「掛け捨て生命保険」はお得なのか?
「保険は複雑で分かりづらい」とよくいわれます。確かに種類もいろいろあって難しく感じます。その中でも代表的な「掛け捨て生命保険」について理解しておきましょう。
「掛け捨て」とは読んで字のごとく、掛けたお金が戻ってこない保険です。反対に、将来お金が戻るタイプを「貯蓄型保険」とも呼ばれています。
「掛け捨て」は無駄?
貯蓄型保険の場合は満期、あるいは一定期間経過後に解約した場合にまとまったお金を受け取れるのに対し、掛け捨て型の保険は何も戻らない、もしくは、あっても少額であることが一般的です。もちろん何かあった場合は当然、保険金が給付されますし、そのときにはありがたみを感じるはずなのですが、「捨て」という言葉が入っていることも相まって健康で給付を受けたことがない方の中には、掛け捨ての保険料を「もったいない」と感じる方もいるようです。
そもそも保険に加入する一番の目的は、何でしょうか。
それは、不測の事態が起きたときの経済的な損失を「保障」することです。
保険の良いところは、加入時から保障してくれるということです。特に若い世代は貯蓄が少なく万一の場合、遺族が生きていく期間が長いと予想できるため、必要資金を保障してくれる保険は必要です。自らさまざまなリスクに備える仕組みとしては、保険が最も適しているかと思います。
貯蓄型保険は、保険料の中に保障部分と貯蓄部分を含んでいるので、その分、保険料が高くなります。掛け捨て生命保険は、保険の本来の目的である保障に機能を絞り、コストを抑えている点ではむしろ無駄を省いた合理的な商品といえるでしょう。
「掛け捨て保険」を活用するポイント
(1)貯蓄は自分で
同じ保険金額で比較すると、掛け捨て生命保険は貯蓄型生命保険よりも保険料をかなり抑えることができます。
注意しなければいけないのは、抑えた分を消費に回しすぎないということです。
非常時の経済的リスクに備えるのが保険ですが、それ以外のライフイベントのための備えもやはり必要です。そのための資金を自分に合った貯蓄・運用方法で準備してこそ、掛け捨て生命保険を活用する意味があります。
(2)見直しを定期的に
保険料が安いからといって保険金額を必要以上に多くしてしまっては、掛け捨ての合理性を活かせません。
貯蓄型保険は、解約のタイミングで大きく損をする場合もありますが、掛け捨て生命保険は不要になったら気軽に見直しができます。子どもが小さいときの大きな死亡保障がそのままになっていないか、貯蓄が増えた分、保障が不要になっていないか等を定期的にチェックしましょう。保険を見直すことにより、保険料が浮けばさらにその資金を貯蓄に回すこともできます。
掛け捨て生命保険は、必要な時期の必要な保障を低コストで得られるツールですが、それだけで満足するのではなく、特性を活かし貯蓄との相乗効果を上げていくことが一生涯を安心して過ごすためのポイントといえるでしょう。
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コラム執筆者プロフィール
波柴 純子 (ハシバ ジュンコ) マイアドバイザー.jp®登録 - 子どもが3歳の時にシングルマザーになり、お金の不安からファイナンシャルプランナーの勉強を開始。
その後、金融企業のFP専門の部署でアドバイザーの職に就き、個別相談に従事。
子育て世代がお金に振り回されず自らコントロールしていくためのポイントを、一人一人の価値観や状況を大切にしながらアドバイスしています。
保有資格:AFP。
ファイナンシャルプランナー 波柴 純子
※この記載内容は、当社とは直接関係のない独立したファイナンシャルプランナーの見解です。
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