【子育て世代の家計術】教育資金を準備するための“3つの方法”
子育て世代の家庭のライフプランを考える際に、最も大切なのは「お子さまの教育資金の準備」です。誕生から2歳くらいまでは、オムツ、ミルク代、衣類等がかかる程度ですが、3歳になり幼稚園を私立にしようか、公立にしようか等と考え始める頃から、「子どもってお金がかかるんだなぁ」と実感されることが多いようです。
その10年後あたりの中高生になると、大学進学に向けての塾代、部活代、加えて食費もかさむようになり、同時に、大学や専門学校へ進学するにはかなりの大金が必要であることに気づいて、慌てる方も少なくありません。
ただ、教育費はお子さまが誕生した際にほぼ予想できる資金、すなわち“最も計画的に準備しやすいお金”です。生まれた瞬間にすべてを用意する必要はなく、長期的に準備をしていけばよい資金です。
今回は、実際にかかる“教育費”と“準備の方法”について考えてみましょう。
【1】教育費っていくらかかるの?
「お子さま1人につき、教育費は1,000万円」なんて話を耳にされたことありませんか?下記は、文部科学省が行っている学習費に関する調査結果ですが、実際、幼稚園から大学まで、すべて公立の学校に通った場合にかかる教育費用は、総額722.9万円。すべて私立だと、2,000万円以上になるとも試算されています。
公立(大学は国立) | 1年当たり | 私立 | 1年当たり | |
---|---|---|---|---|
幼稚園 | 46.0万円 | 23.0万円 | 146.1万円 | 48.7万円 |
小学校 | 183.6万円 | 30.6万円 | 853.2万円 | 142.2万円 |
中学校 | 135.0万円 | 45.0万円 | 388.5万円 | 129.5万円 |
高校 | 115.8万円 | 38.6万円 | 290.1万円 | 96.7万円 |
大学 | 242.5万円 | 60.6万円 | 386.2万円 | 96.6万円 |
トータル | 722.9万円 | 2,064.1万円 |
◎参考資料:文部科学省のデータをもとに執筆者作成
・幼稚園~高校「子どもの学習費調査(平成24年度)」(公立幼稚園は2年保育、私立保育は3年保育で試算)
・大学は入学金・施設設備費を含む4年間の授業料、私立の数値は文系の平均値、文部科学省調べ(平成23年度)
・国立大学は平成25年度標準額
なお、上記の幼稚園から高校までの数値に関しては、学校に納める学費だけでなく、学習塾や、ピアノ、水泳、といったお稽古代も含めた金額の全国の平均となっています。各ご家庭の教育方針やお子さまの個性によっても、ずいぶん変わってくることが推察できます。大学は実際に納める4年間の授業料(私立は文系)の平均値ですが、文系・理系、専門学校、短大、4年制大学か等によっても総費用は変わってきますので、目安として考えましょう。
【2】どうやって教育費を準備すればいいの?
「いつまでにいくら教育費を準備すればよいか?」というおおよその試算ができたら、計画的に貯める方法を考えましょう。
高校までの学校や塾等にかかる費用は、公立であれば年間30万~46万円程度、月額にすると2.5万~3.8万円なので、日々の家計支出の中でうまくやりくりし、それと並行して、まとまったお金が必要な大学資金を計画的に準備していきます。
特に、お子さまが大学に進学される頃は、保護者の方が定年間近というケースも多いので、老後資金の準備のためにも、その時期の大きな支出は避けたいですね。お子さま誕生から高校卒業の18歳頃までには、すべての教育費が準備できているというのが理想的です。
ここでは、長期的に準備が必要な大学資金の準備方法について考えてみます。なお、大学に納める費用については、私立に4年間通うと想定して400万円を目標とし、推薦入試等で高校3年生の秋頃に必要になる可能性も考慮して、少し余裕をもって17年間で貯める方法を検討します。
- ①積立貯蓄をする
- こつこつと毎月一定額を積み立てする方法です。17年後に400万円貯めるためにはどうすればよいか、単純に割算してみます。
400万円÷17年間÷12ヶ月 ≒ 19,608円
お子さまの誕生月から、毎月2万円ずつ積み立てすれば、17歳(高校2年生)のお誕生日時点で408万円貯蓄できることになります。
積み立てするところとしては、郵便局や銀行等いろいろありますが、できるだけ金利が高いところを選ぶというのもポイント。比較的金利が高いネット銀行等を活用した場合、金利が0.3%(17年間同率複利運用)で毎月2万円を積み立てできれば、受取額は約419万円。利息として、約11万円プラスされる計算になります。
