【子育てママの相談事例】子育てママでも生命保険は必要なの?
パパに万一のことがあったら・・・。
お子さまの将来のためにも、「一家の大黒柱であるお父さまは、しっかり生命保険に加入しましょう!」という話はよく聞きますね。
では、「家庭を支え、家事をこなす子育てママ」の場合、生命保険は必要なのでしょうか?
下記は、生命保険文化センターが平成24年度に行った調査結果です。
世帯主の普通死亡保険金額(全生保)の平均が1,671万円であるのに対し、妻の普通死亡保険金額(全生保)の平均は889万円(世帯主の約53%)となっています。
全生保 | 民保 | かんぽ生命 | 簡保 | JA | 生協・全労済 | |
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平成24年 | 1,671 | 1,655 | 428 | 422 | 1,521 | 598 |
平成21年 | 1,768 | 1,787 | 420 | 445 | 1,624 | 583 |
平成18年 | - | 2,022 | - | 483 | 1,740 | - |
平成15年 | - | 2,392 | - | 537 | 1,637 | - |
平成12年 | - | 2,561 | - | 548 | 1,631 | - |
全生保 | 民保 | かんぽ生命 | 簡保 | JA | 生協・全労済 | |
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平成24年 | 889 | 821 | 355 | 373 | 1,062 | 405 |
平成21年 | 886 | 830 | 328 | 384 | 1,095 | 393 |
平成18年 | - | 924 | - | 398 | 1,276 | - |
平成15年 | - | 1,041 | - | 444 | 1,074 | - |
平成12年 | - | 1,079 | - | 446 | 1,182 | - |
※全生保は民保(かんぽ生命を含む)、簡保、JA、生協・全労済の計
※全生保(従来ベース)は民保(かんぽ生命を含む)、簡保、JAの計
資料:生命保険文化センター「平成24年度 生命保険に関する全国実態調査結果」をもとに執筆者作成
この調査結果は、子育て世帯に限定されるものではありませんが、一般的に、世帯主に比べ、妻の死亡保障の必要性は低いことが分かります。
また、上記は「死亡保障=死亡保険」についての調査結果ですが、「生命保険」には、「死亡保険」の他にもいくつか種類があります。
今回は、子育てママの「生命保険」について考えてみましょう。
【1】そもそも「生命保険」って何のために入るの?
生命保険とは、人の生死や疾病、生存等による金銭的な損失の保障を目的とするもので、大きく分けると以下の3つの形があります。
- ①死亡保険
- 死亡や高度障害になった時に保険金が支払われる「死亡保障保険」。遺された家族のための保険で、その名の通り、万一の死亡のリスクに備えるもの。
- ②生存保険
- 自分自身の老後に備えるための「個人年金保険」が代表的。一定期間保険料を払い込むことにより、契約した年齢以降、年金を受け取ることができます。支払期間が定まっているもの、一生涯終身で年金を受け取ることができるもの、保障期間が設けられているもの、保障期間が無いもの等、いくつかのパターンがあります。契約者自身の長生きリスクに備えるための、自分のための保険。
- ③生死混合保険
- 契約期間中に死亡した場合と満期時に生存していた場合、いずれも同額の保険金を受け取ることができる「養老保険」が代表的。死亡と長生きリスクの両方に備えられる保険。
一口に「生命保険」といっても、それぞれ目的が異なることが分かりますね。
【2】子育てママに生命保険は必要なの?保険タイプ別に考えてみましょう
- ①死亡保険
- 万一の場合に「遺された家族がいくらお金を残してほしいか?」が判断基準になります。例えば、子育てママが専業主婦か、週2~3日程度のパート勤務か、正社員で働いているか?また、お子さまが小さいか、中高生か?等によっても、必要な保障額は変わってきます。専業主婦(Aさん)、パート勤務(Bさん)、夫婦共働きの正社員(Cさん)の3つのケースで考えてみましょう。
【専業主婦Aさんのケース】
Aさん自身に収入が無いので、万一のことがあっても、その後の収入に大きな変化はありません。ただ、お子さまが小さい場合はベビーシッター代や、家事代行等で支出が発生する可能性があります。お子さまが中高生であれば、さほど大きな保障は必要ないので、保険で備えるとすれば「お葬式代程度」で良いでしょう。女性の平均寿命は90歳近く(平成24年 簡易生命表によると86.41歳)になるため、一生涯続く「終身保険」が安心です。
