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元本割れ?貯蓄のための学資保険の選び方

元本割れ?貯蓄のための学資保険の選び方のイメージ

親戚にすすめられ、貯蓄のつもりで学資保険に加入しました。
子どもが病気になったときに給付金が出る上に、元本も保障される保険と思っていたのですが、もう少し調べてから加入するべきだったと後悔しています。

一般的に医療保障重視タイプは、祝い金・満期保険金の総額が払込保険料の総額を下回る、いわゆる元本割れする学資保険です。
元本割れとはどのようなものかみてみましょう。

1 学資保険の元本割れとは?

図1 元本割れとは

図1 元本割れとは

元本とは、収益を生み出すもととなる資金、いわゆる元手のことです。元本として支払ったお金よりも受け取るお金が少なくなってしまうことを「元本割れ」といいます。
学資保険では、保険会社に保険料を払い込み、決まった時期に祝い金・満期保険金を受け取ります(祝い金がない商品もあります)。元手となる払込保険料の総額と、リターンである祝い金・満期保険金の受取総額を計算して比較することがポイントです。受取総額が払込保険料の総額を下回っていたら、元本割れする学資保険ということです。

2 元本割れする学資保険・しない学資保険の違い

(1)まずは返戻率をチェック!

元本割れする学資保険・しない学資保険を見分けるには、「返戻率」を確認しましょう。返戻率とは、元本である払込保険料の総額に対して受取総額(祝い金・満期保険金の合計)の割合をパーセンテージで表したものです。返戻率が100%に満たない場合は元本割れとなります。

図2 返戻率の計算方法

図2 返戻率の計算方法

元本割れを避け、貯蓄として効率の良い学資保険を求める方は、まず返戻率を確認し、100%を超えるものを選びましょう。

(2)契約内容によって返戻率に差が出る!

学資保険は、保険会社によってさまざまな商品・プランがあり、祝い金・満期保険金の受取時期や受取総額、保険料払込期間など、契約内容によって返戻率に差が出ます。

一般的に、保険料の払い込みを早く終えて受取時期を遅くする方が、返戻率は高くなります。
例えば、10歳まで保険料を払い込んで大学4年間で分割して受け取るパターンと、18歳まで保険料を払い込んで18歳のときに一括で受け取るパターンでは、前者の方が返戻率は高くなります。

(3)保障はシンプルにすること

お子さまが病気やケガによる入院・手術をした際に給付金が受け取れる特約や、契約者に万一のことがあった場合に育英年金(養育年金)が受け取れる特約が付加されているタイプは、保障が手厚い分、保険料が高くなってしまいます。返戻率を高くするには、保障はシンプルにしましょう。

3 医療保障重視タイプは不要?充実する医療制度

子どもが病気やケガをしたときの保障も少しは必要だと思っていました。でも、今は子育て支援制度が充実していて、子どもの医療費はほとんどかからないことが多いみたいですね?

そうなんですよ。全ての都道府県および市区町村が乳幼児等の医療費の助成を実施しています。

厚生労働省の調査によると、2019年4月1日時点で、全ての都道府県および市区町村が乳幼児等の医療費の助成を実施しています。

表 都道府県における乳幼児等医療費に対する援助の実施状況

<対象年齢別の実施都道府県数>

通院 入院
4歳未満 3 1
5歳未満 1 0
就学前 25 20
9歳年度末 3 1
12歳年度末 4 6
15歳年度末 7 14
18歳年度末 3 4
その他(※) 1 1

<所得制限>

通院 入院
所得制限なし 18 19
所得制限あり 28 27
その他(※) 1 1

<一部自己負担>

通院 入院
自己負担なし 10 12
自己負担あり 36 34
その他(※) 1 1
  • ※交付金のため、対象年齢・所得制限・一部自己負担に関する規定なし。交付金の規模は12歳年度末までに相当。

