教育資金の貯め時と積み立て方
教育資金の最も大切なポイントは、ひとたびお子さまが生まれたら後回しにはできないことです。0歳のお子さまは、6年後には小学生、12年後には中学生、15年後に高校生になります。そして18年後には、お子さまが大学進学を希望されたときあわてないよう、入学金などの費用をある程度準備しておきたいところです。教育資金は貯め時を逃さず、早く準備を始めることが大切です。実行できるものから始めてみましょう。
教育資金の貯め時はいつ?
教育資金が実際いくらかかるかはお子さまの進路によって大きく違いますが、大学進学を希望する場合、学習塾代などの受験のための費用がかかるようになり、塾の行き帰りの交通費や外食費などもかかるようになることもあります。そのため、比較的お子さまにかかる費用が少ない未就学児や小学生の頃などが貯め時といえます。
図1 教育資金の貯め時
資料:執筆者作成
お子さまが生まれると中学校を卒業するまで、児童手当が支給されます。児童手当の振込先を生活費の口座と別に、お子さまの教育資金用の別口座にすることで自動的に積み立てることができます。さらに「先取り貯蓄」の方法を使って積み立てましょう。
図2 先取り貯蓄のイメージ
資料:執筆者作成
先取り貯蓄とは、給与などの収入から貯蓄を先にとっておく方法です。日々の生活費や一時的な出費で使ってしまう前に、この方法を活用して教育資金を積み立てましょう。
教育資金を積み立てる方法
教育資金を金融商品で積み立てる方法はいくつかありますが、教育資金は必要な時期が決まっていますので、比較的リスクの少ない方法で堅実に積み立てるのがおすすめです。それぞれの特徴を知って、教育資金を積み立てましょう。
表 金融商品を使った教育資金の積み立て例
資料:執筆者作成
銀行預金
自動積立定期預金
「自動積立定期預金(金融機関によって名称は異なります)」とは、毎月決まった日に決まった金額を、普通預金から定期預金に自動的に移動させて貯蓄する方法です。給与振込に使っている銀行で給料日の翌日にお金を給与振込口座から定期預金口座に移動させるように手続きをすると、その後は自動的に継続され、手間がかかりません。ただし、積み立て中にも引き出しができるので、つい生活費に使ってしまわないように注意しましょう。
財形貯蓄
一般財形貯蓄
お勤めの会社で申請し、給与・ボーナスからの天引きで一定額を積み立てる方法です。解約のハードルが少し上がるので、貯蓄があるとつい使ってしまう方にはおすすめです。
※お勤め先がこの制度を導入している必要があります。
万一の保障もある保険
保険は銀行預金とは異なり、貯蓄機能と同時に万一の保障を備えることができます。途中で解約すると多くの場合、解約返戻金は払込保険料総額よりも少なくなる注意点がありますが、確実に教育資金を積み立てる視点ではメリットにもなります。それぞれの保険についてみていきましょう。
(1)学資保険(子供保険)
学資保険とは、主にお子さまの教育資金の準備を目的とした保険です。親などが保険料を支払い、お子さまの年齢や入学時期に合わせて学資金(祝い金や満期保険金)が受け取れるようになっています。契約者に万一のことがあった場合、保険料の払い込みが免除され、学資金は予定通り受け取れる保障が最大のメリットです。
(2)低解約返戻金型終身保険
学資保険と同じように教育資金の積み立てとして利用できることを知っておきたい保険が、「低解約返戻金型終身保険」です。死亡保障が一生涯にわたって継続する保険で、保険料払込期間中の解約返戻金は低く抑えられるかわりに、保険料がお手頃になっています。教育資金の積み立てを目的としてこの保険を利用する場合、お子さまが大学進学を迎える前に保険料の払い込みを終え、解約返戻金が大学進学時に必要な額になるようなプランが考えられます。
(3)外貨建て保険(ドル建て終身保険など)
終身保険、養老保険、個人年金保険などの保険種類について、保険料の払い込みや保険金などの受け取りを外貨で行うものです。一般的に、円建てよりも利回りが高く設定されていることが魅力の一つと考えられます。外貨建て終身保険は、死亡保障の機能としては円建て終身保険と同じですが、為替変動の影響を受けることが注意点です。
(4)変額保険
変額保険とは、資産を株式や債券を中心に運用し、運用の実績によって保険金や解約返戻金が増減する保険のことです。解約返戻金額が払込保険料の総額を下回ることがある「投資リスク」があります。運用先は契約者が選択できる商品と、決まっている商品があります。
教育資金は早めにコツコツ積み立てる
教育資金はお子さまの進路によって変わってきますが、お子さまが小さいうちから積み立てることが、無理なく着実に貯められ、家計にとってもお子さまの教育資金にとってもプラスです。銀行預金と保険を組み合わせて、早めに計画的にコツコツ積み立てましょう。
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コラム執筆者プロフィール
加藤 葉子 (カトウ ヨウコ) - 女性とシングルマザーのお金の専門家
- 離婚を機にお金の勉強を始め、3年間で子どもの教育費を貯める。自身のブログ「女性とシングルマザーのお金の話」に全国の女性から切実なお金の相談が寄せられ、NHKのWEBコラム執筆を機に独立。3年間で1,500件以上の相談を受けている。現在は、女性ファイナンシャルプランナーのための実務講座やオンライン講座を配信中。
マイライフエフピー代表
ファイナンシャルプランナー 加藤 葉子
※この記載内容は、当社とは直接関係のない独立したファイナンシャルプランナーの見解です。
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