消費税増税前の駆け込み消費 ~まとめ買いと買い控え、その結果から今後の消費を考える
消費税増税による駆け込み消費の結果は?
調査会社(株)インテージによる「消費税増税影響分析プロジェクト」の調査結果によると、消費税増税前に食品・日用品を買いだめした人の割合は46.5%、買いだめしなかった人は53.5%という結果となっています。
消費税増税直前は、テレビなどで連日まとめ買いの様子が報道されていた記憶があります。みなさんはまとめ買いをされましたか?
私自身は、意識せずに普段通りの生活をしていましたが、連日の報道に、「買っておいた方がいいかも……」と心が揺れ動いたこともありました。なんとなく追い立てられるような心境になったのは、私だけではなかったのでは?と感じています。
どんなものをまとめ買い?
同調査で、どのようなものがまとめ買いされたかも発表されていました。トップ10の中で、食品は「米」が4位、「スパゲティ・うどん・そば」が10位と2点しかなく、ビールが6位に入っているほかは、トイレットペーパーの1位を筆頭に全部日用消耗品です。日持ちのするものを優先して購入したことがうかがえます。
さらに、増税後に買い控えを考えている人は全体の23.8%となっています。買い控えたいものトップ10をみてみると、1位のビールに続いて、チョコレート、アイスクリーム、インスタント麺となっていて、嗜好品が多いことがわかります。増税後は必要なもの以外は、できるだけ控えたいということがうかがえます。
3%の消費税増税を経て現在の状況は?
2014年4月以降の消費の状況はどのようになっているのでしょう。
7月までをみてみると、ゴールデンウィークは天候に恵まれ、梅雨明け後は暑い日が続き、消費も活発になる気配でしたが、8月に入ると天候不順の影響が消費動向に表れてきたように感じます。さらに9月に入ると、為替が円安に動き始めました。10月からは、原材料を輸入に頼る品目を中心に値上げされた食品があり、さらに台風の影響が農作物を直撃……
このように感じている方は多いのではないでしょうか。
実際のところはどうなのでしょう。消費者の意識を指数化した、内閣府の「消費動向指数(平成26年9月調査)」をみてみましょう。
一般世帯の「消費者態度指数」は、8月、9月と連続して低下(消費者心理が悪化)しています。消費者態度指数の中でも「暮らし向き」の項目をみてみると、5月以降は上昇傾向でしたが、9月は低下に転じました。同調査で、今後の物価の見通しについては、「上昇する」と見込む割合が9月は87.0%となっています。
2014年の夏の終わりごろから秋にかけての消費マインドが低下してきていることがわかります。
天候不順などはどうにもなりませんが、円安に関しては、日銀の金融緩和による影響が大きいと考えられ、円安による物価高は消費に影を落としていると感じます。アベノミクスでは、景気が良くなり賃金が上がることが前提となっていますが、今後の経済政策によっては、賃金が上がらずに物価だけが上がる最悪の事態も想定しておく必要があるかもしれません。
消費税10%を控えて
3月末までに買い控えやまとめ買いをして損だったか得だったかというのは、人それぞれでしょう。結果として、4月以降は物価も上昇しており、まとめ買いは、得だったようにも思えます。ただ、景気を予測するのは難しく、特に想定外の自然災害や外部的要因(紛争や疫病など)が景気に与える影響は予測することはできません。
また、今後、消費税が10%にアップする前には、再び駆け込み需要が起きることが予想されます。
今回の増税後の状況を踏まえて次回の対策を考えておく必要があります。高額商品を購入予定の方は特に計画的な準備が必要です。
また、消費税とは関係ないですが、円安による物価高に関しては、「仕方ない」とあきらめてしまうのではなく、外貨資産を持つという家計防衛も必要になってきます。「円」だけの資産では、円安が起こるだけで資産が目減りしてしまうからです。
消費税増税は、消費者にとっては、生活に影響する大きな要素です。今後、財政状況と少子高齢化を考えると消費税は10%でとどまらないことも想定しておきましょう。支出の面だけでなく資産運用の面も含めて、家計防衛を進めていく必要がありますね。
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