キャリアウーマンが抱える結婚リスク ~SINGLE IS BEST?!~
昭和の時代の女性の就職といえば、結婚までの腰掛で就職し、寿退職して専業主婦になるといった流れが多かったのですが、近年は女性の社会進出等、働く女性が増加しています。しかし、女性が働きやすい環境が整っているかといえば、充分とはいい難いのが現状のようで、仕事のために結婚を諦める、反対に仕事を諦めて結婚するといったケースもあるようです。
今回はそういったテーマにスポットを当ててみます。
一生シングルか結婚か?(経済的視点)
経済的視点で将来をイメージしてみましょう。こんなケースを考えてみました。
想定:30歳時点でプロポーズを受けたが、受け入れるかどうか悩んでいる。 勤務先:外資系コンサルティング会社 収入・財産:30歳時点での年収1,000万円、貯蓄500万円 |
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シングルの場合のライフプラン | 35歳で広めのワンルームマンション(3,000万円)を購入。 退職金はないが、65歳以降の年金が公私含めて300万円。 贅沢な生活(生活費として年間500万円)をしている。 |
結婚の場合のライフプラン | 結婚後退職することを前提。 配偶者は2つ年上。年収1,000万円、貯蓄500万円。 退職金はないが、65歳以降の年金が公私含めて300万円。妻の年金は120万円。 33歳と35歳時に出産(高校まで公立、大学は私立文系)。 住宅購入は40歳時点で価格は3,500万円。 年間400万円の生活費、子ども1人につき100万円加算(22歳まで)。 |
資料:執筆者作成
今回はキャリアを捨てるべきか、そうでないかということを前提にしているので、シングルは贅沢な生活を送っているという設定にしています。また配偶者も所得的には同レベルとしています。
図は上記想定内容による貯蓄残高の推移です。
シングルを選ぶと老後は経済的には安泰です。ただし、直系の家族や配偶者がいないという問題があり、個の部分の対策が必要です。
結婚を選んだ場合も現役中は経済的には安泰です。しかし老後は貯蓄を食いつぶす可能性があります。ですが、こちらは対策を立てれば老後の心配も回避できるものと思います。 何よりも家族がいる強みがあります。
シングルを選ぶメリットとデメリット
メリットとしては、シングルである「自由」を得られることでしょう。ここでいう自由とは時間・空間・経済的にも、そして人間関係のことを指します。
一方デメリットは、すべてのことを1人でこなさなければならず、ほとんどのケースにおいて代わってくれる人がいません。家事、近隣関係、各種手続き、緊急時の対応等。また親に何かあれば自分に負担がかかる場合もあります。
高齢者の孤独死(孤立死)の問題をご存知だと思いますが、平成20年の独立行政法人都市再生機構における「孤立死(※1)」の発生状況は、65歳以上が426件、65歳未満では187件と全体の約30%になっています。孤立死の問題は高齢者だけでなく、1人暮らしをしている全ての人にいえます。
これらのデメリットを解決する手段はいくつかあります。その1つには常に連絡を取り合える相談相手を作る。現在はソーシャルネットワークの普及で、ショートメール等のやり取りが気軽に行えます。習い事や会合等に積極的に参加し、親身になってくれる、何でも話せる相談相手を作ることも良いでしょう。
また老後を老人ホームで過ごすということを検討するのもいい考えだと思います。ある老人ホームでは、意外とシングル(死別含む)の方がいきいきと生活しているという話もあります。
シングルのメリットを結婚で得るための諸条件
シングルのメリットは結婚では得られないものか?それも対応次第といえます。せっかく築き上げたキャリアを捨てることは、本人はもとより会社にとっても不利益でしかありません。同じキャリアを持つ人材を確保するには相当のコストが掛かります。
仕事を辞めずシングルのメリットを得るには、まず夫に協力してもらうことが必要です。家事の分担、子どもができたら育児の分担、経済負担も分担する。各々が1人で過ごす時間も確保する、といったことを結婚前にすり合わせをしておき、実践していけば、シングルのメリットを享受しつつ、家に帰れば家族がいるという結婚のメリットも確保できます。
または、自分の両親、夫の両親に育児や家事に協力してもらうのも1つの方法です。二世代住宅を建築して両親と同居する、あるいは両親と住居を近くにする等は、両親にとっても嬉しいものです。
もちろん家事や育児もあるので、多忙を極めるでしょうし、仕事のピーク時には夫や両親、子どもに負担を強いてしまうこともあるでしょう。でもそれをこなせる環境があることは、シングルには味わえない贅沢といえるかもしれません。
今回は省略しますが、家事、育児に協力的な企業への転職も1つの手段です。
一生シングルか結婚か?(総合的視点)
総合的に考えて、一生シングルか結婚か?それはもう各々の価値観で答えが異なってきます。キャリアウーマンの中には「旦那よりも嫁が欲しい」なんて人もいます。ただ自分の描く未来像をしっかり持って、そこを目指すために今、どういう選択が必要か、未来像の表と裏をしっかり見極めて行動、選択することが大切だと思います。人生において、信頼できるパートナーは配偶者とは限らないけれど、その人はいつも、いつまでもいるとは限りません。
※1 ここでは、独立行政法人 都市再生機構が運営管理する賃貸住宅(約76万戸)において、単身の居住者が、 誰にも看取られずに亡くなり、1週間以上経過して発見された件数(自殺・他殺を除く)とします。
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コラム執筆者プロフィール
松山 智彦 (マツヤマ トモヒコ) マイアドバイザー.jp®登録 - CFP®、講師業、ITコンサルタント、俳優。
1964年大阪生まれ。
証券会社・生損保のSEとして、また証券ネット取引システム立ち上げに参画。
2003年にファイナンシャルプランナーとして独立、各種資格・セミナー講師などで活躍。
また俳優ドナルド松山として、舞台、ドラマ、映画等に出演。
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コラム監修者プロフィール
山本 俊成 (ヤマモト トシナリ) マイアドバイザー.jp®登録 - ファイナンシャルプランナー。
大学卒業後、株式会社三和銀行(現三菱UFJ銀行)入社。
2003年、外資系生命保険会社入社。
2005年、総合保険代理店株式会社ウィッシュ入社。
2010年、株式会社ファイナンシャル・マネジメント設立。
銀行と保険会社に勤めていた経験を活かし実務的なコンサルティングを行う。
ファイナンシャルプランナー 松山 智彦
※この記載内容は、当社とは直接関係のない独立したファイナンシャルプランナーの見解です。
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