大学の進学資金が足りなくなったとき~日本政策金融公庫の国の教育ローン
教育費のピークは、大学入学時。大学、短大、専門学校などへの進学率は平成25年で77.9%となっており、高止まりしている教育費に頭を悩ませている親御さんも少なくないはずです。「教育資金を準備しなくてはとわかっているものの、なかなかできなくて……」と、相談に訪れる方もおられます。
一方、学資保険である程度準備していたものの、大学の受験料が思った以上にかかったり、推薦入試などにより想定より早い段階で入学金を納付しなければならなくなったりで、準備していた学資保険の満期前にお金が必要になってしまうこともあります。
教育費が足りなくなったときどうする?
教育資金が足りなくなったときに、よく利用されているのが、奨学金と教育ローンです。
奨学金は、学生本人が学費などの支払いのために借りるものです。
奨学金の利用者は増えてきており、平成24年度には4年制大学で約半数の学生が利用しています。教育資金を十分に準備できない中で、奨学金を利用して大学に進学している学生が約半数もいるのです。奨学金は入学後に給付され、毎月給付という形となっています。大学の場合、学費は半期や1年分をまとめて支払うことになるので、奨学金を毎月プールしておいて、学費の納入にあてることになります。奨学金は借金と同じです。金融機関での借り入れは、収入のある人を審査することにより初めてお金を借りることができますが、奨学金は、収入のない学生に対しての貸し付けとなりますので、審査はありません。このような貸し付けとなるため、貸付金の2割弱の滞納があるというデータもあり、将来の返済計画についても十分に考慮することが大切です。
一方、教育ローンは、学生ではなく、親が教育費支払いを目的として借りるものです。
入学後に給付される奨学金と違って、入学前から利用できる点が大きなメリットです。合格直後に支払う入学金や、ひとり暮らしを始めるためのお金など、入学前のまとまった資金を調達できます。
国の教育ローンって?
教育ローンを選ぶ際には、公的融資である「国の教育ローン」をまず検討しましょう。
日本政策金融公庫の国の教育ローンは、最長15年、子ども一人当たり最大350万円まで借りられます。利用できる親の年収には上限がありますが下限はなく、審査の面からも民間銀行と比べて緩く、借りやすいため、年収が低い方でも利用しやすいです。固定金利で支払額が確定しているため、他の資金計画が立てやすいのもメリットです。1年ごとにかかる費用が融資の対象となりますので、1年生の時に100万円融資してもらうことにしたら、2年生以降は残り最大250万円までが融資可能となる仕組みです。
国の教育ローンには、震災や水害などの被災者や、母子家庭に対する金利優遇など、国の機関ならではのメニューがあります。また、留学資金の場合は融資額が最高450万円に増額されます。大学までの資金は何とか準備できても、留学資金までは準備していないこともあるのではないでしょうか。
中には、留学が必修という大学もあります。想定外の費用への対応は、年間を通じて借り入れを申し込める教育ローンの活用を考えてもよいでしょう。
国の教育ローンは、繰上返済をいつでも手数料なしで行えます。大学卒業後は子どもにもローン返済の一部を負担してもらい、繰上返済をして、早めの完済を計画するのもよいかもしれません。
日本政策金融公庫は全国に支店があり、教育ローンの相談にのってくれますので、教育資金が足りない際には選択肢の一つとして検討してもよいでしょう。
国の教育ローンの詳細は、日本政策金融公庫ホームページ「教育一般貸付(国の教育ローン)」のページで確認できます。
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