金融危機に対するリスクヘッジとは
銀行、証券会社、保険会社が破綻したらどうなる?
金融危機とは、金融に端を発する経済危機のことを指しているといえます。近年では、2008年から2009年にかけて、サブプライムローン問題からリーマンショックへ繋がり、世界的金融危機になっていったことが記憶にも新しいでしょう。
そのような金融危機は、今後いつ起こるかはわかりません。すぐに起きても不思議ではありませんし、当分の間、起こらないのかもしれません。わからないからこそ、万一に備えておくスタンスは重要です。少しずつでも備える方法を考えて、実践しておくようにしましょう。
まずは、金融機関が破綻するような事態が起きた場合を考えてみます。
銀行が破綻した場合は、預金保険制度によって、1つの金融機関につき、1人あたり元本1,000万円と破綻日までの利息については保護されるようになっています。したがって、1,000万円を超える預金の場合は複数の銀行に預金を分散して預けた方が安心です。1つの銀行等に預金を集中させないことがポイントとなります。
証券会社が破綻した場合は、基本的には証券会社で購入した債券や株式、投資信託等は、法律上、分別管理が義務付けられていますので、金額にかかわらず投資者の持ち物として安全に管理されています。万一、顧客資産が円滑に返還されない場合に備えて、「日本投資者保護基金」が投資者1人あたり1,000万円まで補償するようになっています。より安全性を重視するなら、取引する証券会社も1社に集中しない方が無難でしょう。
生命保険会社が破綻した場合は、「生命保険契約者保護機構」によって、責任準備金等(生命保険会社が将来の保険金等の支払いのために積み立てている準備金)の90%まで補償されるようになっています。簡単な理解としては、生命保険会社が破綻した場合は、多少なりとも保険金が減ると思っておくとよいでしょう。
損害保険会社が破綻した場合は、「損害保険契約者保護機構」によって、自賠責保険や地震保険の保険金支払いは100%補償、その他の火災保険や自動車保険等は、破綻後3カ月以内なら100%補償、3カ月経過後は80%補償されるようになっています。万一自分が加入している損害保険会社が破綻した場合は、早めに他の損害保険会社に契約を変更するようにしましょう。
日本の国が経済破綻に陥る可能性もゼロではない
しかし、金融危機と呼ばれるような事態が起きるときには、複数の金融機関が同時に、または立て続けに破綻するような事態になっているかもしれません。そのような事態を想定するなら、国内の金融機関だけでなく、海外の金融機関への資産の分散を考えておくのも一理あるかもしれません。
特に、最悪の事態ともいえる日本の国の経済破綻が起きるような事態となった場合は、株価の暴落だけでなく、国債の暴落、通貨(円)の暴落などが起き、金利は急上昇してしまうでしょう。また、円を持っていても買い物ができない事態が起きるかもしれません。そのような事態を想定するなら、海外の金融機関の利用を考えるだけでなく、国内の商品でも、外国の債券や株式、不動産などに投資している投資信託を利用したり、金などをはじめとするコモディティ(商品)に投資している投資信託などを利用したりして、リスクヘッジを図るようにするのが重要かと思われます。
備える方法を明確にすること自体が困難ですが、何が起きるかは正確に予測できないからこそ、常にリスク分散を心がけることが大切でしょう。
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コラム執筆者プロフィール
菱田 雅生 (ヒシダ マサオ) マイアドバイザー.jp®登録 - 早稲田大学法学部卒業後、大手証券会社を経て独立系ファイナンシャルプランナーに。平成20年、ライフアセットコンサルティング株式会社を設立。
資産運用や住宅ローンなどを中心に、相談業務や原稿執筆、セミナー講師等に従事している。
ファイナンシャルプランナー 菱田 雅生
※この記載内容は、当社とは直接関係のない独立したファイナンシャルプランナーの見解です。
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