貯蓄としての保険
貯蓄は三角、保険は四角
「貯蓄は三角、保険は四角」というのをご存知ですか?万一の時に確保できるお金と時期の関係を図にした表現です(図参照)。
保険は万一の場合に、契約した金額を保険会社等から保険金・給付金という形で保障されるものです。貯蓄と保険は大きく異なりますが、実は保険にも貯蓄の機能を有したものがあります。
なじみのあるものとして、学資保険(子供保険)があります。学資保険は、満期時に受け取る満期保険金を入学金等に活用することができます。また、学資保険は一般的に、契約者たる親が万一の場合には以後の保険料は免除となりますが、契約は継続し、満期保険金を受け取れます(保険会社によっては、保険料の免除をはずすことができる場合もあります)。
満期保険金のある保険
満期保険金がある保険商品としては、養老保険や積立傷害保険などの積み立て機能のある損害保険等があります。貯蓄機能としての特徴は、満期保険金を受け取る期間を契約時に設定できることです。例えば、満期保険金・保険料払込期間が保険契約時に定められるので、積み立てをする場合、積立目標額を満期保険金として、積立期間を保険料払込期間として設定することができます。また、保険料を一括で支払って一定期間運用する、一時払い養老保険もあります。
財形貯蓄としての保険
実は、養老保険や積立傷害保険には、財形貯蓄として商品提供されているものもあります。財形貯蓄とは、厚生労働省所管の「勤労者財産形成促進法」に基づいて導入された、勤労者が財産を形成するための制度で、勤労者の住宅購入や老後の年金確保等の財産形成を促進することを目的にしています。給料等から天引きされるので、知らない間に貯蓄ができるというメリットがあります。対象者は、財形制度を導入している企業の従業員に限ります。また、財形制度に適用される金融商品・保険商品も、勤務先が契約している範囲内に限ります。
貯蓄部分と保障部分を分離した保険
養老保険や積立傷害保険のほかにも、貯蓄性のある保険商品があります。保障部分と積み立て部分を明確に分離したアカウント型の保険は、積み立て部分を制約の範囲内で自由に出し入れできる機能を有しています。終身保険では、一般的に、保険料払込期間が満了した場合、その仕組みから解約返戻金が増加します。解約して解約返戻金を一括で受け取ったり、年金形式で受け取ったりできる場合もあります。
運用リスクのある保険
保険には、運用リスクのある、金融資産運用ができるものもあります。変額保険は、株式や債券を中心とする特別勘定で資産を運用し、運用の実績によって保険金や解約返戻金が増減する保険です。以前は保険会社・保険商品が定める特別勘定(日本株式・外国債券等)に委託するものがほとんどでしたが、最近は、特別勘定を契約者が自由に組み合わせて選択できるものが主流となっています。運用リスクがありますので、損失を被ることもありますが、大きな利益を得ることも可能です。
保険だから得られるメリット
保険にも貯蓄や運用の機能を持ったものがありますが、ひとつ忘れてはならないのは、保険を解約した場合は、貯蓄と違い、払った保険料より解約返戻金が下回る場合があるということです。とはいえ、保障を受けながら貯蓄や運用ができる保険は、他の金融商品にはない、欲張りで大きなメリットといえそうです。
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コラム執筆者プロフィール
松山 智彦 (マツヤマ トモヒコ) マイアドバイザー.jp®登録 - CFP®、講師業、ITコンサルタント、俳優。
1964年大阪生まれ。
証券会社・生損保のSEとして、また証券ネット取引システム立ち上げに参画。
2003年にファイナンシャルプランナーとして独立、各種資格・セミナー講師などで活躍。
また俳優ドナルド松山として、舞台、ドラマ、映画等に出演。
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コラム監修者プロフィール
山本 俊成 (ヤマモト トシナリ) マイアドバイザー.jp®登録 - ファイナンシャルプランナー。
大学卒業後、株式会社三和銀行(現三菱UFJ銀行)入社。
2003年、外資系生命保険会社入社。
2005年、総合保険代理店株式会社ウィッシュ入社。
2010年、株式会社ファイナンシャル・マネジメント設立。
銀行と保険会社に勤めていた経験を活かし実務的なコンサルティングを行う。
ファイナンシャルプランナー 松山 智彦
※この記載内容は、当社とは直接関係のない独立したファイナンシャルプランナーの見解です。
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