資料:厚生労働省「令和元年度 乳幼児等に係る医療費の援助についての調査」をもとに作成

ただし、同じ都道府県内でも市区町村ごとに差があります。
例えば神奈川県の場合、川崎市では、通院で医療費が助成されるのは小学校6年生までで(小学校4年生~6年生は受診1回につき500円の自己負担あり)、助成を受けるにあたって保護者の所得制限もあります(0歳児の通院に関しては保護者の所得制限なし)。入院については、中学校卒業まで医療費が助成され、保護者の所得制限はありません。
一方、厚木市では、中学校卒業まで通院・入院いずれも医療費が助成され、保護者の所得制限もありません。

なお、上記の川崎市と厚木市の医療費助成制度については、2020年7月時点の制度です。制度は今後見直される場合があります。

お子さまの医療保障を考えるときは、お住まいの市区町村の医療費助成制度について、事前に調べることをおすすめします。

4 元本割れを軽減?今からでもできること

貯蓄重視の学資保険のなかには、受取総額が払込保険料の総額を上回る商品もあるのに、長い間保険料を払い込んで元本割れするなんて、本当に残念です。

受け取る満期保険金を増やしたり、払込保険料の総額を抑えて返戻率を上げたりするために、今からでもできることがいくつかありますよ。

(1)不要な特約を解約

子どもの医療保障や育英年金(養育年金)の特約が付加されている場合は、特約部分を解約し、払込保険料の総額を少しでも抑えましょう。

図3 特約部分の解約

図3 特約部分の解約

ただし、医療機関への交通費や入院時の部屋代(差額ベッド代)など、自治体の医療費助成制度の対象外となる費用があることは覚えておきましょう。幼いお子さまが入院することになれば、保護者が付き添いのために仕事を休まざるを得ず、収入減につながる場合もあります。お子さまが入院した場合について考えてからの解約をおすすめします。

(2)保険料の払込方法を変更する

一般的に「年払」にすると、「月払」よりも保険料が割り引きされるため、払込保険料の総額を抑えることができます。
ただし、月払は保険料を分割して毎月払い込むのに対し、年払は1年間の保険料を一度にまとめて払い込むため、1回あたりの負担が大きくなります。家計に無理のない範囲で行いましょう。

なお、年払の他に、月払保険料を数回分まとめて払い込む「一括払」という払込方法もあります。一般的に、3カ月分以上まとめて払い込むと、保険料が割り引きされます。年払は厳しいという方も、手元の資金に余裕があるときには、一括払を利用するのも一案です。

(3)祝い金を据え置きする

中学校や高校進学時に祝い金が受け取れる商品は、祝い金を受け取らずに据え置くことができる場合があります。祝い金を据え置くと、保険会社所定の利率による利息が付き、受け取る金額が増えることが期待できます。

図4 祝い金の据え置き例

図4 祝い金の据え置き例

なお、祝い金を受け取り、個人向け国債やインターネット銀行の定期預金など、より利率の良い運用ができる可能性もあるので、据え置きのままで良いのかは検討しましょう。

(4)保険の転換制度を利用する

現在加入している学資保険を、貯蓄性のある保険に転換します。一時払や短期払の終身保険など、大学進学の頃に解約して返戻金を受け取れるような商品を選ぶと良いでしょう。

ただし、転換は、現在加入している学資保険と同じ保険会社の商品間でしか行うことができません。また、保険料は転換時の年齢・保険料率で計算されるため、保険料が上がることがあります。予定利率が転換前より下がる場合も、保険料が上がることがあります。転換は慎重に行いましょう。

まず(1)~(3)を検討し、それでも十分でないと感じる場合に、現在の契約をすぐに解約してしまうよりは、保険会社に問い合わせてみると良いでしょう。

なお、(1)~(4)については、対応していない保険会社、保険商品もあります。

学資保険は、お子さまの教育資金を備えるのに有効な手段です。
後悔しない学資保険選びには、保険会社や複数の保険商品を比較できる保険代理店など、保険のプロに相談することをおすすめします。
相談しているうちに、自分が学資保険に何を求めているかが分かり、納得できる商品選びにつながるかもしれません。

  • ※ 掲載されている情報は、最新の商品・法律・税制等とは異なる場合がありますのでご注意ください。
  • ※ 掲載日は2020年11月20日です。
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