また、17年間という長い期間になりますので、何らかの事情で家庭環境が変わったり、急遽お金が必要となったりする可能性もあります。貯蓄のメリットは“流動性”ですので、その場合は自由にお金が出し入れできます。また、今後金利が上がれば、有利な金融商品に随時預け替えすることにより、利息を増やすことも可能です。
- ②学資保険を活用する
- 学資保険のメリットは、契約者に万一のことがあった場合に、特約によって以後の保険料を払うことなく契約保険金(教育費用)を受け取ることができるという点です。
【学資保険の概要】
(例)契約者 30歳(男性) ・被保険者 0歳(誕生月に契約) ・17歳満期
- ・月々の保険料 ~
- 約19,600円
- ・総払込額 ~
- 約3,998,400円 (19,600円×12ヶ月×17年間)
- ・受取総額 ~
- 4,200,000円(高校入学時70万円、大学入学時140万円、以後、大学2、3、4年生に70万円ずつ受け取り)
上記は、男性30歳が契約者のケースですので、契約者の年齢、性別によって保険料は異なります。
毎月保険料を払って積み立てていくという点では①と大差はないですが、保障機能があり、積立率がよいというメリットがある反面、途中で解約すると戻ってくる解約返戻金は、契約当初であればほとんどなかったり、払込保険料の合計額を下回ったり等、“自由度・流動性”いう部分では貯蓄より劣ります。
- ③低解約返戻金型の終身保険を活用する
- 保護者が契約者(被保険者)となって、終身保険に加入する方法です。契約者(被保険者)である父に万一のことがあった場合は、死亡保険金を受け取ることができるので、それを教育費用に充てることができます。万一のことが起こらず所定の期間保険料を払い込めば、払い込んだ額以上の解約返戻金を受け取ることができます。
【低解約返戻金終身保険の概要】死亡保険金額 700万円(終身保障)
(例)契約者 被保険者 30歳(男性) ・保険料払込期間 16年間
- ・月々の保険料 ~
- 約21,500円(17年後の受取額を考慮して16年間で払い込み)
- ・総払込額 ~
- 約4,128,000円 (21,500円×12ヶ月×16年間)
- ・受取総額 ~
- 17年後 約4,500,000円(払込満了後1年間据え置き)約37万円プラス
20年後 約4,664,000円 (被保険者50歳)約54万円プラス
30年後 約5,227,000円 (被保険者60歳)約110万円プラス
生命保険ですので、契約者(被保険者)の年齢、性別により保険料が異なります。メリットは、学資用に限定されないという点。17年後にお金が必要でなければ、据え置くことにより解約返戻金が増えていくため、老後資金に充当することも可能です。また、終身保険なので、契約後は解約しない限り、700万円という死亡保障が継続します。
学資保険と同様、払込期間中に解約すると、解約返戻金が支払保険料の額を下回るという点では“自由度・流動性”に欠けます。
お子さまの未来と、ご夫婦が幸せな老後を迎えるために“計画的な教育費準備”は不可欠です。ご家庭の考え方にあった方法で、教育費の準備を始めてくださいね。
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コラム執筆者プロフィール
合田 菜実子 (ゴウダ ナミコ) マイアドバイザー.jp®登録 - ファイナンシャルプランナー、キャリアカウンセラー。
消費者向けの家計セミナーやFP資格取得講座等の講師業の他、フリーペーパーやWEBコラム等の執筆や個人相談業務等も行っています。
“お金の知識を分かりやすく楽しく伝える”をモットーに、出会った人々に安心感を与えられるようなファイナンシャルプランナーを目指しています。
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コラム監修者プロフィール
山本 俊成 (ヤマモト トシナリ) マイアドバイザー.jp®登録 - ファイナンシャルプランナー。
大学卒業後、株式会社三和銀行(現三菱UFJ銀行)入社。
2003年、外資系生命保険会社入社。
2005年、総合保険代理店株式会社ウィッシュ入社。
2010年、株式会社ファイナンシャル・マネジメント設立。
銀行と保険会社に勤めていた経験を活かし実務的なコンサルティングを行う。
ファイナンシャルプランナー 合田 菜実子
※この記載内容は、当社とは直接関係のない独立したファイナンシャルプランナーの見解です。
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