【パート勤務Bさんのケース】
「Bさんの収入が、家計支出のどれだけを負担しているか?」がポイントになります。パートの方に多いのは、「衣食住はパパの収入で賄っているけれど、お子さまの幼稚園代や塾代等は、ママのパート収入でやりくりしている」というケース。ママに万一のことがあった場合は、「今後の幼稚園や塾等の費用が、お子さまが自立されるまでにいくらかかるか?」を試算して、必要保障額を決めると良いでしょう。一定期間のみの死亡保障を準備するには、「定期保険」が適しています。プラスアルファー、Aさんと同様にお葬式代程度の「終身保険」を用意すると良いでしょう。
【正社員Cさんのケース】
Bさんと同じく「Cさんの収入が、家計支出のどれだけを負担しているか?」が判断基準になります。生活費は夫婦でほぼ折半ということであれば、Cさんの将来にわたる予定収入額から、死亡退職金や遺族年金(該当する場合のみ)等を差し引いたものが、必要保障額の目安となります。ただ、万一の場合、ご主人の働き方や子育て環境等、その後の生活スタイルが変わる可能性が高いので、ご家庭での考え方に応じて、「定期保険」「終身保険」を組み合わせる等、適切な保障、保険タイプを決めると良いでしょう。
- ②生存保険(個人年金保険のケース)
- 若い時から保険料を積み立てて、老後に備えるための「個人年金保険」ですので、子育てママの就労タイプにかかわらず、豊かな老後を迎えるために役立つ保険といえるでしょう。ただ、備えるべき年金額は、リタイヤ時の貯蓄額や公的年金額によっても異なってくるため、一概にはいえません。
老後資金を準備する手段としては、保険以外にも、貯蓄や運用で備える等いろいろな方法があります。しかし、専業主婦や扶養控除内のパートで働く子育てママの場合、正社員で働くママよりも、将来もらえる公的年金が少ない可能性が高いため、補完的な役割として民間の個人年金保険を活用すると良いかもしれません。
- ③生死混合保険(養老保険のケース)
- 子育てママに限らず、老後の蓄えをしながら万一の時の保障もほしいと考えている人に適しているのが、「養老保険」です。ただ、死亡保険金と満期保険金が同額なので、大きな死亡保障が欲しい場合、必然的に保険料が高くなってしまいます。また、一般的な養老保険は利率固定型の商品ですので、利率が低い時期に加入すると契約期間中ずっとその利率が続くこと、途中解約すれば払った額より解約返戻金が少なくなってしまう可能性があること等を考慮し、慎重に契約する必要があります。
子育てママの場合、世帯主の収入、貯蓄額、また、サポートしてくれる親族や家族構成、子どもの年齢、そして、今後のご自身の働き方によっても、万一に備える必要保障額や準備しておきたい老後資金は変わってきます。周りのご家庭はこうしているからとか、人からすすめられたからではなく、「ご自身がどうしたいのか?どうありたいのか?」を第一に考えて、保険を選択されることをおすすめします。
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コラム執筆者プロフィール
合田 菜実子 (ゴウダ ナミコ) マイアドバイザー.jp®登録 - ファイナンシャルプランナー、キャリアカウンセラー。
消費者向けの家計セミナーやFP資格取得講座等の講師業の他、フリーペーパーやWEBコラム等の執筆や個人相談業務等も行っています。
“お金の知識を分かりやすく楽しく伝える”をモットーに、出会った人々に安心感を与えられるようなファイナンシャルプランナーを目指しています。
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コラム監修者プロフィール
山本 俊成 (ヤマモト トシナリ) マイアドバイザー.jp®登録 - ファイナンシャルプランナー。
大学卒業後、株式会社三和銀行(現三菱UFJ銀行)入社。
2003年、外資系生命保険会社入社。
2005年、総合保険代理店株式会社ウィッシュ入社。
2010年、株式会社ファイナンシャル・マネジメント設立。
銀行と保険会社に勤めていた経験を活かし実務的なコンサルティングを行う。
ファイナンシャルプランナー 合田 菜実子
※この記載内容は、当社とは直接関係のない独立したファイナンシャルプランナーの見解です。
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