生命保険料の原則
そもそもの保険の成り立ちや、保険料を決めるときの原則について教えてください。
助け合いの精神
もともと保険は、集団生活を送るにあたって「助け合いの精神」から生まれたものとされています。例えば、100人が暮らす村を想像してみましょう。皆が元気に仕事をしているときはいいですが、誰かが病気になり仕事ができなくなるとその人は収入がなくなって、病院へ行くことすらできなくなるかもしれません。
このような状況にならないよう、皆が少しずつお金を出し合い蓄えておくことで、病気になりお金が必要な人が出ても、蓄えておいたお金を使ってその人を助けることができるようになりました。これが保険の始まりとされており、その根本の考え方は、皆で助け合うという「助け合いの精神」の賜物なのです。
大数の法則
サイコロを6回振った場合、「1の目」が1回も出ないこともあれば、何回も続くこともあるかもしれません。しかし、何千回・何万回と振っていけば「1の目」の出る確率は限りなく6分の1に近づいていきます。
また、日本に住んでいる現在30歳の男性の方で考えてみると、1年以内に亡くなる方もいれば、100歳まで長生きして亡くなる方もいます。サイコロと同じように、それぞれ亡くなる時期は違っても何百万人という大きな数字でみると、30歳男性が一定の時期までに亡くなる確率を計算することができますね。
このように一つひとつの事象は偶然だったとしても、大きな数でみれば一定の法則があることを「大数の法則」といいます。保険料を決めるときの大事な法則です。
収支相当の原則
10年間いつ亡くなっても1,000万円のお金が受け取れる定期保険に、AさんとBさんが加入したとしましょう。Aさんは加入後すぐに亡くなり、Bさんは平穏無事に10年間過ごしたとすると、Aさんは少しの保険料で1,000万円を受け取ることができ、Bさんは保険料を支払っていたのに受け取ることはできなかったことになります。
ただ、保険加入者全体でみると、皆が支払う保険料の総額と保険会社から支払われたお金の総額は一致します。もちろん、保険会社にとっては経費がかかりますので、最終的には「保険料の総額+運用益=保険会社が支払うお金の総額+経費(人件費や広告宣伝費等)」になります。このことを「収支相当の原則」といいます。保険料を決めるにあたっての基本的な考え方です。
このような原則のもとに保険料は決まります。こうしたことを知っておくと、保険に対する考え方もまた変わってくるかもしれませんね。
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コラム執筆者プロフィール
長谷 剛史 (ハセ タケシ) マイアドバイザー.jp®登録 - 学校法人・会計事務所勤務を経て2007年1月、大阪府堺市に独立系FP事務所を開業。
ファイナンシャルプランナーはお金の専門家ではありますが、幸せな家庭を作る専門家でありたいと常々思っています。
住宅・資産運用・保険の3つの分野に強いファイナンシャルプランナーとして、ライフプランを基本とした個別相談・講演・執筆等の活動を行っています。
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コラム監修者プロフィール
山本 俊成 (ヤマモト トシナリ) マイアドバイザー.jp®登録 - ファイナンシャルプランナー。
大学卒業後、株式会社三和銀行(現三菱UFJ銀行)入社。
2003年、外資系生命保険会社入社。
2005年、総合保険代理店株式会社ウィッシュ入社。
2010年、株式会社ファイナンシャル・マネジメント設立。
銀行と保険会社に勤めていた経験を活かし実務的なコンサルティングを行う。
ファイナンシャルプランナー 長谷 剛史
※この記載内容は、当社とは直接関係のない独立したファイナンシャルプランナーの見解です。
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