケガの保険に加入する等)をしたりしておくと良いでしょう。
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コラム監修者プロフィール
山本 俊成 (ヤマモト トシナリ) マイアドバイザー.jp®登録 - ファイナンシャルプランナー。
大学卒業後、株式会社三和銀行(現三菱UFJ銀行)入社。
2003年、外資系生命保険会社入社。
2005年、総合保険代理店株式会社ウィッシュ入社。
2010年、株式会社ファイナンシャル・マネジメント設立。
銀行と保険会社に勤めていた経験を活かし実務的なコンサルティングを行う。
ファイナンシャルプランナー 松浦 建二
※この記載内容は、当社とは直接関係のない独立したファイナンシャルプランナーの見解です。
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