生命保険を活用した相続税対策
平成27年から相続税が変わるのをご存知ですか?
これまで基礎控除額(※1)は、「5,000万円+1,000万円×法定相続人の数」だったのが、「3,000万円+600万円×法定相続人の数」に40%減額されます。
相続税の納税対象者は相続件数のおよそ4%でしたが、この改正で対象者がおよそ6~20%になるのではないかともいわれています。
例えば、夫婦と子ども2人の4人家族の夫が先に亡くなった場合、これまでの基礎控除額は8,000万円でしたが、これが4,800万円になります。会社員の場合だと自宅と退職金、預貯金等を合わせると、4,800万円は意外とすぐに超えてしまいそうな感覚ですよね。
この例のように相続税の課税対象者が増えるならば、会社員にも「相続税対策」が必要になりそうです。
では、相続税対策って何をすれば良いのでしょうか?
ひとつは「節税対策」。つまり相続財産の評価額を下げることです。でも会社員の場合、ちょっと手間ひまがかかりそうで、しかもそれに見合うほどの効果はあまり期待できないケースが多いように思われます。
もうひとつの相続税対策は、納税資金対策です。相続税の納税期限は相続開始から10ヶ月以内です。死亡してからの葬式、納骨等の手続きで10ヶ月はあっという間に過ぎてしまい、意外と時間がありません。しかも、まとまった資金が必要です。相続税は延納や物納という手段もありますが、利子税等のデメリットを考えるとできれば避けたいものです。
納税資金対策として、一般的でかつ手続きが比較的簡単で生命保険を活用する方法があります。
私は富裕層の人でも生命保険に加入することを不思議に思ったことがあるのですが、富裕層が生命保険に加入する理由は実は2つあります。1つは、生命保険の保険金受取人が受け取った保険金は、受取人の固有の財産であるため確実に財産として渡せること。もう1つは納税資金対策として、確実に生命保険金という現金が給付される機能を持っていることです。
遺産を分割する話し合いは、もめだすと時間がかかってしまいます。でも、納税期限は待ってくれません。
そこで、とにかく納税だけは済ませておこうということで、支払いの期日と実行が確実な生命保険を活用するのです。
一般的に相続財産のうち多くを占めるのが、処分しづらい不動産だといわれています。そこで不動産を保有している方は相続税対策だけでなく、財産分割対策としても生命保険を活用しています。
今後、増えるであろう相続税の納税者がまず考えなければならないのは納税対策です。納税資金を確保する手段としての生命保険の活用を考えてみてはいかがでしょうか。
※1「基礎控除額」:相続税の計算過程において、相続財産の評価額(課税価格)から控除される金額。
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コラム執筆者プロフィール
松山 智彦 (マツヤマ トモヒコ) マイアドバイザー.jp®登録 - CFP®、講師業、ITコンサルタント、俳優。
1964年大阪生まれ。
証券会社・生損保のSEとして、また証券ネット取引システム立ち上げに参画。
2003年にファイナンシャルプランナーとして独立、各種資格・セミナー講師などで活躍。
また俳優ドナルド松山として、舞台、ドラマ、映画等に出演。
ファイナンシャルプランナー 松山 智彦
※この記載内容は、当社とは直接関係のない独立したファイナンシャルプランナーの見解です。
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